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pooled analysis(合体解析)
小さな差の検出力は限られていたが,薬剤溶出性ステント(DES)植込みから4年間のステント血栓症発症において,DESとベアメタルステント間に有意差は認められなかった 。
Mauri L et al: Stent thrombosis in randomized clinical trials of drug-eluting stents. N Engl J Med. 2007; 356: 1020-9 .PubMed

目的 遅延性ステント血栓症は長期死亡リスクを上昇させることが懸念されている。またこれまで発表されたメタ解析などではステント血栓症の定義が統一されていない。
そこで,新しく作成された定義を使用して,ステント血栓症が長期生存率に及ぼす影響を検討する。
対象 DESとベアメタルステント(BMS)を比較した8つのランダム化二重盲検試験。
sirolimus溶出ステント(SES群878例・平均年齢61.9歳),BMS群(870例・61.9歳):RAVEL,SIRIUS,C-SIRIUS,E-SIRIUS試験。
paclitaxel溶出ステント(PES群1400例・62.8歳),BMS群(1397例・62.2歳):TAXUS-I,TAXUS-II,TAXUS-IV,TAXUS-V試験。

■患者背景(糖尿病26%,平均参照血管径2.7mm,病変長14mmなど)においてSES群とPES群間に差はなかった。
期間 追跡期間(中央値):SES群・BMS群1804日,PES群1423日,BMS群1430日 。
方法 新しく作成されたAcademic Research Consortium(ARC)のステント血栓症の定義を適用した。
definite(急性冠症候群かつ血管造影あるいは剖検で確認された血栓,閉塞),probable(手技後30日以内の原因不明の死亡,血管造影による確認がされていない標的血管領域の急性心筋梗塞),possible(手技から30日後の原因不明の死亡),およびearly(0〜30日),late(31〜360日),very late(361日以降)に分類し,4年間の追跡データをプールした 。
結果
  • 4年間の各試験のプロトコールの定義によるステント血栓症はSES群10例(1.2%)vs BMS群5例(0.6%):絶対差0.6%(95%信頼区間−0.4〜1.5,p=0.20),PES群16例(1.3%)vs BMS群10例(0.8%):0.5%(−0.3〜1.4,p=0.24)で治療群間に差はなかったが,1年後以降のイベント発症はSES群,PES群の両群でBMS群より増加した 。
  • ARCの定義で評価すると,definite/probableステント血栓症の累積はSES群13例(1.5%) vs BMS群15例(1.7%):絶対差−0.2%(−1.5〜1.0,p=0.70),PES群22例(1.8%)vs BMS群18例(1.4%):0.4%(−0.7〜1.4,p=0.52)で治療群間差はみられなかった。 手技後1〜4年後のdefinite,probableステント血栓症の発症率はSES群0.9% vs BMS群0.4%,PES群0.9% vs BMS群0.6% 。
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