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症候性冠動脈疾患患者において,血管形成術(PTCA)施行前から投与を開始するクマリン系抗凝固薬acenocoumarolの有効性を検討。一次エンドポイントは1年後の死亡+心筋梗塞+標的血管の血行再建術+脳卒中。 |
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抗凝固療法の併用が有効であるとしても,目標INRが2.1~4.8(追跡期間中の平均INR3.0)という値が日本人にとって適切であるか否かは不明である。(井上) |
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無作為,オープン,intention-to-treat解析。 |
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追跡期間は1年。 |
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1058例。 除外基準:PTCA施行前24時間以内の急性心筋梗塞,バイパスグラフト内の標的病変,抗凝固療法実施例,coumarinやaspirinの禁忌など。 |
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acenocoumarol+aspirin群(クマリン群)(530例):PTCA(バルーン,ステント留置)施行前から6か月間投与,目標プロトロンビン時間はINR 2.1~4.8。aspirin単独群(528例)。 全例にaspirin(loading量300mg,その後100mg/日)をPTCA施行の24時間以上前から投与。heparinは施行中のみ投与(施行直前に10000U,その後毎時間5000U)。 |
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一次エンドポイントの発生率はクマリン群で14.3%,aspirin単独群で20.3%[相対リスク(RR)0.71,95%信頼区間(CI)0.54-0.93]。30日目の発生率は3.4% vs 6.4%(RR 0.53,95%CI 0.30-0.92)。acenocoumarolの有効性はステント植込み群,非植込み群の両群で認められた。 入院中の重大な出血および偽性動脈瘤の発生率は,coumarin群で3.2%,aspirin群で1.0%であった(RR 3.39,95%CI 1.26-9.11)。 ★結論★PTCA前からacenocoumarol+aspirinの投与を開始し6か月継続投与すると,急性期および晩期の合併症の予防効果がaspirin単独投与より高い。しかしこの有効性には少ないながらも有意な出血性合併症発生の増加が伴う。 |
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- [main]
- ten Berg JM et al: Effect of coumarins started before coronary angioplasty on acute complications and long-term follow-up; a randomized trial. Circulation. 2000; 102: 386-91. PubMed
- [substudy]
- 至適抗凝固療法(追跡期間中のINRが目標INRの>70%)は晩期の血栓性イベント非発生の独立した予測因子であり,6か月後の血管径拡大効果に関係している:Circulation. 2001; 103: 2042-7. PubMed
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