AHA2002
REVASC
A Phase 2, Randomized, Multicenter, 26-week Study to Assess the Efficacy and Safety of BIOBYPASSc (AdGVVEGF121.10) Delivered Through Maximum Medical Treatment in Patients with Severe Angina, Advanced Coronary Artery Disease (CAD), and No Options for Revascularization

血管形成術やCABGが不可能な重症狭心症患者において,AdGVVEGF121.10による血管新生治療によりST下降時間,運動耐容能,重症度が有意に改善。
presenter: Duncan J. Stewart, MD(Toronto, Canada)


  血行再建術不適応の重症心筋症例において,AdGVVEGF121.10*による血管新生の有効性および安全性を検討する。一次エンドポイントは12週間後のST下降1mmまでの時間の変化。
   
  VEGFは生体内に存在する蛋白であるため局所投与による副作用は軽微であると予想される。残る課題はカテーテルベースでいかにして最適部位に注入するかという技術的問題と,生命予後を改善できるかという点である(中野)。
   
   
  無作為割付け,多施設。
   
  追跡期間は52週間。
   
  71例。CABGおよび血管形成術の対象とならず,充分な薬物治療にも不応な重症狭心症。
◆ 患者背景:平均年齢61歳,男性94%,平均EF 52%。
   
  AdGVVEGF121.10群(36例):AdGVVEGF121.10(4×1010 pu)を左心室筋30か所に外科的に注入+最良薬物療法(nitroglycerine,抗狭心症薬,抗血小板薬),対照群(35例):最良薬物療法のみ。
一次エンドポイントのST下降は運動負荷心電図で確認。
* AdgvVEGF121.10:血管内皮増殖因子VEGF(vascular endothelial growth factor)121の遺伝子を持ち,増殖能を無化したアデノウイルス。筋肉内への投与により持続的なVEGFたんぱく産生を筋細胞に付加する。VEGFたんぱくは,虚血部位の血管新生に有効であり,すでに動物モデルにおいて,この核酸医薬の投与による血管新生が示されている。また,ヒトにおける安全性についても冠動脈疾患患者を対象とした第I相試験で明らかになっている。

   
  一次エンドポイントは両群間に有意差は認められなかった(p=0.358)。
しかし,二次エンドポイントである26週間後のST下降1mmまでの時間にはAdGVVEGF121.10群で顕著な改善がみられた(p=0.024)。
同群では12週間後のlevel 2の狭心症になるまでの所要時間が約1分(p=0.006),26週間後は約1.5分(p=0.002)とプラセボ群に比べ有意に延長し,さらに総運動時間も12週間後に1分間(p=0.011),26週間後に3分間(p=0.014)延長した。またCCS(Canadian Cardiovascular Society)重症度分類も対照群では改善はみられなかったが,AdGVVEGF121.10群で6週間後(p=0.001),12週間後(p<0.001),26週間後(p<0.001)有意に改善した。
血中VEGF濃度に有意な変化はみられず,血漿アデノウイルス抗体価はどの時点でも<1:50と低値であった。尿および咽頭培養でもアデノウイルスは検出されなかった。有害事象の発生において両群間に差はみられなかった。
   
  血管形成術やCABGが不可能な重症狭心症患者において,AdGVVEGF121.10遺伝子治療はST下降時間,運動耐容能,QOLを有意に改善し,この有効性は6か月持続した。AdGVVEGF121.10に関連した重大な有害事象,他の部位でのアデノウイルスの検出はなかった。本試験はAdGVVEGF121.10による血管新生治療の有効性および安全性を支持するものであるが,手技自体はリスクを伴うため経皮的カテーテル注入法を用いたランダム化プラセボ対照二重盲検試験(phase 2,3)がまたれる。
   

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収録年月2002.11