循環器トライアルデータベース

ERACI II
Argentine Randomized Study: Coronary Angioplasty with Stenting vs. Coronary Bypass Surgery in Multivessel Disease

目的 多枝疾患患者においてステントによる経皮的冠動脈血行再建術(PTCR)とCABGの有効性を比較。一次エンドポイントは30日以内の死亡+Q波心筋梗塞(MI)+脳卒中+緊急あるいは待機的再血行再建。
コメント バルーンによるPTCAとCABGを比較した過去のtrial(RIATA,BARI,EAST,GABI,ERAC Iなど)では,長期予後には差がなく,臨床症状と再血行再建術率でCABGが優れているというのが共通した結論だった。 ERAC II trialはステントを用いて両者を比較した初めてのrandomized trialである。CABG群の死亡+Q波梗塞の発生率が示す通り,対象症例は重症症例が多いにもかかわらず,短期・長期予後ともPTCR群の方が良好であった。しかもその有効性に疑問符の付いている(Circulation. 2000; 102: 1364-1368. PMID:10993853)Gianturco Roubin II stentを用いての成績だけに,この結果には驚かされた。(中野中村永井
デザイン 無作為,多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は平均18.5か月。
対象患者 450例。血行再建術が必要な症候性の症例。最大の薬物療法にもかかわらずCanadian Cardiovascular Society分類III~IV度の安定狭心症,不安定狭心症。1枝以上の主要な冠動脈の狭窄が目測で70%以上(PTCRの場合は参照血管径は目測で≧3mm),さらに他の1枝以上に>50%の狭窄を有する症例。
除外基準:1枝疾患,CABG既往,1年以内のPTCA施行例,ステント既往,発症24時間以内の急性心筋梗塞,2枝完全閉塞,EF≦35%など。
治療法 PTCR群(225例):前治療として,施行前24時間に抗血小板薬aspirin 325mg/日,ticlopidine 500mg/日を投与。抗凝固薬heparinを施行中の活性化凝固時間が280秒以上になるようボーラス静注。使用ステントはGianturco Roubin II stent。CABG群225例。
結果 完全血行再建はPTCR群で50.2%,CABG群で85%(p=0.002)。
一次エンドポイントの発生率はPTCR群3.6%,CABG群12.3%(p=0.002)であった。死亡率は0.9% vs 5.7%(p<0.013),Q波MIは0.9% vs 5.7%(p<0.013),死亡+Q波梗塞発生率は1.8% vs 11.4%(p=0.0001)。
平均18.5か月追跡後の生存率は96.9% vs 92.5%(p<0.017),MI非発生率は97.7% vs 93.4%(p<0.017)。再血行再建率は16.8% vs 4.8%とPTCR群で高かった(p<0.002)。
1患者当たりのコストはPTCR群が12310ドル,CABG群が11160ドルで有意差は認められなかった(二次エンドポイント)。
★結論★多枝疾患の高リスク例でステントによるPTCRはCABGよりも生存率が高く,MIの発生率が低かった。再血行再建率はPTCR群の方が高かった。
文献
  • [main]
  • Rodriguez A et al for the ERACI II investigators: Argentine randomized study; coronary angioplasty with stenting versus coronary bypass surgery in patients with multiple-vessel disease (ERACI II); 30-day and one-year follow-up results. J Am Coll Cardiol. 2001; 37: 51-8. PubMed

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収載年月2001.07