ACC2002

WIZARD Weekly Intervention with Zithromax for Atherosclerosis and Its Related Disorders

心筋梗塞既往のC. pneumoniae陽性例において,マクロライド系抗生物質azithromycin投与は全死亡,心筋梗塞の再発,血行再建術,狭心症による入院を抑制したが有意ではなかった。

presenter:Michael Dunne, MD
目的 抗生物質による冠動脈心疾患の二次予防効果を検討する。一次エンドポイントは全死亡,心筋梗塞(MI)の再発,血行再建術の必要,狭心症による入院。
コメント 動脈硬化とC. pneumoniae(CP)の関連は古く1992年頃から疑われていた。最近,プラークの破綻に炎症がからんでいることが注目されCPの関連に興味が持たれている。動物実験ではazithromycin投与で動脈硬化の予防効果が示され,ヒトでも小規模な研究でその可能性が示されてきた。それを大規模に検討したのがWIZARDである。残念ながらazithromycinによる動脈硬化再発予防効果は有意な結果を示すことはできなかった。考察にもあるように試験デザインによるところが大きいように思われるが,当面,動脈硬化予防に抗生物質を用いる治療法は受け入れられないであろう。ただし,リスク因子としての認識まで消失したと考えるべきではない(寺本)。
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設。
期間 追跡期間は平均2.1年。
対象患者 7,724例。平均年齢62歳。MI発症から6週間以上経過したクラミジア・ニューモニエ肺炎(C. pneumoniae)抗体価上昇(≧1:16)例。
除外基準:6か月以内の血行再建術既往,抗生物質が必要な慢性症状。
治療法 マクロライド系抗生物質azithromycin群(3868例):600mg/日を3日間投与後,600mg/週を11週間投与,プラセボ群(3856例)にランダム化。
結果 一次エンドポイントはazithromycin群でプラセボ群より7%低下したが,これは有意差ではなかった(ハザード比0.93,95%信頼区間0.83−1.05,p=0.23)。一次エンドポイントのうち狭心症による入院を除いたイベントの発生においても,同群で有意ではないものの有効性を示した。いずれのサブグループにおいても一次エンドポイントの有意な低下は認められなかったが,男性,糖尿病患者,喫煙者でazithromycin群の有効な傾向がみられた。ベースライン時のC. pneumoniae抗体価と一次エンドポイントの結果に関係はみられなかった。

有害事象による投与中止率は両群とも低かった(azithromycin群0.3%,プラセボ群0.1%)。 有害事象発生率は13.6% vs 5.2%。各有害事象は腹部痛2.2% vs 0.7%,下痢8.0% vs 1.4%,気 道感染4.2% vs 6.4%,気管支炎1.5% vs 1.9%,副鼻腔炎0.7% vs 1.5%。

経過中の有効性を検討したpost-hoc解析によると,azithromycinの投与直後にみられた早期効果は持続しなかった。
考察 azithromycinの短期投与は安全で忍容性も良好であった。azithromycinはMI後のC. pneumoniae陽性例で心血管疾患の再発を7%抑制したが,有意ではなかった。ベースライン時のC. pneumoniae抗体価による治療効果のエビデンスは得られなかった。post-hoc解析では,2年以上の治療期間では持続しないものの治療早期の効果の可能性を示唆している。

本試験の限界は,症例がMI後の安定した例に限定されており,他の心血管疾患患者におけるazithromycinの有効性については結論を出すことはできないことである。これはazithromycinの週投与のわずか3ヵ月投与の結果であり,C. pneumoniae感染が冠動脈心疾患に寄与するという仮説を肯定するものでも否定するものでもない。


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収録年月2002.3