循環器トライアルデータベース

Hisayama Study(久山町研究)

目的 communityの住民(福岡県久山町)において,脳卒中を含む心血管疾患の進展を検討し,心血管調査が脳卒中予防に効果があるかを検討する。
デザイン 疫学。
期間 1961年に開始。
参加者 第1集団:1621例(男性707例,女性914例)。脳卒中既往のない40歳以上(平均年齢男性55.5歳,女性56.9歳)。
第2集団:1973年に2/3が老年期に入り20%が死亡したため,'74年に1156例を追加し2053例(平均年齢男性56.5歳,女性58.3歳)を同年11月より追跡。
第3集団:1983年より追跡。
調査方法 2年ごとに血圧測定,ECG,眼底検査などを行う。患者が亡くなった際は剖検の許可を家族から取るよう努めた。
結果

[主な結果]
  • 家庭血圧による血圧日間変動が大きいことは,家庭血圧とは独立して全認知症,サブタイプ(血管性,アルツハイマー型)発症リスクの危険因子である可能性が示された-日間変動が大きいことと高血圧は血管性認知症と関連するが,アルツハイマー型認知症リスクは血圧値にかかわらず血圧変動が大きいと増大した。
    <背景>受診毎血圧(visit-to-visit)変動が大きいことが認知機能低下の危険因子であることはいくつかの観察研究から報告されている。しかし,家庭血圧(HBP)で評価した日間(day-to-day)変動と認知症の関係を検討した研究はない。
    高齢者において,HBPで評価した日間変動と認知症,そのサブタイプ発症リスクの関係を明らかにするため,1,674人(≧60歳で認知症ではないもの;平均年齢71歳,女性55.9%,血圧138/77mmHg;降圧薬使用43.3%,教育期間≦9年43.5%)を5年追跡(2007~’12年)し検証した結果: 28日(中央値)間,HBPを毎朝3回測定。日間血圧変動の血圧変動係数(coefficients of variation :CoV)を四分位しCox比例ハザードモデルでハザード比(HR)を推定し,認知症リスクを評価した。
    5.3年(中央値)追跡で128例が死亡,うち剖検時に脳検査をしたものは74例。
    認知症発症は194例(男性72例,女性122例),うち脳画像評価例は183例,脳剖検は21例。サブタイプは血管性(VaD)47例,アルツハイマー型(AD)134例,両者の混合型7例。年齢,性で調整後のHBPの収縮期血圧(SBP)のCoVが高値なほど全認知症,VaD,ADリスクが有意に上昇し,HBPのSBPなど交絡因子で調整しても関係はかわらなかった。
    HBP・SBPのCoV第1四分位群(≦5.07%)とくらべた第4四分位群(≧7.60%)は認知症リスクが有意に高かった(全認知症のHRは2.27;95%信頼区間1.45~3.55[p for trend<0.001], VaD:2.79;1.04~7.51[p for trend=0.03], AD:2.22;1.31~3.75[p for trend<0.001])。HBPの拡張期血圧のCoVでも同様の関係がみられた。一方で,HBPのSBP値とVaDリスクに有意な相関がみられたが,全認知症とADリスクとの関係はなく,HBPのSBP値とそのCoV値間にサブタイプ認知症リスクとの交互作用はみられなかった(Oishi E et al: Day-to-day blood pressure variability and risk of dementia in a general Japanese elderly population: the Hisayama Study. Circulation. 2017; 136: 516-25.)。 PubMed
  • 気流制限は,特に中年における頸動脈アテローム性動脈硬化の有意な危険因子である可能性が示された。
    アジアの幅広い世代の一般住民において,慢性閉塞性肺疾患(COPD)あるいは気流制限と頸動脈アテローム性動脈硬化の関係を検討した大規模観察研究はない。日本の地域住民における気流制限(肺活量で定義;1秒率[FEV1(1秒量)/FVC(努力肺活量)比]<70%)と頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)の関係を,様々な危険因子を考慮して検証した。IMTは頸動脈超音波で測定。
    2,099人(男性890人,女性1,209人:平均年齢64歳,男性42.4%)中,気流制限が認められたのは352例(16.8%)で,気流制限のないものにくらべ有意に高齢(70歳 vs 63歳)で,男性(59.1% vs 39.0%),高血圧(58.0% vs 48.8%),喫煙者(57.9% vs 36.4%)が多く,hs-CRPが高く(中央値:0.47 vs 0.41mg/L),過体重が少なく(18.5% vs 25.8%),総コレステロール(TC:194.9 vs 203.0mg/dL),1秒率が低かった(63.1% vs 77.9%)。hs-CRPは中年群(40~64歳)では気流制限例のほうが高かったが,高齢群(≧65歳)では違った一方で,TC,BMI(特に過体重)は高齢群では気流制限例のほうが低かったが,中年群では違った。
    また,気流制限例は非制限例にくらべ喫煙,hs-CRPなどを含む標準危険因子で調整後の最大IMT(1.27 vs 1.18mm, p=0.002),平均IMT(0.73 vs 0.72mm, p=0.02)が有意に大きく,気流制限の重症度とともに増加した。この関係の強さは高齢群よりも中年群のほうが大きかった。最大IMT>1.5mmの頸動脈壁肥厚例は499例。気流制限と頸動脈IMTの関係に異質性のみられたサブグループはなかった(Kudo K et al: Association of airflow limitation with carotid atherosclerosis in a Japanese community-the Hisayama study. Circ J. 2017; 81: 1846-53. Epub 2017 Jun 6.)。 PubMed
  • 歯を失うことと全認知症およびアルツハイマー型認知症リスク上昇の関係が示された。
    60歳以上(1,566例)において,歯を失うことと全認知症とサブタイプ別に及ぼす影響を検証した。2007年~’12年の5.3年(中央値)追跡
    残存歯数で4群に層別(≧20本群[893例・≧75歳:18.0%];10~19本群[348例・36.5%];1~9本群[204例・52.0%];0本群[121例・71.1%]),女性:54.8~58.0%。群間に有意差がみられたのは,≧75歳,ホワイトカラー,教育期間<10年,高血圧,飲酒経験なし,歯磨き回数≦1回/日,デンタルケア≦1回/半年,義歯(入れ歯)の使用。
    認知症発症は180例(11.5%,女性116例),サブタイプ別はアルツハイマー型認知症(AD)が127例(8.1%),脳血管性認知症(VaD)が42例(2.7%)。
    残存歯数が少ない群は認知症発症の調整ハザード比(HR)が高い傾向がみられた(≧20本群とくらべた全認知症のHRは,10~19本群:1.62,1~9本群:1.81;p for trend=0.04)。
    ADと残存歯数は逆相関(それぞれの群のHR:1.39,1.73,1.62;p for trend=0.08)したが,VaD(3.19,2.49,1.94)との関係はみられなかった(Takeuchi K et al: Tooth loss and risk of dementia in the community: the Hisayama study. J Am Geriatr Soc. 2017; 65: e95-e100. Epub 2017 Mar 8.)。 PubMed
  • ≧65歳における糖尿病と脳萎縮-糖尿病と萎縮は関連。罹病期間,食後2時間血糖値は特に海馬萎縮の危険因子。
    2012年に頭部MRIと検診を実施した≧65歳の男性540人・女性698人において,糖尿病と全脳・海馬萎縮の関係を検証。全脳萎縮を全脳容積(TBV)/頭蓋内容積(ICV)比,海馬萎縮を海馬容積(HV)/ICV比,海馬優位の萎縮をHV/TBV比で評価した。
    糖尿病患者(286例[23%])は非糖尿病者にくらべ,萎縮3指標が有意に低かった(調整TBV/ICV比:77.6% vs 78.2%, HV/ICV比:0.513% vs 0.529%, HV/TBV比:0.660% vs 0.676%;全p<0.01)。これら3指標は食後2時間血糖値の上昇に伴い低下したが(傾向p<0.05),空腹時血糖値とは関連しなかった。また,糖尿病罹病期間が長いほど低く(傾向p<0.001),≧17年では非糖尿病者との有意差がみられた。さらに,24年前の中年期(41~64歳)糖尿病診断例(64例)は高齢期(65~88歳)診断例(143例)よりも海馬萎縮の2指標が有意に低かった(Hirabayashi N et al: Association between diabetes and hippocampal atrophy in elderly Japanese: the Hisayama Study. Diabetes Care. 2016; 39: 1543-9. Epub 2016 Jul 6.)。 PubMed
  • 50年間の心血管疾患と危険因子の推移-虚血性脳卒中の減少は70年代以降鈍化,急性心筋梗塞は変化なし。その背景に,血圧管理や喫煙率が改善の一方で代謝危険因子の増加あり。
    1961年(1,618人・平均年齢55歳),1974年(2,038人・56歳),1983年(2,459人・57歳),1993年(1,983人・61歳),2002年(3,108人・61歳)の調査への参加者を,それぞれ最長7年間追跡した結果:男女を問わず,1961年から2002年までに降圧薬投与率は急速に増加(男性:2.0→17.5%;女性:2.1→16.2%),これに伴い高血圧患者の平均収縮期血圧も有意に低下した(161→148mmHg;163→149mmHg)。また喫煙率も低下した(75.0→47.4%;16.6→8.5%)。逆に耐糖能異常(11.6→54.0%;4.8→35.1%)や高コレステロール血症(2.8→22.2%;6.6→35.3%),肥満(7.0→29.2%;12.9→23.8%)などの代謝危険因子は増加した。
    脳卒中は1960年代~70年代までは男性で51%(年齢調整発症率:14.34→6.99/1,000人・年),女性で43%(7.19→4.07/1,000人・年)低下したが,それ以降はこの傾向は鈍化した。脳卒中のうち虚血性脳卒中(男女),脳出血(男性)はこれと同様のパターンを示した。発症率の低下に伴い脳卒中死も減少した(1960年代→2000年代:男性:6.96→0.61;女性:3.20→0.37/1,000人・年)。
    急性心筋梗塞(AMI)の発症率は男女ともに変化しなかったが(1.93→1.44;0.78→0.50/1,000人・年),AMIによる死亡は女性で減少傾向が見られた(0.69→0.30;0.52→0.11/1,000人・年[p=0.06])(Hata J et al: Secular trends in cardiovascular disease and its risk factors in Japanese: half-century data from the Hisayama study (1961-2009). Circulation. 2013; 128: 1198-205.)。 PubMed
  • 2型糖尿病患者における食事の速度と心血管リスク-速いほど肥満,脂質値,血圧,HbA1cが増加。
    Fukuoka Diabetes Registry(福岡県糖尿病患者データベース研究:FDR)*の登録者と久山町研究2009年調査の参加者合計7,275人(男性3,737人,女性3,538人)において,食事速度と心血管リスク因子の関係を評価した結果:対象を正常血糖(1,490人),空腹時血糖異常(IFG;1, 009人),糖尿病(4,776人)の3群にわけ,自記式調査票の質問により評価した食事速度(遅い:1,358人,普通:2,900人,速い:2,177人,とても速い:840人)別に心血管リスク因子との関係を評価。
    平均年齢:正常血糖;食事速度が遅い(67歳),普通(61歳),速い(58歳),とても速い(58歳),IFG;69歳,64歳,60歳,61歳,糖尿病;69歳,67歳,64歳,66歳(いずれもp<0.001)。
    肥満と腹囲は血糖状態を問わず食事速度が速いほど増加した(年齢,性別,総エネルギー・食物繊維摂取量,喫煙・飲酒・運動習慣で調整後,「とても速い」 vs 「遅い」の肥満のオッズ比は正常血糖例3.62,IFG例2.83,糖尿病例2.06;すべて傾向p<0.001)。血圧と脂質レベルも食事速度の増加に伴い上昇する傾向がみられた。インスリン治療を受けている糖尿病患者ではHbA1cはBMIなどで多変量調整後,食事速度の増加に伴い有意に上昇したが,空腹時血糖ではそのような上昇はみられなかった。
    * FDRは福岡県の大学病院と糖尿病専門医療機関にて外来通院中の糖尿病患者において,最新の治療が糖尿病患者の予後に及ぼす影響を前向きに調査する登録研究。2008年4月~2010年10月に5,131例を登録。薬剤性の糖尿病や重篤疾患合併例,腎置換療法を行っている患者などは除外されている(Ohkuma T et al: Impact of eating rate on obesity and cardiovascular risk factors according to glucose tolerance status: the Fukuoka Diabetes Registry and the Hisayama Study. Diabetologia. 2013; 56: 70-7.)。 PubMed
  • 1960年代以降の40年間で脳梗塞の発症率は有意に低下した。これは高血圧治療の改善によるものと思われる。
    3コホート(1961年,’74年,’88年)の各13年間の追跡期間結果を比較すると,年齢調整後の脳梗塞,ラクナ梗塞は男女とも第1コホートと比べ第3コホートでは有意に減少した。高血圧は脳梗塞発症の強い危険因子で,この間の血圧コントロールの改善がこの低下傾向に大きく影響したと考えられる:年齢,性調整後の脳梗塞発症に対する高血圧のハザード比は第1コホート3.25(95%信頼区間2.17~4.86),3コホート1.83(1.29~2.58)。アテローム血栓性梗塞,心原性脳塞栓症の発症に変化はみられなかった(Kubo M et al: Secular trends in the incidence of and risk factors for ischemic stroke and its subtypes in Japanese population. Circulation. 2008; 118: 2672-8.)。 PubMed
  • 糖尿病を発症する前の血糖値とCRPの関係:空腹時血糖値とCRP値は有意に相関する(血糖値が低い[<5.6mmol/L]場合のCRPは0.41mg/L,中等度[5.6~6.0mmol/L]の場合0.49mg/L,高い[6.1~6.9mmol/L]場合は0.62mg/L)。低い場合と中等度,高い場合の差は有意であった(p<0.01)。2時間血糖値(低い場合[<5.6mmol/L]は0.35mg/L,中等度[5.6~7.7mmol/L]の場合0.48mg/L,高い[7.8~11.0mmol/L]の場合0.59mg/L)でも同様の関連がみられた(Doi Y et al: Relationship between C-reactive protein and glucose levels in community-dwelling subjects without diabetes; the Hisayama study. Diabetes Care. 2005; 28: 1211-3.)。 PubMed
  • 1961年11月1日~’93年10月31日追跡の588例[心血管疾患(CVD)発症179例]:高血圧の予防,発見,診断,治療に関する米国合同委員会の第6次報告(JNC VI)の推奨は,79歳以下の日本人高齢者に適用できる。しかしながら,超高齢の進行したアテローム性動脈硬化例においては高血圧はCVDのリスク因子にはならないと思われる(Arima H et al: Validity of the JNC VI recommendations for the management of hypertension in a general population of Japanese elderly; the Hisayama study. Arch Intern Med. 2003; 163: 361-6.)。 PubMed
  • 脳梗塞のサブタイプの頻度とリスク因子(1961~'93年):脳梗塞の発症298例,うちラクナ梗塞167例,アテローム性血栓62例,心臓塞栓性56例,その他13例。年齢補正後のラクナ梗塞発症率は男性3.8例/1000人・年,女性2.0例/1000人・年でアテローム性血栓(各1.2例,0.7例),心臓塞栓性(各1.3例,0.5例)より高かった。SBP,年齢が男性の心臓塞栓性梗塞を除く脳梗塞のサブタイプの独立したリスク因子である。男性ではECG上のST低下,耐糖能低下,喫煙が,女性ではECG上での左室肥大,BMIがラクナ梗塞の有意なリスク因子。ST低下は女性でアテローム性血栓に有意に関係していた。心房細動は男女とも心臓塞栓性梗塞のリスクであり,さらに女性では左室肥大,低コレステロールが心臓塞栓性梗塞にリスク因子であった。★結論★ラクナ梗塞が最も多い脳梗塞のサブタイプで,高血圧,ECG異常,糖尿病,肥満,喫煙が,アテローム性血栓,心臓塞栓性梗塞よりも強いリスク因子であった(Tanizaki Y et al: Incidence and risk factors for subtypes of cerebral infarction in a general population; the Hisayama study. Stroke. 2000; 31: 2616-22.)。 PubMed
  • アルコールと高血圧が脳卒中に与える影響(26年間追跡):脳梗塞発症244例,脳出血60例。男性で脳出血はアルコール摂取量の増加に伴い上昇。脳梗塞率は非飲酒群より少量飲酒群(<34g/日)で少し低かったが,多量飲酒群(≧34g/日)は少量飲酒群より有意に上昇した。女性の飲酒群では脳梗塞率は低かったが,非飲酒群より脳出血率は少し高かった。高血圧(血圧≧160/95mmHg)例では年齢,性で補正した脳出血の相対リスクは多量飲酒群で禁酒群に比べ有意に高かったが,少量飲酒群のリスク上昇は有意ではなかった。一方,正常血圧例では少量および多量飲酒群の相対リスクの上昇は有意ではなかった。高血圧の少量飲酒に比べ多量飲酒群で脳梗塞の相対リスクは有意に高かったが,正常血圧の多量飲酒群では変わらなかった。★結論★高血圧で多量飲酒例は脳出血リスクが有意に高くなり,少量飲酒例で低くなることは,アルコールと高血圧の相乗効果を示唆している(Kiyohara Y et al: The impact of alcohol and hypertension on stroke incidence in a general Japanese population; the Hisayama study. Stroke. 1995; 26: 368-72.)。 PubMed
  • 無症候性脳梗塞の頻度(1961~'87年):剖検例966例(剖検率82.4%),うち12.9%が無症候性脳梗塞が認められ加齢とともに増加した。無症候性脳梗塞例は非梗塞例に比べ高齢で,SBP,DBPともに高く,心房細動の頻度も多かった。梗塞の部位に脳卒中と無症候性梗塞とで有意な違いはみられなかったが,後者の方が脳の深部にある傾向にあった。梗塞の数とサイズは無症候性梗塞群の方が小さかった。★結論★DBPと心房細動は無症候性脳梗塞の強い予測因子であると思われる。脳卒中は梗塞の量の増加につれ臨床的に明白になる(Shinkawa A et al: Silent cerebral infarction in a community-based autopsy series in Japan; the Hisayama study. Stroke. 1995; 26: 380-5.)。 PubMed
  • 正常耐糖能からインスリン抵抗性症候群(IGT,2型糖尿病)への進展にかかわる因子の検討(1988年に実施):正常耐糖能群で空腹時血糖値+糖負荷後2時間インスリン値は,TG,BMI,ウェストヒップ比(WHR),血圧と正相関し,HDL-Cと負の相関を示した(p<0.05)。年齢補正後,IGT群でインスリン和,TG,BMI,WHR,血圧は年齢,性に関係なくIGTと有意に相関した。IGTはインスリン抵抗性に関連する因子と関係がある(Ohmura T et al: The association of the insulin resistance syndrome with impaired glucose tolerance and NIDDM in the Japanese general population; the Hisayama study. Diabetologia. 1994; 37: 897-904.)。 PubMed
  • 脂肪と栄養摂取に関する検討[1986年に無作為に選んだ30歳以上847例(男性320例,女性527例)]:総コレステロール(TC),トリグリセリド(TG),LDL-C上昇,HDL-C低下の重要因子はBMI,空腹時血糖値,HDL-C上昇はアルコール消費量であった。コントロールできる非食事要素は,年齢,BMI,血圧,空腹時血糖値,アルコール摂取,喫煙,身体活動であった。これらの要素を考慮しても,動物蛋白および飽和脂肪酸の摂取は男女でTC,HDL-Cの上昇に寄与した。脂質と食事の関係(1965年と'85年を比較)は,'85年は'65年より多量の動物蛋白,動物脂肪,飽和脂肪酸を摂る傾向にあった。60歳以上の男性ではTC,LDL-C,TGが次第に上昇したが,ハワイ在住の日本人移住者より低く保っていた。近年の脂質値上昇は栄養の変化に関係しうる,さらに将来心血管疾患パターンが変化する可能性がある(Kato I et al: Serum lipids and nutritional intake in a Japanese general population; the Hisayama study. Ann NY Acad Sci. 1993; 676: 331-3.)。 PubMed
  • 2型糖尿病および耐糖能障害(IGT)の頻度:1988年6月29日~11月14日,2587例(80.2%)で75gOGTTを実施し(終了したのは2480例),'85年のWHO診断基準により糖尿病,IGT,正常耐糖能に分類。年齢補正した有病率は男性12.7%,女性8.4%,IGTは各19.6%,18.4%であった。これらの数字は以前の調査より増えていた。糖尿病有病率は60歳未満の男性が女性より有意に高かった(特に50~59歳は19.5%)が,IGTの有病率に男女,年齢による有意差はなかった(Ohmura T et al: Prevalence of type 2 (non-insulin-dependent) diabetes mellitus and impaired glucose tolerance in the Japanese general population; the Hisayama study. Diabetologia. 1993; 36: 1198-203.)。 PubMed
  • 喫煙の心血管疾患に及ぼす影響:1603例;男性(699例)の76%,女性(904例)の17%が喫煙者。冠動脈心疾患(CHD)73例,非塞栓性脳梗塞175例に発症。CHDは男女とも>10本/日の喫煙者で非喫煙者より発症率が高かった。喫煙者か否かと非塞栓性脳梗塞の発症に関係はなかった。1患者が主要リスク(喫煙,高血圧,高コレステロール)を1つ以上有している場合,CHDのリスクは2.4~7.7倍になった。Cox比例ハザードモデルによると,喫煙はCHDの独立した有意なリスク因子であったが,非塞栓性脳梗塞に関しては違った(Kiyohara Y et al: Smoking and cardiovascular disease in the general population in Japan. J Hypertens. Suppl 1990; 8: S9-15.)。 PubMed
  • 脳卒中の季節変動(1961年~'85年):脳卒中発症308例,うち脳梗塞223例,脳内出血51例,くも膜下出血27例。全脳卒中(p<0.01),脳内出血(p<0.05),脳梗塞(p<0.01)に有意な季節変動が認められたが,くも膜下出血にはみられなかった。<64歳例では脳内出血(p<0.05),脳梗塞(p<0.01)いずれも有意な季節変動が認められた。高血圧例(p<0.05),高コレステロール例(p<0.05)で,脳内出血発症に有意な季節変動がみられ,脳梗塞の発症についても正常血圧例(p<0.05)および低コレステロール例(p<0.01)において同様の季節変動がみられた。
    脳内出血および脳梗塞は外界温度と負の相関(各p<0.01,p<0.05),男性の全脳卒中(p<0.05)および脳内出血(p<0.01)は日内温度変動と有意に相関した(Shinkawa A et al: Seasonal variation in stroke incidence in Hisayama, Japan. Stroke. 1990; 21: 1262-7.)。 PubMed
  • 脳出血(ICH)の頻度の比較(1961~'83年):脳卒中292例発症,うち脳梗塞が最も多かった(71.6%),次いで脳内出血(ICH)が16.8%,くも膜下出血が8.9%であった。ICHの発症は男性において第1集団(1961~'70年)で3.1例/1000人→第2集団('74~'83年)で1.2例/1000人と有意に低下したが,女性では変化はみられなかった。大型の脳出血は減少したが,少量あるいは中等量(<2cm2)出血が第2集団で増加した。この傾向は久山町の高血圧の頻度が減少したことによる可能性がある(Ueda K et al: Intracerebral hemorrhage in a Japanese community, Hisayama: incidence, changing pattern during long-term follow-up, and related factors. Stroke. 1988; 19: 48-52.)。 PubMed
  • 一過性脳虚血発作(TIA)の検討:1961~'81年でTIA18例,うち9例(50%)が脳梗塞に進展,非TIA例[10.9%(175例/1603例)]よりも発症率は有意に高かった。TIA初発平均年間発生率は0.56/1000人,初発の平均年齢は72歳。年齢,高血圧は男性でのTIA発症の強い決定因子。ラクナ梗塞はTIA後に脳卒中を発症した例で最もよくみられた(Ueda K et al: Transient cerebral ischemic attacks in a Japanese community, Hisayama, Japan. Stroke. 1987; 18: 844-8.)。 PubMed
  • 冠動脈硬化のリスク因子の検討:1971~'81年における40歳以上の剖検例で,冠動脈に関する病理的検討の得られた281例が対象。動脈硬化の重症度は年齢に相関して進展した。また動脈硬化は高血圧,高コレステロールと正の相関にあった。有意(p<0.05),および正の相関が認められた因子は順番に年齢,血圧,コレステロール,性,BMIであった。喫煙は正の相関にあったものの有意ではなく,飲酒は負の相関にあった。以上7因子のアテローム動脈硬化への寄与は33.5%であった(Okumiya N et al: Coronary atherosclerosis and antecedent risk factors; pathologic and epidemiologic study in Hisayama, Japan. Am J Cardiol. 1985; 56: 62-6.)。 PubMed
  • 久山町における脳卒中の頻度と死亡の低下[1961~'76年(1961年11月~'66年10月,'66年11月~'71年10月,'71年11月~'76年10月と5年ごと3期に分けた)]:死亡503例,うち416例(82.7%)を剖検。15年で脳卒中203例,うち171例が死亡[150例(87.7%)を剖検]。脳出血が34例,うち29例が発症から2週間以内に死亡。脳梗塞が142例,うち112例が死亡。脳出血,脳梗塞は老齢者で急速に上昇した。脳出血死は5年ごとに男性で低下したが女性では変動した。脳梗塞死は男女ともやや増加した(Ueda K et al: Decreasing trend in incidence and mortality from stroke in Hisayama residents, Japan. Stroke. 1981; 12: 154-60.)。 PubMed

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収載年月2001.10
更新年月2017.08