循環器トライアルデータベース

TARGET
Do Tirofiban and ReoPro Give Similar Efficacy Outcomes Trial

目的 ステントによる経皮的冠動脈血行再建術施行例において,血小板GPIIb/IIIa受容体拮抗薬tirofiban(低分子拮抗薬)とabciximab(モノクロナール抗体)の有効性と安全性を比較。一次エンドポイントは30日以内の死亡+非致死性心筋梗塞(MI)+緊急標的血管血行再建術(TVR)。
コメント tirofibanとabciximabは共に血小板GPIIb/IIIa受容体拮抗薬であるが作用機序は異なり,臨床効果にも差が認められた。(中村中野永井
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(18か国),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。登録期間は1999年12月30日~2000年8月25日。
対象患者 4809例。elective ステントあるいは緊急ステント施行例。
除外基準:心臓ショック,あるいは心電図上でST上昇を有する急性心筋梗塞。クレアチニン≧2.5mg/dL,出血中の症例,血小板数<12×104/μL。
治療法 tirofiban,abciximabは施行前投与した。tirofiban群(2398例):tirofiban 10μg/kgをボーラス投与後,0.15μg/kg/分を18~24時間静注。abciximab群(2411例):0.25mg/kgをボーラス投与後,0.125μg/kg/分(最大10μg/分)を12時間静注。試験薬はダブルダミーで投与した。
全例に施行前にaspirin(250~500mg)を経口投与。可能ならば施行前2~6時間にclopidogrel 300mgを経口投与,aspirin(75~325mg),clopidogrel(75mg)を30日間投与を継続。施行開始時にheparin <70U/kg(目標活性化時間250秒)を投与。
結果 一次エンドポイントの発生率は,abciximab群6.0%,tirofiban群7.6%とabciximab群で有意に低かった(p=0.038)。tirofiban群のハザード比は1.26(95%信頼区間 1.01-1.57)。同群のハザード比をイベント別にみると,死亡率1.21,MI発症率1.27,緊急TVR施行率1.26であった。MIの発生率はabciximab群で有意に低かった[5.4% vs 6.9%(p=0.04)]。abciximabの相対ベネフィットは年齢,性,糖尿病の有無,clopidogrelの前投与の有無にかかわらず一貫して認められた。重大な出血合併症あるいは輸血の発生率に両群間で有意差はみられなかったが,小出血および血小板減少症の発生率はtirofiban群の方が低かった。
★結論★本試験はtirofibanがabciximabに劣らないことを評価することを意図していたが,結果は主要な虚血性イベントの抑制効果においてtirofibanがabciximabに比べ劣っていることを証明した。
文献
  • [main]
  • Topol EJ et al for the TARGET investigators: Comparison of two platelet glycoprotein IIb/IIIa inhibitors, tirofiban and abciximab, for the prevention of ischemic events with percutaneous coronary revascularization. N Engl J Med. 2001; 344: 1888-94. PubMed
  • [substudy]
  • ステント施行中の血小板減少(<100×109/L)と,abciximab(オッズ比4.4),クレアチニン≧0.8mg/dL(3.8),一過性脳虚血発作の既往(3.2),女性(1.9),末梢血管疾患既往(1.78)は独立して関連。原因を問わず血小板減少は虚血性イベント,出血,輸血と関連する:Circulation. 2004; 109: 2203-6. PubMed
  • aspirin,GPIIb/IIIa受容体拮抗薬投与例において,clopidogrel前投与は死亡,MIの低下と関連:J Am Coll Cardiol. 2003; 42: 1188-95. PubMed
  • 血栓,偏心性あるいは>20mmの病変を有する例は,GPIIb/IIIa受容体拮抗薬投与にもかかわらず植込み後の虚血性転帰のリスクが高い:J Am. Coll Cardiol. 2003; 42: 981-8. PubMed
  • 6か月後の死亡+MI+TVRの発生率はabciximab群14.3%,tirofiban群14.8%で両群間に有意差は認められなかった:Lancet. 2002; 360: 355-60. PubMed
  • 糖尿病例においては,6か月後のTVRおよび1年後の死亡を含めイベント発生率は同様であった:Circulation. 2002; 105: 2730-6. PubMed
  • 急性冠症候群例で,tirofibanに比べabciximabは周術期の心筋ネクローシスをより抑制したが,6か月後の生存率は同様であった。安定した冠症候群例ではtirofiban群はabciximab群と同等あるいはより良好な転帰で,有害な出血イベントが少なかった:Circulation. 2002; 105: 2347-54. PubMed

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収載年月2001.04
更新年月2004.08