循環器トライアルデータベース

PRESERVE
Prospective Randomized Enalapril Study Evaluating Regression of Ventricular Enlargement

目的 左室肥大(LVH)を伴う高血圧患者におけるLVH退縮効果をACE阻害薬enalaprilとCa拮抗薬nifedipine GITSで比較。さらにenalaprilの方が高い左室拡張機能の改善を得られるかを検討する。
コメント 今までのメタアナリシスではLVHの退縮効果はACE阻害薬がCa拮抗薬より強いとされており,本試験でもこのことをprospective trialで確認するため行われたが,結果は意外にもACE阻害薬とCa拮抗薬の左室退縮効果は同じであった。さらにACE阻害薬の方が降圧のため併用薬が多かったことを示している。(桑島
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(4大陸10か国),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1年。
対象患者 303例。50歳以上。心エコーでLVHが確認された本態性高血圧。ランダム化前の4週間の座位血圧が収縮期血圧(SBP)≧140mmHgおよび/あるいは拡張期血圧(DBP)≧90mmHg,降圧薬を服用していない場合は≧150および/あるいは90mmHg。左室筋重量:男性および65歳未満の女性は>116.0g/m²,高齢女性は>104.0g/m²。
除外基準:EF<40%,重症弁膜症あるいは心電図で確認した心筋症の併発。最初ACE阻害薬あるいはCa拮抗薬を投与されていた例,ただし頻回投与例は層別化割付けした。
治療法 enalapril群(148例):10mg投与,12週間の漸増投与期に20mgまで増量可とnifedipine GITS群(155例):30mg投与,60mgまで増量可にランダム化。最大投与量で血圧がコントロールできない場合は,hydrochlorothiazide 25mg投与後,atenolol 25mgの投与を推奨。
左室筋重量はベースライン時,6か月後,1年後の心エコーで測定。
拡張期左室充満速度比はドプラー法で評価。
結果 試験を終了したのは222例(enalapril群104例,nifedipine群118例)。
1年後の血圧(SBP/DBP)の平均低下はenalapril群-21.8/11.9mmHg,nifedipine群-21.1/13.4mmHgで両群間に有意差は認められなかった。目標降圧(<140/90mmHgあるいはSBP≧30mmHgの降圧,DBP≧15mmHgの降圧)に達したのは各群38%。enalapril単剤よりもnifedipine単剤の方が目標血圧に達した(43% vs 61%, p<0.005)。hydrochlorothiazide追加例は,nifedipine群よりenalapril群の方が多かった(34% vs 59%, p<0.001)が,atenolol追加例は両群間で有意差はなかった。
単剤治療,年齢,性,民族,ベースライン時のLVHの重症度の違いによる有意な両群間差は認められなかった。
左室筋重量はenalapril群-15g/m² vs nifedipine群-17g/m²で有意差はみられなかった。早期の拡張期充満速度あるいは心房収縮期の左室流入血流速度の変化への両群間差はみられなかった。
★結論★enalaprilあるいは長期作用型nifedipine1日1回投与+hydrochlorothiazide, atenolol投与による降圧治療のLVH退縮効果は,穏やかで統計学的な有意差を認めるには至らなかった。
文献
  • [main]
  • Devereux RB et al: Effects of once-daily angiotensin-converting enzyme inhibition and calcium channel blockade-based antihypertensive treatment regimens on left ventricular hypertrophy and diastolic filling in hypertension: the prospective randomized enalapril study evaluating regression of ventricular enlargement (PRESERVE) trial. Circulation. 2001; 104: 1248-54. PubMed
  • [substudy]
  • 収縮期chamberへの左室拡張期充満と心筋収縮性能の関係:Am J Cardiol. 1999; 84: 558-62. PubMed

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EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
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収載年月1999.09
更新年月2001.10