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pooled analysis(合体解析)
長期生存率,心筋梗塞非合併生存率において,ベアメタルステント(BMS)と比較したsirolimus溶出性ステント(SES)の有意な有効性は認められなかった。
SESの手技後の血行再建術再施行の抑制効果は持続し,ステント血栓症のリスクはBMSと同様であった。

Kastrati A et al: Analysis of 14 trials comparing sirolimus-eluting stents with bare-metal stents. N Engl J Med. 2007; 356: 1030-9.PubMed

目的 sirolimus溶出性ステント(SES)とベアメタルステント(BMS)の長期予後を比較する。
一次エンドポイントは全死亡。
その他の評価項目は,ステント血栓症,死亡+心筋梗塞(MI),死亡+MI+再血行再建術。
対象 ステントを施行した冠動脈疾患。
14*のランダム化試験(RCT)4958例:平均年齢59.3〜66.6歳;糖尿病1411例。
* BASKET,C-SIRIUS, DECODE,DIABETES,E-SIRIUS,Pache et al,PRISON II,RAVEL,SCANDSTENT,SCORPIUS,SESAMI,SIRIUS,STRATEGY,TYPHOON 。

■患者背景(糖尿病26%,平均参照血管径2.7mm,病変長14mmなど)においてSES群とPES群間に差はなかった。
期間 各試験の平均追跡期間は12.1〜58.9か月 。
方法 2002年1月〜2006年9月に下記で検索 。

PubMed(www.pubmed.gov
米国医学図書館運営の臨床試験登録公開ウェブサイト(www.clinicaltrials.gov

Cochrane Central Register of Controlled Trials:コクランセントラル比較臨床試験登録(www.mrw.interscience.wiley.com/cochrane/cochrane_clcentral_articles_fs.html

心臓関連臨床試験結果インターネット情報源(www.cardiosource.com/clinicaltrialswww.theheart.orgwww.clinicaltrialresults.comwww.tctmd.com

結果
  • 全体での死亡はSES群146例,うち心原性83例,BMS群147例,心原性79例。
    BMS群と比較したSES群の死亡ハザード比(HR)は1.03(95%信頼区間0.80〜1.30,p=0.80)。
    事前に検討を予定していた共変量(追跡期間;p=0.44,プロトコールによる2種類の抗血小板治療;p=0.69,急性心筋梗塞例が含まれている;p=0.56,二重盲検比較試験である;p=0.70)による治療効果に対する有意な影響は認められなかった 。
  • 死亡+心筋梗塞は全体でSES群241例,BMS群252例(HR 0.97;0.81〜1.16,p=0.76)で,両群間に有意差は認められなかった。
  • 死亡+心筋梗塞+血行再建術再施行はSES群331例,BMS群649例で,SES群で有意に抑制された(HR 0.43;0.34〜0.54,p<0.001)。
    どの時点でもBMS群と比較したSES群の有効性が認められたが,トライアル間で有意なばらつきがみられた(I2=62%)。
  • ステント血栓症(各トライアルの定義による)はSES群34例,BMS群31例(HR 1.09;0.64〜1.86)で両群間に有意差はなかった(p=0.75)。
    1年後以降に9例(SES群8例)発症し,1〜4年間のステント血栓症のリスクはSES群0.6%(0.3〜1.2),BMS群0.05%(0.01〜0.4)で,SES群で上昇した(p=0.02)。
  • 糖尿病サブグループ
    死亡:SES群59例,BMS群56例(HR 1.27;0.83〜1.95,p=0.26)。トライアル間に有意なばらつきはなかった。
    次の3つのエンドポイントにおいて,糖尿病と治療群間に有意な関連は認められなかった。死亡(p=0.19),死亡+心筋梗塞(p=0.39),死亡+心筋梗塞+血行再建術再施行(p=0.49)。
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