AHA2002
DIAL
Randomized Trial of Telephonic Intervention in Chronic Heart Failure

慢性心不全患者において,看護師による電話での患者指導により心不全による入院が有意に低下。
presenter:ND Grancelli, MD(Buenos Aires, Argentina)


  慢性心不全患者において,訓練を受けた看護師による電話での指導が通常治療に比べ全死亡,心不全による入院を抑制するかを検討。
   
  本試験は電話による教育・カウンセリングやモニタリングが患者に負担をかけないで,通院治診療に匹敵する効果を発揮しうることを明確に示したユニークなトライアルである。死亡率の有意な減少が得られるまでの効果はなかったが,心不全の悪化による入院が有意に減少したのは,慢性心不全患者の管理には日常生活の管理がいかに重要であるかを示唆しており医療経済からみても意義が大きい。しかし,本試験が医療事情の異なる我が国にそのまま当てはまるかどうかは疑問である(堀)。
   
   
  無作為割付け,多施設(アルゼンチンの51施設)。
   
  平均追跡期間は439日。
   
  1518例。18歳以上の通院患者。3か月以上の慢性心不全,至適治療により2か月以上臨床的に安定しているもの。
除外基準:1か月以内に1回以上の通院ができないもの,拘束型あるいは肥大型心筋症,重症弁膜症,重症心膜疾患など。

◆ 患者背景:平均年齢64歳,男性70%,高血圧59%,糖尿病20%,NYHA III〜IV度48%,収縮機能障害78%,急性心筋梗塞/狭心症の既往44%,心不全治療状況:利尿薬82%,digoxin 46%,amiodarone 29%,spironolactone 31%,ACE阻害薬79%,アンジオテンシン受容体拮抗薬13%,β遮断薬61%。
   
  電話指導群(760例):心臓内科医,小冊子による情報および看護師による電話指導。看護師は電話を通し教育,カウンセリングを行うと同時に患者の治療,食事への遵守状況をモニターする。電話で確認する内容は呼吸困難/疲労,薬物治療,体重,浮腫,食事,身体活動など。電話をかける頻度は患者の重症度によりNYHA IV度の場合7日ごと,III度は14日ごと,I〜II度は30日ごととした。看護師は電話の頻度および利尿薬の投与量を変更できるものとした。通常治療群(758例):心臓内科医による診療。
   
  一次エンドポイント(全死亡および心不全による入院)は電話指導群で通常治療群に比べ有意に低下した(20%のリスク低下:RR,p=0.026)。
電話指導による死亡率のRRは5%で両群間に有意差はなかった(p=0.69)。心不全による入院は電話指導群で通常治療群に比べて有意に低下し(RR 29%,p=0.005),同群の全入院のRRは15%(p=0.05)であった。さらに心血管による入院は同群で24%有意に低下した(p=0.006)。
電話指導群の有効性は全サブグループ(年齢,性,NYHA心機能分類,収縮不全,薬物療法)で同様であった。
15か月で1例の心不全による入院を予防するのに必要な治療患者数は18人であった。
   
  本試験で使用された電話介入指導は慢性心不全患者において合併症および/あるいは死亡の抑制に有効であったが,この有効性は主に心不全悪化による入院率の低下によるものであった。本試験の結果は,慢性心不全において非薬物療法プログラムが臨床上有効であることを示すものである。このシンプルで低コストのプログラムはQOLを改善し,心不全による入院を低下する経済効率の良い治療法である。
   

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収録年月2002.11