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pooled analysis(合体解析)
死亡,心筋梗塞,ステント血栓症の発生において,sirolimus溶出ステントとベアメタルステント間に有意差は認められず。
Spaulding C et al: A pooled analysis of data comparing sirolimus-eluting stents with bare-metal stents. N Engl J Med. 2007; 356: 989-97.PubMed

目的 ランダム化試験により薬剤溶出性ステント(DES)の血行再建術再施行の抑制効果は示されているものの,死亡や心筋梗塞抑制効果を比較するには検出力不足である。また最近,DESの長期安全性が疑問視されるようになった。
そこで,4年後の生存率をsirolimus溶出ステント(SES)とベアメタルステント(BMS)とで比較する。さらにサブグループでの効果の不均一性を検証する。
対象 1748例。急性心筋梗塞は除外し,糖尿病(食事療法,経口血糖降下薬治療,インスリン治療)428例は含んだ。
SES群(878例),BMS群(870例):2000年8月〜2002年4月に実施されたRAVEL,SIRIUS,E-SIRIUS,C-SIRIUSの4試験。

■患者背景:modified ACC-AHA病変class C(SES群22.5% vs BMS群18.5%,p=0.04),糖尿病(22.2% vs 26.8%,p=0.02)以外は両群同様であった。
期間 追跡期間は4年(1440日)。
方法 個々の試験のデータはSESを販売しているCordis社から入手し,患者レベルのデータを合体して解析した。
結果
  • 4年後の生存率はSES群93.3%,BMS群94.6%でSES群の方が低めであったが,両群間に有意差はなかった(SES群の死亡のハザード比は1.24;95%信頼区間0.84〜1.83,p=0.28)。
    心筋梗塞はSES群55例(6.4%)vs BMS群53例(6.2%)で両群同様,Q波梗塞は18例(2.1%)vs 11例(1.3%)とSES群が多めであったが両群間に差はなかった。
    ステント血栓症:試験のプロトコールによる定義では10例vs 5例,1年後以降5例 vs 0例,Academic Research Consortium(ARC)定義によると30例 vs 28例,1年後は6例 vs 14例でBMS群での発症が多めであったが,very late(1年後以降)は23例 vs 14例でSES群が多めであった。
  • 糖尿病サブ解析
    4年後の生存率は87.8% vs 95.6%とBMS群で有意に高かった(SES群の死亡のハザード比2.9;95%信頼区間1.38〜6.10,p=0.008)。
    SES群の低生存率は心血管死および非心血管死の増加によるものであった。
    非糖尿病患者では生存率の治療群間差はみられなかった。
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