循環器トライアルデータベース

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Arterial Revascularization Therapies Study

目的 多枝疾患患者において,ステントとバイパス術の有効性とコストを比較。一次エンドポイントは1年目の主要な心脳血管イベントのない生存,およびコスト。
コメント 多枝疾患患者に対するステント植込みは,バイパス術に比べると再施行の頻度は高いものの1年間の医療費を低く抑えることができる。(井上
デザイン 追跡期間は1年。1997年4月~'98年6月にランダム化。
期間 無作為割付け,多施設(67施設)。
対象患者 1205例。バイパスあるいは血管形成術既往のない者。安定狭心症(Canadian Cardiovascular Society分類I~IV度),不安定狭心症(Braunwald分類IB,IC,IIB,IIC,IIIB,IIIC)あるいは無症候性虚血の患者。異なる血管あるいは異なる分野にある2枝以上の病変(ただし左主幹部病変は除く)。完全閉塞(1か月以内)している主要な1つの本幹あるいは側枝は含む。
除外基準:EF≦30%,うっ血性心不全。
治療法 心臓外科医とインターベンションを行っている心臓専門医がどちらの施術法であっても同程度の血行再建が得られると意見が一致した症例を対象にした。ステント群600例,あるいはバイパス群605例にランダム化。
結果 1年目の死亡,脳卒中,心筋梗塞(MI)の発生率に両群間に有意差はみられなかった。脳卒中あるいはMIの非発生例のうち2度目の血管形成術施行率はステント群で16.8%,バイパス群で3.5%であった。イベント非発生生存率は,73.8% vs 87.8%(p<0.001)。
初回施行費用はステント群の方がバイパス群より4212ドル少なかったが,この差はステント群で血行再建術の再施行の必要が高かったため追跡期間中に減少した。1年後にはステント群のコストはバイパス群より1患者当たり2973ドル少なかった。
★結論★多枝疾患患者へのステント植込みは施行後1年目でバイパス術よりコストは安く,死亡・脳卒中・MI抑制効果は同様であった。しかしながら,ステントは血行再建術の再施行の必要性が高かった。
文献
  • [main]
  • Serruys PW et al for the arterial revascularization therapies study group: Comparison of coronary-artery bypass surgery and stenting for the treatment of multivessel disease. N Engl J Med. 2001; 344: 1117-24. PubMed
  • [substudy]
  • 5年後の予後:死亡例はステント群48例,CABG群46例で同様であった。さらに脳卒中,MIも両群間に有意差はみられなかった。主要な有害脳心血管イベントは血行再建術の再施行が増加したステント群で多かった:J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 575-81. PubMed
  • 3年後の予後:脳卒中,心筋梗塞非発症の生存率はステント群87.2%,バイパス群88.4%で差はなかった。しかし再血行再建術率がステント群で有意に高くコスト増につながった:Circulation. 2004; 109: 1114-20. PubMed
  • 完全な血行再建達成率はステント群よりバイパス群の方が高かった。1年後のイベント発生のない生存率にバイパス群では完全な血行再建達成例と非達成例に有意差はなかったが,ステント群では非達成例のバイパス術率が高かった:J Am Coll Cardiol. 2002; 39: 559-64. PubMed
  • CABG後のCK(creatine kinase)上昇は30日以内の死亡およびMI再発のリスクを上昇し,晩期の有害事象発生に独立して関係した:Circulation. 2001; 104: 2689-93. PubMed
  • 糖尿病・ステント植込み例の1年後の転帰はCABG施行例あるいは非糖尿病例よりも不良であった:Circulation. 2001; 104: 533-8. PubMed

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収載年月2001.05
更新年月2005.10