循環器トライアルデータベース

Syst-Eur
Systolic Hypertension in Europe

目的 老年者収縮期高血圧におけるCa拮抗薬nitrendipineの脳心血管合併症予防効果を検討。
コメント Ca拮抗薬を第一選択薬とする降圧治療が脳心血管合併症発症を抑制することを示した最初の大規模臨床試験である。脳卒中のみならず心疾患発症に対しても抑制効果を示した点でも意義は大きい。またCa拮抗薬の発症性,心毒性も完全に否定した点でも貴重。(桑島
心血管疾患による死亡率と合併症発生率に対するCa拮抗薬を基礎にした降圧療法の予防効果を検討した初の無作為介入試験。この試験結果はやや保守的とみられるJNC-VI(1997)策定に影響を及ぼし,老年者の収縮期高血圧に対して長時間作用型Ca拮抗薬が第一選択薬となった。(Hansson)
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(23か国198施設)。
期間 追跡期間は2年(中央値)。1997年2月14日試験中止。
対象患者 4695例。60歳以上。座位収縮期血圧160~219mmHg,座位拡張期血圧95mmHg未満。
治療法 nitrendipine群(2398例)とプラセボ群(2297例)に割付け。nitrendipine群は10~40mg/日投与。降圧不十分な場合はenalapril 5~20mg/日,hydrochlorothiazide 12.5~25mg/日を追加投与。
結果 追跡期間中の降圧は,実薬群で23/7mmHg,プラセボ群で13/2mmHg。実薬治療により,致死的および非致死的脳卒中は13.7例/1000人・年から7.9例/1000人・年まで減少(42%低下,p=0.003)。実薬群では,突然死を含む致死的および非致死的心事故は26%,非致死的心事故は33%(p=0.03),全心血管イベントは31%減少した(p<0.001)。nitrendipineを第一選択薬とする降圧治療を行うことにより,5年間で1000人当たり脳卒中を29件,主要な心血管イベントを53件予防できると思われる。
◆2001年ESH(欧州高血圧学会)において,Syst-Eurの追跡試験であるSyst-Eur 2の中間発表があった:3516例をオープンで3年(中央値)追跡した結果,実薬群のSBP/DBPの降圧は16/5mmHg,プラセボ群7/5mmHg。目標血圧(SBP<150mmHg)達成率は74%,SBP 150~159mmHgは14%。2001年12月31日終了予定。
文献
  • [main]
  • Staessen JA et al for the systolic hypertension in Europe (Syst-Eur) trial investigators: Randomised double-blind comparison of placebo and active treatment for older patients with isolated systolic hypertension. Lancet. 1997; 350: 757-64. PubMed
  • [substudy]
  • nitrendipine単剤投与群(1327例)の平均投与量は23.4mg/日で,2年後の降圧は収縮期が12.9mmHg,拡張期が5.7mmHg。併用実薬群(1042例)はnitrendipine群(757例,平均投与量35.7mg/日),enalapril群(783例,13.4mg/日),および/あるいはhydrochlorothiazide群(294例,21.0mg/日)。nitrendipine単剤投与群はプラセボ群と比べ心血管イベントが25%少なく(p=0.05),併用群では全死亡が40%(p=0.01),全脳卒中が59%(p=0.001),全心血管イベントが39%(p<0.001)低下した。本後付け解析によるnitrendipineの心血管死亡のリスク低下は41%,心血管イベントは33%,全心イベントは33%(全p=0.05):Hypertension. 1998; 32: 410-6. PubMed
  • ベースライン時の自由行動下血圧は追跡時の外来時血圧よりも心血管イベントを良好に予測する:J Hypertens. 2004; 22: 81-7. PubMed
  • 持続性高血圧患者は非持続性高血圧患者より心電図の電位が高く,心血管合併症の発生率が高い。実薬の有効性は中等度の持続性高血圧患者のみで有意:Circulation. 2000; 102: 1139-44. PubMed
  • 従来の血圧測定と24時間血圧測定の予後を比較:JAMA. 1999; 282: 539-46. PubMed
  • 糖尿病患者と非糖尿病患者において転帰を比較:N Engl J Med. 1999; 340: 677-84. PubMed
  • 降圧治療は痴呆の発症を抑制できるのか:認識機能が≦23の場合に痴呆の検査を実施。実薬群で痴呆の発症が50%低下(7.7→3.8例/1000人・年)。1000例の高血圧患者に5年間降圧治療を行うと19例の痴呆を予防できる可能性がある:Lancet. 1998; 352: 1347-51. PubMed

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収載年月1999.09
更新年月2005.06