循環器トライアルデータベース

TRAFFIC
Therapeutic Angiogenesis with Recombinant Fibroblast Growth Factor-2 for Intermittent Claudication

目的 鼡径部以下の閉塞性アテローム性動脈硬化による中等度~重度の間欠性跛行患者において,組換え型線維芽細胞増殖因子(rFGF-2)の動脈投与が運動耐容能を改善させるかを検討する。一次エンドポイントは90日後の最大歩行時間(PWT)の変化。
コメント 血管新生療法は末梢組織への血液灌流が不十分な病態に対して既存の血液組織から血管を成長・増殖させる治療法であり,蛋白質注入,遺伝子導入,細胞移植の3通りがある。線維芽細胞増殖因子は線維芽細胞だけでなく血管壁を構築する血管内皮細胞を同時に増殖させ,in vivoでも血管新生作用が認められている。本研究はこの増殖因子の1回動脈内投与で,手術適応のない閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行を有する症例において運動耐容能を改善している。しかし,投与量,投与回数の問題は依然残っている。冠動脈内投与では低用量の方が高用量よりも臨床効果が良いかもしれないとの報告もある。血管新生療法に対する期待は大きいが,歩行機能や血行動態的な側面だけでなく,血流のイメージ化や血管内皮機能の計測等,その評価法も今後の課題である。(星田
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検。
期間 追跡期間は180日。
対象患者 190例。>40歳。中央値年齢68歳。関節炎,狭心症,呼吸困難,その他の症状がなく,中等度から重度の跛行により運動が制限されているもの。30日間のスクリーニング期間中2回のGardnerトレッドミル負荷試験において,最大歩行時間が1~12分であったもの。閉塞性アテローム性動脈硬化の証拠(下肢動脈造影上,大腿,膝窩,頸骨動脈の70%以上の狭窄)があり,症状がより出現している肢での安静時足首-上腕係数<0.8のもの。妥当なアテローム性動脈硬化治療および動脈硬化リスク因子の改善のための治療を行っている例。
除外基準:切除治療を受けた皮膚癌や子宮頸癌を除く過去10年以内の悪性腫瘍既往,腎不全あるいは蛋白尿,網膜症,炎症性または進行性の線維性障害など。
治療法 rFGF-2の2用量群,プラセボ群(63例)にランダム化。
rFGF-2 single dose群(66例):1日目に30μg/kgを両肢に直接投与,30日目にプラセボを投与。rFGF-2 double dose群(61例):1日目および30日目に30μg/kgを投与。
試験薬投与の10~20分前にheparin 40U/kgをボーラス静注。
運動耐容能は標準Gardnerトレッドミル負荷試験で行った。
糖尿病,68歳(登録患者の中央値年齢),喫煙でサブグループ解析。
結果 90日以内に6例で末梢血管の血行再建術の施行,10例が脱落したため,一次エンドポイントの評価は174例(92%)で行った。
一次エンドポイントはrFGF-2 single dose群が1.77分,double dose群が1.54分,プラセボ群0.60分,それぞれ延長した。analysis of variance(ANOVA)による3群間差はp=0.075。試験に参加した190例での intention-to-treatによる二次解析ではp=0.034であった。pairwise比較によると,rFGF-2 single dose群とプラセボ群間に有意差(p=0.026)がみられたが,double dose群とプラセボ群間に有意差はなかった(p=0.45)。なお,180日後では3群間に運動耐容能の差はみられなかった。
重篤な有害事象の発生は3群同様であった。
★考察★rFGF-2の動脈投与は90日後の最大歩行時間を有意に延長したが,30日後の再投与は1日目の1回投与をしのぐ有効性はもたらさなかった。
文献
  • [main]
  • Lederman RJ et al for the TRAFFIC investigators: Therapeutic angiogenesis with recombinant fibroblast growth factor-2 for intermittent claudication (the TRAFFIC study); a randomised trial. Lancet. 2002; 359: 2053-8. PubMed

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EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
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収載年月2001.12
更新年月2002.10