循環器トライアルデータベース

EUROPA
European Trial on Reduction of Cardiac Events with Perindopril in Stable Coronary Artery Disease

目的 心不全を伴わない低リスクの安定冠動脈心疾患患者において,ACE阻害薬perindoprilの心血管事故抑制効果を検討。
一次エンドポイントは心血管死+非致死的心筋梗塞(MI)+心停止からの蘇生。
コメント ACE阻害薬の心不全,心筋梗塞,高リスク症例などに対する長期的有用性はすでにいくつかの大規模臨床試験で証明されているが,本試験のように心不全やリスクを有さない冠動脈疾患を対象とした試験としては最初のものであろう。これによって冠動脈疾患症例に対してはACE阻害薬を処方すべきであるとのエビデンスが得られたわけである。この長期的有用性は,降圧幅は収縮期/拡張期,5/2mmHgと小さいながらも降圧によるものと考えるべきである。特にperindoprilは長時間作用型であることが特徴であることから,24時間にわたる降圧がこの結果をもたらしたと考えられる。しかし気になることはサブ解析においてβ遮断薬併用群においてのみ有用性がみられ,単独では有用性がみられないことである。これはACE阻害薬にはβ遮断薬の併用が不可欠なことを示唆するのであろうか。今後の課題であろう。本試験の結果をみると虚血性心疾患,心不全に対する第一選択薬はやはりACE阻害薬であることを明瞭に示している。(桑島
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検, 多施設,intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は4.2年。登録期間は1997年10月~2000年6月。試験薬の平均投与期間は3.7年。
当初,一次エンドポイントは全死亡+非致死的MI+不安定狭心症+心停止からの蘇生であったが,MIの診断精度向上や心血管死の全死亡に占める割合が低かった(約60%)ことから,2002年1月にプロトコールを変更し,充分なイベント数を得るために試験期間を1年延長。
対象患者 12,218例。18歳以上。臨床上心不全のない冠動脈心疾患患者;MI既往(スクリーニング前>3か月),経皮的あるいは外科的冠動脈血行再建術既往(同>6か月),1つ以上の主要冠動脈にみられる造影上の狭窄が70%以上;心電図,エコーあるいは負荷心筋シンチで陽性かつ胸痛既往の男性。
除外基準:臨床症状のある心不全,血行再建術の予定,低血圧[座位収縮期血圧(SBP)<110mmHg],コントロールが困難な高血圧(SBP>180mmHgおよび/または拡張期血圧>100mmHg), 1か月以内のACE阻害薬,AII受容体拮抗薬投与など。
■患者背景:平均年齢60歳,男性85%,MI既往65%,血行再建術55%,糖尿病12%,高血圧27%,抗血小板薬投与率92%,β遮断薬62%,脂質低下薬58%。
治療法 perindopril 8mg/日群(6110例)とプラセボ群(6108例)にランダム化。不忍容な場合は4mg/日に減量。投与期間は3年以上とした。3,6,12か月後に検査,その後は6か月ごと。
run-in期間:投与中の薬剤+perindopril 4mg/日を2週間経口投与→忍容性が良ければ8mg/日に増量して2週間投与(70歳以上; 1週目2mg/日→ 2週目4mg/日→最後の2週間8mg/日)。
結果 一次エンドポイントはperindopril群488例(8%),プラセボ群603例(10%)と,perindopril群で20%リスクが低下[95%信頼区間(CI)9-29;p=0.0003]。
サブグループ解析;男性,55歳以下,>65歳,MI既往,非糖尿病,β遮断薬投与例で,また血行再建術,高血圧,脂質低下薬・Ca拮抗薬投与の有無に関わらず,perindoprilは一次エンドポイントの抑制に有効であった。
二次エンドポイントの全死亡,非致死的MI,不安定狭心症,心停止からの蘇生はperindoprilで14%減少(95%CI 6-21, p=0.0009),心不全による入院は39%減少(95%CI 17-56, p=0.002),全死亡は11%減少したが有意ではなかった。血行再建術,脳卒中,心不全は各9.6%, 1.6%, 1.4%と少なかった。
3年後に試験薬投与中であったのは81% vs 84%。perindopril群で投与量を4mg/日に減らしたのは7%のみ。併用薬は抗血小板薬91%,β遮断薬63%,脂質低下薬69%であった(3年後の評価)。
★考察★心不全を有さない安定冠動脈心疾患患者において,perindoprilは有意に予後を改善する。4年間の主要心血管イベントのNNTは約50人。すべての冠動脈疾患例において,他の予防薬にperindopril追加投与を考慮すべきである。
文献
  • [main]
  • The European trial on reduction of cardiac events with perindopril in stable coronary artery disease Investigators: Efficacy of perindopril in reduction of cardiovascular events among patients with stable coronary artery disease: randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial (the EUROPA study). Lancet. 2003; 362: 782-8. PubMed
  • [substudy]
  • 軽度~中等度腎機能障害例においてもperindoprilの有効性が同様にみられた。
    平均推定糸球体濾過量(eGFR)は76.2mL/分/1.73m2。一次エンドポイントはeGFR≧75mL/分/1.73m2例(5761例)では454例(7.9%):perindopril群のハザード比(HR)は0.77;95%信頼区間0.64~0.93, <75mL/分/1.73m2例(6295例)では631例(10.0%):HR 0.84;0.72~0.98。腎機能と有効性に有意な相互関係は認められなかった(p=0.47):J Am Coll Cardiol. 2007; 50: 2148-55. PubMed

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収載年月1999.09
更新年月2007.12