ENCOR
Effects of Enrasentan, a Non-Selective Endothelin Receptor Antagonist in Class II-III Heart Failure

中等度の心不全患者において,標準治療にエンドセリン受容体拮抗薬を追加した場合,転帰の改善は認められなかった。

目的 慢性心不全患者においてエンドセリン受容体拮抗薬enrasentanの転帰に対する有効性を検討。
コメント 慢性心不全の治療は,神経体液因子の抑制が重要であり,ACE阻害薬,β遮断薬の有効性が確立しているが,エンドセリン受容体拮抗薬の有用性に期待がもたれていた。bosentanを投与したREACH-1試験は肝機能障害が多発したため中止されたが,本試験においてenrasentanの効果はむしろプラセボにも劣る傾向があり,期待を裏切る結果であった(堀)。
デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設。
期間 追跡期間は9か月(漸増投与期間12週間,維持期間6か月)。
対象患者 419例。平均年齢65歳。NYHA II〜III度の慢性心不全,EF<35%。
治療法 次の6群に無作為化。enrasentan 30mg群(15mgからの緩徐増量),60mg slow群(20mgからの緩徐増量),60mg rapid群(20mgからの急速増量),90mg群(30mgからの緩徐増量),高用量ACE阻害薬群(enalapril 10mg×4回/日),プラセボ群。
対象の無作為化前間の標準治療は安定しており,digoxin,利尿薬,β遮断薬,血管拡張薬,標準用量のACE阻害薬(enalapril 5〜10mgに相当)を併用可とした。
転帰は,改善(NYHA心機能分類および/あるいは患者の全体評価の改善),悪化(死亡,入院を要する心不全の悪化,脱落,NYHA心機能分類あるいは全体評価による悪化),不変の3段階で評価した。
結果 enrasentanによる転帰は改善せず,用量反応もみられなかった。
enrasentan群で悪化の評価が多くプラセボ群に比べ改善の評価が少なかった(オッズ比0.69,p=0.0644,95%信頼区間0.47−1.02)。有意差はなかったもののプラセボ良好の強い傾向がみられた。いずれの群でもNYHA心機能分類および全体の評価に違いは認められなかった。心不全による入院はenrasentan群でプラセボ群,高用量ACE阻害薬群に比べ3倍有意に多かった。心不全悪化による脱落はenrasentan群でプラセボ群,ACE阻害薬群より多かった。また死亡,特に左室不全の進行による死亡がenrasentan群で多い傾向にあった。さらに死亡,心不全による入院,心不全悪化による脱落までの時間も同群で有意に短かかった(p=0.007)。
副作用はenrasentan群でプラセボ群より多く,同群の心不全の発生率は60%,プラセボ群26%,呼吸困難は22.8% vs 18.5%,貧血は16% vs 5.1%。enrasentan群は忍容性も悪く脱落率は21.2% vs 8.3%であった。

「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
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収録年月2001.04