循環器トライアルデータベース

US Carvedilol HF Study
US Carvedilol Heart Failure Study

目的 心不全患者において,β遮断薬carvedilolの投与が死亡率,心血管起因による入院を改善するかを検討。
コメント carvedilolにより死亡リスクの低下が明らかであったため試験途中で中止となった。ACE阻害薬服用中の患者でも重症度,虚血などの病因によらず予後を改善し,さらに突然死を減少した点で,重要である。死亡リスクの低下(65%)は,慢性心不全に対するβ遮断薬のトライアルの中で最も大きい。(
デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1日~15.1か月,中央値6.5か月。実施期間は1993年4月から'95年2月まで。
対象患者 1094例。平均年齢58歳でEF≦0.35の慢性心不全患者。
治療法 carvedilol群696例とプラセボ群398例に割付け。carvedilol群は運動耐容能によって次の4群に割付け。軽症心不全群(6分間歩行426~550m),中等度心不全群(150~425m),重症心不全群(150m未満),用量設定群(150~425m)。各群全例にcarvedilol 12.5mg/日で開始。忍容性のない場合は6.25mg/日より開始され12.5mg/日まで増量。2週間後,50mg/日またはプラセボを用い試験を開始,50mg/日または100mg/日まで増量。用量設定群では,プラセボ,12.5mg/日,25mg/日,50mg/日の4群に割付け。digoxin,利尿薬,ACE阻害薬,血管拡張薬(硝酸薬,hydralazine)の併用は許可。
結果 死亡率は,プラセボ群31例(7.8%),carvedilol群22例(3.2%)で,carvedilolにより死亡のリスクは65%(p<0.001)低下した。このcarvedilolの効果は,心不全死および突然死を抑制したことによる。carvedilol群では,心血管起因による入院のリスクを27%低下し(p=0.036),入院と死亡を併せたリスクも38%低下した(p<0.001)。さらにcarvedilolの効果は,年齢,性別,心不全の原因,駆出率,運動耐容能,収縮期血圧,心拍数,プロトコールによらず認められた。
文献
  • [main]
  • Packer M et al for the U.S. carvedilol heart failure study group: The effect of carvedilol on morbidity and mortality in patients with chronic heart failure. N Engl J Med. 1996; 334: 1349-55. PubMed
  • [substudy]
  • carvedilolは入院リスク,入院中の疾患の重症度,入院コストを低下した:J Am Coll Cardiol. 2001; 37: 1692-9. PubMed
  • 人種(黒人217例,非黒人877例)による反応の違い:carvedilolによる死亡,全入院リスクの低下は黒人48%,非黒人30%。心不全の悪化(死亡,入院,心不全治療薬の増量)のリスク低下は黒人54%,非黒人51%。全解析においてcarvedilolの効果に人種差を認めなかった:N Engl J Med. 2001; 344: 1358-65. PubMed
  • 重症心不全(平均EF22%)例(carvedilol群70例,プラセボ群35例)での6か月追跡結果:carvedilolは重症心不全例でも安全で,同群でEFが改善(p=0.004)。QOLの改善は両群同様であったが,医師,患者による全体評価はcarvedilol群の方が有意に良好であった:J Card Fail. 1997; 3: 173-9. PubMed
  • 軽症心不全例(carvedilol群232例,プラセボ群134例)での12か月追跡結果:心不全の進展(心不全による死亡,心不全による入院,心不全治療薬の増量)はcarvedilol群11%,プラセボ群21%で,carvedilol群で48%低下した(p=0.008)。本効果は性,年齢,人種,心不全の原因,EFによる差はなかった:Circulation. 1996; 94: 2800-6. PubMed

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収載年月1999.09
更新年月2001.07