循環器トライアルデータベース

BARI
Bypass Angioplasty Revascularization Investigation

目的 多枝疾患患者において,初回治療としてのPTCAの効果をCABGと比較検討。一次エンドポイントは全死亡。
コメント 本試験の結果は,先行するRITA・GABI・EAST・CABRI試験と同様だった。しかし現在,CABGには低侵襲手術が導入され,インターベンションではNew Deviceが汎用されており,時代を反映した新たな無作為試験が待たれる。(中野永井
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(18施設:アメリカ16施設,カナダ2施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は平均5.4年。
対象患者 1829例。血行再建術の必要な虚血の客観的な証拠があり,冠動脈造影で多枝冠動脈疾患を確認したもの。
治療法 CABG群(914例)あるいはPTCA群(915例)にランダム化。初回再建術はステント未使用。
結果 院内の死亡率はCABG群1.3%,PTCA群1.1%,脳卒中の発症率は0.8% vs 0.2%で有意差はみられなかったが,Q波梗塞の発症率は4.6% vs 2.1%でPTCA群が有意に低かった(p<0.01)。5年生存率は,89.3% vs 86.3%(p=0.19),Q波梗塞合併5年生存率は,80.4% vs 78.7%であった。血行再建術の再施行率は8% vs 54%でPTCA群で高かった。サブグループ解析ではインスリンまたは経口血糖降下薬の投与を受けている糖尿病患者の5年生存率において有意差が認められ,CABG群80.6%,PTCA群65.5%であった(p=0.003)。
文献
  • [main]
  • The bypass angioplasty revascularization investigation (BARI) investigators: Comparison of coronary bypass surgery with angioplasty in patients with multivessel disease. N Engl J Med. 1996; 335: 217-25. PubMed
  • [substudy]
  • 平均追跡期間10.4年後の結果:生存率はCABG群73.5% vs PTCA群71.0%で両群間に有意差はなかった(p=0.18)。心筋梗塞(MI)を伴わない生存率は,71.1% vs 68.9%(p=0.58),血行再建術再施行は20.3% vs 76.8%でCABG群で有意に抑制された(p<0.001)が,狭心症は両群同様であった。
    糖尿病サブ解析:生存率は糖尿病治療例:CABG群57.9% vs PTCA群45.5%(相対リスク1.29, p=0.025),非糖尿病あるいは未治療糖尿病:77.3% vs 77.0%(1.01, p=0.59),MIを伴わない生存率は糖尿病治療例:61.4% vs 46.1%(1.40, p=0.026),非・未治療糖尿病例:73.3% vs 73.8%(0.98, p=0.65):J Am Coll Cardiol. 2007; 49: 1600-6. PubMed
  • CABGとPTCAの早期(2年,3年後)のコスト(CABGの方が高い)およびQOL(CABGの方が良好)の有意差は,遠隔期(10年,12年後)には有意ではなくなった:Circulation. 2004; 110: 1960-6. PubMed
  • 5年後の冠動脈造影結果(407例):myocardial jeopardyはPTCA(PCI)群60%→施行後17%(vs 試験開始時p<0.001)→5年後25%,CABG群60%→7%(p<0.001)→20%(vs PCI群p=0.01),5年後の狭心症はそれぞれ28%, 18%(p=0.03)。しかし,myocardial jeopardyの増大例はCABG群の方が多くその3分の2は未治療冠動脈であった:J Am Coll Cardiol. 2004; 44: 766-74. PubMed
  • non-HDL-C(総コレステロール-HDL-C)は5年後の非致死性MI狭心症の強い独立した予測因子である:Circulation. 2002; 106: 2537-42. PubMed
  • 糖尿病例は血管の質が不良にもかかわらず,内胸動脈あるいはグラフトの開存に有害な影響はないと思われる:Circulation. 2002; 106: 2652-8. PubMed
  • National Heart, Lung and Blood Instituteが実施しているDynamic RegistryのBARIのクライテリアに合致する例(contemporary PCI)とBARI-PTCA例の比較:1年後の死亡率に差は認められなかったが,contemporary PCIは入院中のCABG施行,1年後のCABGおよびPCI再施行のリスク低下と独立して関連していた:Circulation. 2002; 106: 1627-33. PubMed
  • 慢性腎疾患は再入院,それに続くCABG,死亡リスクの上昇と関係がある:Circulation. 2002; 105: 2253-8. PubMed
  • 糖尿病を有するPTCA施行例では心筋が有意に悪化したが,CABG例では糖尿病と心筋悪化に関連はみられなかった:Circulation. 2002; 105: 1914-20. PubMed
  • BMIは短期および長期予後に異なる影響を及ぼすようである(PTCA群では高BMIの入院中イベント発生率は低いが,CABG群では関連はみられない。長期予後においてPTCA群ではBMIとの関係はみられず,CABG群では心死亡率とBMIは直線の関係):J Am Coll Cardiol. 2002; 39: 834-40. PubMed
  • 解剖学的高リスク例(近位左冠動脈前下行枝に関係する3枝および2枝病変,左室不全)において,CABGとPTCAは7年後の生存率は同様であった:J Am Coll Cardiol. 2001: 38: 1440-9. PubMed
  • 動脈stiffness(硬さ)を反映する脈圧は独立して全死亡率と関係する:Am J Cardiol. 2001; 87: 675-9. PubMed
  • 血行再建術が左室機能に及ぼす影響:Circulation. 2001; 103: 1076-82. PubMed
  • ステントの長期コスト:Am Heart J. 2000; 140: 556-64. PubMed
  • BARI randomized trial(n=1829)およびBARI registry(n=2010)患者において,長期(5年)予後に影響を与える諸因子を検討。心臓死の予測因子として,インスリン治療患者へのPTCA,CABG後のST上昇,心不全,腎機能障害,加齢等が特に重要であった:Circulation. 2000; 101: 2682-9. PubMed
  • BARI randomized trial(n=1829)および任意に治療法を選択したBARI registry(n=2010)の長期予後を比較検討。BARI registryにおいてPTCA施行例がCABG施行例の2倍近く,7年予後はPTCA群とCABG群で差はなく(死亡率13.9% vs 14.2%, p=0.66),糖尿病例でも同等(26.0% vs 26.0%)であった。BARI randomized trialでの7年死亡率はPTCA群19.1%,CABG群15.6%で,PTCA群でBARI registryとの有意差が認められた(p<0.01):Circulation. 2000; 101: 2795-802. PubMed
  • BARI randomized trialの長期予後をオリジナルよりさらに長期間(平均7.8年)で検討。7年生存率はCABG群でPTCA群より有意に良好(84.4% vs 80.9%, p=0.043)となったが,これは糖尿病群における生存率の差が広がったことに起因しており(76.4% vs 55.7%, p=0.0011),非糖尿病群では依然として差はなかった(86.4% vs 86.6%, p=0.72)。再治療率はPTCA群において高率だが(13.1% vs 59.7%, p<0.001),5~7年後の間では差がなかった:J Am Coll Cardiol. 2000; 35: 1122-9. PubMed
  • 糖尿病例で5年死亡率,Q波心筋梗塞(MI)発症率は非糖尿病より高率(死亡率:20% vs 8%, p<0.001),Q波MI発症率:8% vs 4%, p<0.001)。糖尿病例においてはCABG群において非CABG群より死亡率が抑制されるが,特にQ波MI後の予後も良かった:N Engl J Med. 2000; 342: 989-97. PubMed
  • 1年後の冠動脈造影(狭心症と血行再建の関連):J Am Coll Cardiol. 1999; 34: 1750-9. PubMed
  • 下肢動脈疾患の有病率および予後の重要性:J Am Coll Cardiol. 1999; 34: 716-21. PubMed
  • pre-PTCA strategy(不完全血行再建)の影響:Circulation. 1999; 100: 910-7. PubMed
  • 末梢血管疾患はCABGあるいはPTCA施行後の合併症発生のハイリスク:Circulation. 1999; 100: 171-7. PubMed
  • CABG候補の非糖尿病患者に意図的不完全血行再建術は適応されるか:J Am Coll Cardiol. 1999; 33: 1627-36. PubMed

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収載年月1999.09
更新年月2007.05