循環器トライアルデータベース

CURE
Clopidogrel in Unstable Angina to Prevent Recurrent Events

目的 ST上昇を伴わない急性冠症候群(ACS)において,抗血小板薬aspirin+clopidogrel投与の短期投与と長期投与の有効性および安全性を比較。
第1一次エンドポイントは心血管死+非致死性心筋梗塞(MI)+脳卒中。
第2一次エンドポイントは一次エンドポイント+虚血再発。
二次エンドポイントは重症虚血,心不全,血行再建術。安全性は出血性合併症(生命にかかわる出血,大出血:2単位以上の輸血が必要,小出血)で評価。
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(28か国),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は12か月。登録期間は1998年12月~2000年9月。
対象患者 12,562例。発症後24時間以内。
最初は60歳以上で心電図(ECG)変化がなくても冠動脈疾患の既往例であれば対象としたが,最初の3000例のイベント発生率見直し後,安全委員会はECG変化例あるいは心筋逸脱酵素の上昇例のみの登録を推奨した。
除外基準:抗血栓療法あるいは抗血小板療法禁忌例,出血高リスク例あるいは重症心不全例,経口抗凝固薬療法施行例,3か月以内の血行再建術施行例,3日以内の血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬静注例。
治療法 clopidogrel群(6259例):初回のみ300mgを経口投与後,連日75mg/日投与,プラセボ群(6303例)。治療期間は3~12か月(中央値9か月)。
全例にaspirin 75~325mg/日を試験薬投与と同時に投与,あるいはすでに投与を受けている例では継続投与した。
結果 第1一次エンドポイントの発生はclopidogrel群582例(9.3%),プラセボ群719例(11.4%),プラセボと比較したclopidogrelの相対リスク(RR)は0.80,95%信頼区間(CI)0.72-0.90,p<0.001。第2一次エンドポイントは16.5% vs 18.8%(RR 0.86,95%CI 0.79-0.94,p<0.001)。一次エンドポイントを構成する各イベントの発生率もclopidogrel群で低い傾向にあった。入院中の難治性あるいは重篤な虚血,心不全,血行再建術の施行率はclopidgrel群で有意に低かった。
大出血の発生率はclopidogrel群で有意に高かった(3.7% vs 2.7%,RR 1.38,p=0.001)が,生命にかかわる出血(2.1% vs 1.8%,p=0.13)あるいは脳卒中の発生率に有意差はみられなかった。
★結論★抗血小板薬clopidogrelはST上昇を伴わないACSで有効である。しかし,大出血のリスクが同薬投与例で上昇した。
文献
  • [main]
  • The clopidogrel in unstable angina to prevent recurrent events trial investigators: Effects of clopidogrel in addition to aspirin in patients with acute coronary syndromes without ST-segment elevation. N Engl J Med. 2001; 345: 494-502. PubMed
  • [substudy]
  • ACS,心房細動患者において,clopidogrelの有効性にCYP2C19機能喪失型対立遺伝子は関連しない。
    ACTIVE Aと統合して解析:CYP2C19の主要な対立遺伝子を規定する 3 つのSNP(*2,*3,*17)について,遺伝子型を同定した(ACS 5,059例,心房細動[AF]1,156例)。
    ACS:代謝能の表現型にかかわらず,clopidogrel群はプラセボ群より第1一次エンドポイントを有意に抑制した(異質性のp=0.12)。
    clopidogrel群の有効性は機能喪失型対立遺伝子(*2,*3)のヘテロ接合またはホモ接合の保有例と非保有例とでは同程度であった(保有例:clopidogrel群8.0% vs プラセボ群11.6%:ハザード比0.69;95%信頼区間0.49~0.98,非保有例:9.5% vs 13.0%:0.72;0.59~0.87)。
    一方,機能獲得型対立遺伝子(*17)の保有例では非保有例に比べ,clopidogrel群のより大きな有効性がみられた(保有例:7.7% vs 13.0%:0.55;0.42~0.73,非保有例:10.0% vs 12.2%:0.85;0.68~1.05;交互作用のp=0.02)。
    出血に関してはclopidogrel群の遺伝子型による差はみられなかった。
    AF:イベント抑制と出血のいずれも,治療群と,代謝能の表現型,機能喪失型あるいは機能獲得型対立遺伝子の保有状況とに交互作用は認められなかった:N Engl J Med. 2010; 363: 1704-14. PubMed
  • 男性に比べ高リスクの女性は血管造影,血管形成術,CABGの施行率が低く,心血管死,MIの再発,脳卒中の発生も多くないが,難治性虚血および再入院が増加:J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 1845-51. PubMed
  • clopidogrelのコストを除いた入院費のみのコストはclopidogrel群で325ドル低く,薬剤費を含むと同群で442ドルコスト高。clopidogrelのFraminghma Heart Studyに基づく増分費用対効果比(incremental cost-effectiveness ration: ICER)は6,318ドル/獲得生存年(life-year gained: LYG)。94%のbootstrapによるICERの見積もりは<5万ドル/LYG,Sakatchewanに基づくICERは<5万ドルの98%で6,475ドル/LYG:J Am Coll Cardiol. 2005; 45: 838-45. PubMed
  • clopidogrelの早期からの長期間投与による心血管死・MI・脳卒中・生命に関わる出血発生の抑制は,CABG,PCI例と同様である:J Am Coll Cardiol. 2004; 110: 1202-8. PubMed
  • 心血管死+MI+脳卒中はaspirin投与量に関わらずclopidogrel群で抑制された[aspirin≦100mg:clopidogrel群8.6% vs プラセボ群10.5%(相対リスク0.81),101~199mg:9.5% vs 9.8%(0.97),≧200mg:9.8% vs 13.6%(0.71)]。出血リスクはclopidogrel投与の有無に関わらずaspirin投与量に従って上昇:Circulation. 2003; 108: 1682-7. PubMed
  • clopidogrelの虚血性血管イベント抑制効果は投与後24時間以内に現れ,追跡期間中(平均9か月)持続した:Circulation. 2003; 107: 966-72. PubMed
  • clopidogrelの有効性は凝固活性マーカーの抑制とは関係しない:Eur Heart J. 2002; 23: 1771-9. PubMed
  • clopidogrelはTIMI risk scoreで層別化した低・中・高リスクのいずれの例においても有効であった:Circulation. 2002; 106: 1622-6. PubMed
  • PCI-CURE study:経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した2658例[clopidogrel群1313例:PCI施行前6日(中央値)にaspirin+clopidogrelを投与,施行後に2~4週間オープンラベルでclopidogrelあるいはticlopidineをaspirinと併用投与し,追跡期間終了(施行後平均8か月)まで試験薬を投与。プラセボ群1345例]。
    一次エンドポイント(心血管死+MI+30日以内の標的血管緊急血行再建術)の発生はclopidogrel群59例(4.5%),プラセボ群86例(6.4%)であった(RR 0.70, 95% CI 0.50-0.97, p=0.03)。PCI施行後のclopidogrelの長期投与は一次エンドポイントの発生率の低下(p=0.03),心血管死あるいはMIの低下(p=0.047)に関連していた。PCI施行中のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬の投与率は,clopidogrel群の方が有意に低かった(p=0.001)。大出血の発生に両群間で有意差はみられなかった(p=0.64)。
    ★結論★aspirin投与中のACSにおいてclopidogrelのPCI施行前投与および施行後長期投与は,プラセボよりも主要な心血管イベントを抑制した:Lancet. 2001; 358: 527-33. PubMed

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収載年月2001.10
更新年月2010.11