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photographer Todd Buchanan |
スウェーデン・ストックホルムで開催されていた欧州心臓病学会が幕を閉じました。
採択文献数は4,167本,450を超えるセッションが繰り広げられました。
ESC web siteで最もよくみられたHot Lines and Clinical Trial Updates発表ト
ライアルベスト5は,SHIFT,AVERROES,ANTIPAF,CARE-HF,EINSTEIN DVTだった
そうです。
ここではHot Linesで発表された全トライアルの結果をカバーしました。
掲載トライアル
[Hot Line I]:
STAR Heart (慢性心不全・骨髄細胞冠動脈内注入) /
PEARL HF (慢性腎臓病を有し
RAS阻害薬を投与している軽度-中等度心不全・新規のカリウム吸着樹脂) /
SHIfT(左室収
縮機能が低下した中等度~重度・心拍数≧70拍/分の慢性心不全・選択的ペースメーカー電
流阻害薬ivabradine) /
ALPHA OMEGA(心筋梗塞既往・n-3系脂肪酸)/
HEBE III(ST上
昇型心筋梗塞初発に対するPCI施行例・エリスロポエチン)
[Hot Line II]:
INNOVATE PCI (待機的PCI例・elinogrel) /
ART (CABGを施行する多枝疾患・両側・片側内胸動脈グラフト) /
LESSON I (PCI連続例・everolimus・sirolimus溶出ステント) /
ATOLL (ST上昇型梗塞に対するprimary PCI施行例・enoxaparin) /
ISAR-REACT 3A (心筋マーカーが陰性のPCI施行例・未分画heparin) /
J-LANCELOT (日本人ACS,CAD・atopaxar)
Aug. 31
Hot Line III- Cardiovascular disease and rhythm disturbances
洞不全症候群患者においては,心拍応答型心房ペーシングではなく,心房細動および再手術のリスクが低い心拍応答型二腔ペーシングを使用すべき。 |
DANPACE |
The Danish multicenter randomised trial on single lead atrial versus dual chamber pacing in sick sinus syndrome |
背景 |
洞不全症候群(SSS)における徐脈の治療にはペースメーカーが用いられる。右室ペーシングは悪影響をもたらす可能性が示されているが,心拍応答型心房ペーシング(AAIR)が心拍応答型二腔ペーシング(DDDR)よりも優れているかは明らかでない。 |
治療 |
AAIR群(707例) vs DDDR群(708例)。 |
一次
エンドポイント |
全死亡。 |
デザイン |
ランダム化,多施設(デンマーク)。 |
対象 |
QRS幅正常,房室ブロックのないSSS患者で初めてペースメーカーを植え込む1,415例。年齢(AAIR群73.5歳,DDDR群72.4歳,P=0.054),利尿薬投与例(43.0%,37.2%,P=0.03)。
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期間 |
平均追跡期間は5.4年。
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結果 |
割り付けられた治療の実施率は,AAIR群93.4% vs DDDR群98.9%(P<0.001)。
全死亡率に有意な群間差は認められなかったが(DDDR群27.3% vs AAIR群29.6%:ハザード比0.94;95%信頼区間0.77-1.14,P=0.53),発作性心房細動はDDDR群のほうが有意に少なかった(0.79;0.64-0.97,P=0.024)。慢性心房細動,脳卒中,心不全の発生率には群間差はなかった。pacemaker reoperationはDDDR群が有意に低かった(0.50;0.39-0.66,P<0.001)。
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presenter: Nielsen JC, MD ( Aarhus University Hospital, DK ) |
ガイドラインとその臨床現場への適用のギャップを看護師による外来リスク管理プログラムが埋め,冠動脈疾患患者の心血管リスクが低下。 |
RESPONSE Randomised Evaluation of Secondary Prevention by Outpatient Nurse Specialists |
背景 |
心血管疾患二次予防のガイドラインとその実施の間にはギャップがあり,何らかの対策が求められている。発症から間もない冠動脈疾患患者において,看護師のコーディネートによる危険因子管理による予防プログラムの効果を定量的に評価した。 |
治療 |
通常のケア+看護師介入群(377例):看護師がコーディネートする4回/6ヵ月間のガイドラインに基づく外来リスク管理プログラム(健康的ライフスタイル[禁煙,十分な運動,健康的体重/脂肪分布],血圧,脂質管理,糖尿病患者のスクリーニングおよび血糖管理,薬物治療アドヒアランスに重点を置いた)に参加,対照群(377例):通常のケア。 |
一次
エンドポイント |
12ヵ月後のSCORE(年齢,性別,総コレステロール,収縮期血圧,喫煙など9因子をスコア化し,10年後の心血管リスクを予測する)。 |
デザイン |
ランダム化,多施設(オランダの11施設)。 |
対象 |
18–80歳の8週間以内に急性冠症候群で入院した754例。 |
期間 |
追跡期間は12ヵ月。 |
結果 |
一次エンドポイントは通常のケア+看護師介入群4.5% vs 対照群5.4%:介入群で16.9%相対リスクが低下,すなわち10年後の死亡リスクが16.9%低下した(P=0.029)。
危険因子のコントロール率:good(7~9因子がコントロールされた)の判定は35% vs 25%(介入群で37%上昇,P=0.006)。
薬物治療のアドヒアランスは両群ともきわめて良好で,両群間差はなかった。
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presenter: Peters RJG, MD, PhD ( Academic Medical Centre, NL ) |
脳卒中リスクの高いビタミンK拮抗薬療法不適応の心房細動患者において,新規の経口第Xa因子阻害薬アピキサバン(apixaban)はaspirinに比べ脳卒中または全身性塞栓症のリスクを有意に抑制し,出血リスクを増大せず。 |
AVERROES |
Apixaban Versus Acetylsalicylic Acid (ASA) to Prevent Strokes |
背景 |
心房細動(AF)患者における脳卒中予防にはwarfarinなどのビタミンK拮抗薬(VKA)が有効である。しかし,出血リスクの増加や治療管理の難しさから50%の症例はVKA治療不適応と考えられており,選択薬はaspirinしかない。apixabanは静脈血栓塞栓症患者で低分子量heparinに比べリスク/ベネフィット比が良好であることが示されている。 |
治療 |
apixaban群(2,809例):apixaban 5mg×2回/日(または2.5mg×2回/日)経口投与 vs aspirin群(2,791例):aspirin 81-324mg/日。 |
一次
エンドポイント |
有効性の一次エンドポイントは脳卒中,全身性塞栓症の複合。
安全性の一次エンドポイントは大出血。 |
デザイン |
ランダム化,二重盲検,多施設(36ヵ国522施設)。 |
対象 |
脳卒中危険因子を1つ以上有し,VKA療法不適と考えられるAF患者5,600例。平均年齢70歳,CHADS2スコア2.1,aspirin服用例75%,経口抗凝固薬服用例15%。 |
期間 |
2009年12月に登録終了。 |
結果 |
事前に計画された中間解析の結果を受けて,本試験は早期に中止された。
有効性の一次エンドポイントの年間発生率は,apixaban群1.7% vs aspirin群3.9%(ハザード比0.45,P<0.001),大出血の年間発生率は1.6% vs 1.4%(1.18,P=0.33)。肝毒性,その他の重大な有害事象は認められなかった。
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presenter: Connolly SJ, MD ( Population Health Research Institute, McMaster University, CA ) |
症候性深部静脈血栓症患者において,経口直接作用型第Xa因子阻害薬リバーロキサバン(rivaroxaban)の標準治療に対する非劣性が認められる。 |
EINSTEIN DVT |
Oral rivaroxaban versus standard therapy in the initial treatment of symptomatic deep vein thrombosis and long-term prevention of recurrent venous thromboembolism |
背景 |
静脈塞栓症の標準治療は低分子量heparin(enoxaparin)投与後ビタミンK拮抗薬投与である。症候性の深部静脈血栓症患者(DVT)における用量設定試験で経口直接作用型Xa因子阻害薬rivaroxabanの標準治療と同等の安全性,有効性が示されている。 |
治療 |
rivaroxaban群:15mg×2回/日を3週間投与後,20mg/日投与。腎機能低下例(クレアチニンクリアランス30-50mL/分),肥満あるいは低体重例も用量調整せずvs 標準治療群:enoxaparinを1mg/kg×2回/日投与後,warfarinあるいはacenocoumarolをINR 2.0-3.0(目標2.5)を維持するよう投与。 |
一次
エンドポイント |
有効性;症候性DVT(肺塞栓症を含む)の再発,安全性;大出血,薬剤と関連する非大出血。 |
デザイン |
PROBE(prospective,randomized,open, blind-endpoint),多施設(32ヵ国253施設),非劣性試験。 |
対象 |
急性の症候性発作性DVT患者3,449例。 |
期間 |
追跡期間は12ヵ月。ランダム化期間は2007年2月–2009年8月。 |
結果 |
有効性の一次エンドポイントはrivaroxaban群2.1% vs 標準治療群3.0%(P<0.0001 for non-inferiority)。
安全性の一次エンドポイントは8.1% vs 8.1%。rivaroxaban投与による肝機能の問題はみられなかった。
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presenter: Buller HR, MD ( Academic Medical Center, NL ) |
器質的心疾患のない発作性心房細動(AF)患者において,ARB olmesartanによるAF再発抑制効果は認められず。 |
ANTIPAF Angiotensin II-Antagonist in Paroxysmal Atrial Fibrillation |
背景 |
AFは進行性の慢性疾患であり経時的に発作の頻度が増え長時間持続するようになる。器質的心疾患を有する症例でのARBの安全性,有効性は確立しており,AF抑制効果も示されているが,器質的心疾患を有していない患者でのARBの効果は明らかではない。 |
治療 |
olmesartan群(214例):40mg/日 vs プラセボ群(211例)。β遮断薬治療で層別後にランダム化。
ARB,ACE阻害薬,抗不整脈薬の併用は不可。追跡には電話伝送心電図(tele-ECGs)記録/日を使用。
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一次
エンドポイント |
12ヵ月間のECGデータを取得できた全日数に対するPAF発現日数の割合(発生頻度)。 |
デザイン |
ランダム化,プラセボ対照,多施設(ドイツの37施設)。 |
対象 |
器質的心疾患を有していない発作性AF 425例。18歳以上。 |
期間 |
追跡期間は12ヵ月。 |
結果 |
一次エンドポイントはolmesartan群0.151(95%信頼区間0.114-0.188)vs プラセボ群0.147(0.109-0.184);群間差0.004(-0.046-0.055),P=0.770。
QOL,初回のAF再発までの時間,持続性AF進展までの時間,入院数などにも両群間差はみられなかったが,amiodarone投与までの時間がolmesartan群の方が長かった(P=0.04)。
解析したtele-ECGsは87,818件(olmesartan群42,930件,プラセボ群44,888件)。平均207件/患者のECGが記録された(1.12件/日)。
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presenter: Goette A, MD ( St. Vincenz Hospital, DE ) |
抗凝固薬フォンダパリヌクス(fondaparinux)を投与したPCI施行患者には,未分画heparinの低用量よりも標準用量を使用すべき。 |
FUTURA OASIS 8 FondaparinUx Trial with UFH During Revascularization in Acute Coronay Syndrome OASIS 8 |
背景 |
非ST上昇型急性冠症候群(NSTEACS)患者においてfondaparinuxはenoxaparinに比べて死亡および出血を抑制することが示されたOASIS 5試験において,fondaparinux群で血管形成術中のカテーテル血栓症の増加が認められた。未分画heparin(UFH)はカテーテル血栓症を予防する可能性が示されたが,その至適用量は明らかでない。 |
治療 |
fondaparinux 2.5mg/日を皮下投与後,ランダム化。
標準用量群(1,002例):GP IIb/IIIa受容体拮抗薬使用例はUFH 60U/kg,その他は85U/kgを投与 vs 低用量群(1,024例):GP IIb/IIIa薬の使用を問わずUFH 50 U/kgを静注。 |
一次
エンドポイント |
手技後48時間までの大出血,小出血,大血管穿刺部位の合併症の複合エンドポイント。 |
デザイン |
ランダム化,二重盲検,多施設(18ヵ国179施設)。 |
対象 |
72時間以内にPCI施行予定のNSTEACS患者で,年齢>60歳,心筋マーカー上昇,心電図変化のうち2つ以上を満たす例2,026例。 |
期間 |
追跡期間は30日。登録期間は2009年2月-2010年3月。 |
結果 |
一次エンドポイントの発生率には有意な群間差なし(低用量群4.7% vs 標準用量群5.8%:オッズ比0.80;95%信頼区間0.54-1.19,P=0.27)。大出血,血管穿刺部位の合併症には群間差を認めなかったが,小出血は低用量群のほうが少なかった(0.7% vs 1.7%:0.40;0.16-0.97,P=0.04)。二次エンドポイント(48時間後の大出血+30日後の死亡/心筋梗塞/標的血管血行再建術の複合)の発生率は低用量群のほうが高かった(5.8% vs 3.9%:1.51;1.00-2.28,P=0.05)。カテーテル血栓症の発生率は両群ともに非常に低かった(0.5% vs 0.1%,P=0.15)。
→文献情報 |
presenter: Jolly S, MD ( McMaster University and Hamilton Health Sciences, CA ) |
Aug. 30
Hot Line II- Coronary artery disease
待機的PCI施行患者において,新規抗血小板薬エリノグレル(elinogrel)はclopidogrelに比べて強力な血小板阻害作用を示した一方,出血リスクには有意差を認めず(第II相試験)。 |
INNOVATE PCI |
A Phase II Safety and Efficacy Study of PRT060128 (Elinogrel), a Novel Intravenous and Oral P2Y12 Inhibitor, in Non-Urgent PCI. |
背景 |
経口抗血小板薬治療は,効果のばらつきや出血リスクのため選択肢が限られている。elinogrelは体内での代謝による活性化を必要としない新規の可逆的P2Y12受容体拮抗薬で,経口投与と静注が可能である。 |
治療 |
elinogrel群:PCI直前にelinogrel 80mgボーラス静注後,50mg,100mg,または150mgを1日2回経口投与 vs 対照群:clopidogrel 300mgまたは600mgから投与開始後,75mg/日投与(データ安全性モニタリング委員会の勧告により,elinogrel 50mg群は116例登録時点で登録中止,elinogrelボーラス投与量は177例登録時点で120mgに増量)。 |
一次
エンドポイント |
安全性:短期(24時間または退院後)および長期(120日後)の出血(TIMI 大出血・小出血,医学的注意を要する出血)。
臨床的有効性:短期・長期の死亡,心筋梗塞,脳梗塞,緊急標的血管血行再建術,ステント血栓症,短期のGPIIb/IIIa緊急投与。
生物学的有効性:周術期のトロポニン値上昇。
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デザイン |
ランダム化,二重盲検,多施設(5ヵ国)。 |
対象 |
≧1枝病変の待機的PCI施行予定例652例。年齢(中央値)61歳,男性77%,糖尿病30-40%,登録時に46%がclopidogrel維持投与。
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期間 |
追跡期間は当初60日,その後120日に延長。
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結果 |
TIMI出血,臨床的有効性,生物学的有効性は,いずれも短期,長期ともに有意な群間差なし。ただし,医学的注意を要する出血はelinogrel群で主に周術期において用量依存性の増加傾向が認められた。血小板阻害作用は周術期(P<0.025),30日後ともにelinogrelがclopidogrelを上回った。elinogrel群で呼吸困難,肝トランスアミナーゼ上昇が多い傾向が認められたが,その他の有害事象は両群同等。 |
presenter: S Rao ( Duke Clinical Research Institute, US ) |
CABGにおける両側内胸動脈グラフトは,片側内胸動脈グラフトと比べて30日後,1年後の死亡,心血管リスク,入院日数を増大せず。 |
ART Arterial Revascularisation Trial |
背景 |
CABGにおける片側内胸動脈グラフト(SIMA)の予後改善効果は20年前に示されている。しかし,両側内胸動脈グラフト(BIMA)は,観察研究でSIMAよりも優れていることが示唆されているものの,早期死亡の増加や胸骨創治癒障害などの合併症が懸念されるため使用率が低い。 |
治療 |
SIMA群(1,554例)vs BIMA群(1,548例)。オンポンプ,オフポンプは問わず。 |
一次
エンドポイント |
10年後の生存率(今回の発表は1年後の安全性)。 |
デザイン |
ランダム化,多施設(7ヵ国28施設)。 |
対象 |
CABG適応例3,102例。平均年齢64歳,男性86%,糖尿病24%,心筋梗塞既往42%,PCI既往16%,EF>50%は73%。オフポンプの使用はSIMA群40%,BIMA群42%。 |
期間 |
今回の発表の追跡期間は1年。ランダム化期間は2004年6月-2007年12月。 |
結果 |
30日死亡率は両群ともに1.2%,1年死亡率はSIMA群2.4%,BIMA群2.5%。30日後の胸骨切開創再建(reconstruction)はBIMA群が1.3%多かったが,脳卒中,心筋梗塞,血行再建術のリスクには群間差なし。1年後の脳血管疾患:SIMA群1.8% vs BIMA群1.5%,心筋梗塞:両群とも2.0%,血行再建術:1.3% vs 1.8%。
BIMA群ではSIMA群に比べて手術時間+23分,人工換気時間+105分,ITU滞在時間+3時間,術後入院日数の中央値は+0.5日。
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presenter: Taggart D, MD, PhD ( John Radcliffe Hospital Oxford, GB ) |
everolimus溶出ステントは3年後の心筋梗塞,TVR,ステント血栓症をsirolimus溶出ステントより抑制。 |
LESSON I Long-term Comparison of Everolimus-eluting and Sirolimus-eluting Stents for Coronary Revascularization I |
背景 |
新世代薬剤溶出性ステントeverolimus溶出ステントは,薄いストラット,コバルト合金製のプラットフォームで,半合成のsirolimusアナログであるeverolimusを溶出する。paclitaxel溶出ステントと比べ標的病変血行再建術,心臓死+心筋梗塞(MI)の複合,ステント血栓症を有意に抑制したが,他のリムスアナログ,sirolimus溶出ステントと比較した有効性,安全性はまだ確認されていない。 |
治療 |
everolimus溶出ステント vs sirolimus溶出ステント。
抗血栓療法:手技前・周術期(aspirin,clopidogrel,未分画heparin,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬),手技後(aspirin,clopidogrel)。
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一次
エンドポイント |
死亡,MI,再標的血管血行再建術(TVR)の複合エンドポイント |
デザイン |
観察研究(propensity-score matched study)。 |
対象 |
PCI施行の連続症例3,133例。propensity-score matched対象は各群1,342例。 |
期間 |
追跡期間は3年,PCI施行は2004年5月-2009年3月。 |
結果 |
3年後の一次エンドポイントはeverolimus溶出ステント群14.9% vs sirolimus溶出ステント群18.0%:ハザード比(HR)0.83;95%信頼区間0.68-1.00(P=0.056)。
全死亡は両群間に有意差なし(6.0% vs 6.5%,P=0.59),MI(3.3% vs 5.0%,P=0.017),再TVR(7.0% vs 9.6%,P=0.039)はeverolimus溶出ステント群で抑制された。ステント血栓症発生率も同群で低かった:definite(HR 0.30;0.12-0.75,P=0.01),definiteあるいは probable(0.64;0.41-0.98,P=0.041)。
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presenter: Windecker S, MD ( Bern University Hospital, CH ) |
ST上昇型心筋梗塞に対するprimary PCI施行時の抗凝固療法としてenoxaparinは安全でUFHよりも有効。 |
ATOLL Acute STEMI Treated with Primary Angioplasty and Intravenous Enoxaparin or UFH to Lower Ischemic and Bleeding Events at Short- and Long-term Follow-up
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背景 |
低分子量heparin (enoxaparin)は待機的PCI例で未分画heparin(UFH)と比べ大出血リスクを57%低下したが,ST上昇例におけるprimary PCIでは伝統的にUFHが使用されている。 |
治療 |
enoxaparin群:0.5 mg/kgを静注 vs UFH群:GP IIb/IIIa受容体拮抗薬を併用する場合は 50~70IU,併用しない場合は70~100IUを静注。ランダム化は冠動脈造影前。 |
一次
エンドポイント |
30日後の全死亡,MI,手技不成功,またはCABG非関連大出血。 |
デザイン |
ランダム化,多施設(4カ国43施設)。 |
対象 |
18歳以上の発症から12時間以内の症例910例。抗凝固療法実施例は除外。 |
期間 |
追跡期間は30日。 |
結果 |
一次エンドポイントはenoxaparin群28% vs UFH群34%:相対リスク(RR)17%低下(P=0.07)。
死亡,再梗塞,緊急血行再建術は5.1% vs 8.5%(P=0.04),死亡,MIは7.8% vs 12.4%(RR低下37%,P=0.02),全死亡は3.8% vs 6.3%(P=0.08),死亡,蘇生した心停止は4% vs 7%(P=0.05)でenoxaparin群の方が低かった。主な安全性のエンドポイント(入院中の大出血)は4.9% vs 4.5%。
死亡,MI,大出血でみた正味の臨床ベネフィットは15% vs 10.2%(P=0.03)。
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presenter: Montalescot G, MD, PhD ( Pitie-Salpetriere University Hospital, FR ) |
心筋マーカーが陰性のPCI施行例において,UFH 140U/kgから100U/kgへの減量により出血リスクが低下し,正味のベネフィットが増大。 |
ISAR-REACT 3A Intracoronary Stenting and Antithrombotic Regimen: Rapid Early Action for Coronary Treatment 3A
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背景 |
ISAR-REACT 3で未分画heparin(UFH)140U/kgの予後は抗トロンビン薬bivalirudinと同等であったものの,出血リスクが増大した。UFHの用量を100U/kgに減量した場合,net clinical outcome(正味の臨床予後)は改善するのか。 |
治療 |
UFH 100U/kg群(2,505例:単回ボーラス投与)vs 140U/kg群(2,281例;ISAR-REACT 3のUFH群に参加した歴史対照群)。
二次解析:bivalirudin群との非劣性(2,289例:ISAR-REACT 3のbivalirudin群に参加した歴史対照群) |
一次
エンドポイント |
正味の臨床予後(30日以内の死亡,心筋梗塞,緊急標的血管血行再建術,入院中の大出血[REPLACE 2基準])。 |
デザイン |
オープン,歴史対照,多施設。 |
対象 |
心筋マーカーが陰性のPCIを施行するclopidogrel前投与例2,505例。 |
期間 |
追跡期間は30日。 |
結果 |
一次エンドポイントはUFH 100U/kg群7.3% vs 140U/kg群8.7%(ハザード比[HR]0.81;95%信頼区間0.67-1.00,P=0.045)。
大出血は3.6% vs 4.6%:HR 0.79;0.59-1.05(P=0.11)。
UFH 100U/kg群のbivalirudinに対する非劣性が認められた(P<0.001)。
→文献情報
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presenter: Schulz S, MD ( Deutsches Herzzentrum, DE ) |
日本人急性冠症候群および高リスク冠動脈疾患患者において,新規抗血小板薬atopaxarの出血増加を伴わない主要有害心血管イベント抑制の可能性が示唆される(第II相試験)。 |
J-LANCELOT
Japanese Lessons from Antagonizing the Cellular Effect of Thrombin
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背景 |
急性冠症候群(ACS)および安定冠動脈疾患(CAD)の治療においては,出血リスクを増大させない有効な抗血小板薬が求められている。日本人ACSおよびCAD患者のそれぞれにおいて,新規プロテアーゼ活性化受容体1(PAR-1)阻害薬atopaxar経口投与の有効性と安全性を評価する2つのランダム化比較試験(ACS試験,CAD試験)を実施。 |
治療 |
atopaxar群:標準治療+atopaxar 50mg,100mg,または200mg/日投与 vs プラセボ群:標準治療。ACS試験は初日に400mgをローディング投与した。 |
一次
エンドポイント |
安全性,忍容性,主要有害心血管イベント(MACE)。 |
デザイン |
ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(日本)。 |
対象 |
ACS患者(不安定狭心症,非ST上昇型心筋梗塞)241例,高リスクCAD患者263例。高リスクCADの全例がaspirin,およそ40%がチエノピリジン系薬剤を投与していた。 |
期間 |
投与期間はACS試験12週間,CAD試験24週間。 |
結果 |
TIMI大出血+小出血+医学的注意を要する軽微な出血は両群で同等(ACS試験:atopaxar群5.0% vs プラセボ群6.6%;CAD試験:1.5% vs 1.5%)。ただし,TIMI出血はatopaxar高用量群で増加の傾向がみられた。CURE基準による大出血はatopaxar 100mg群1例,プラセボ群2例。
MACEはatopaxar群で低下傾向が示された(ACS試験:5.0% vs 6.6%,P=0.73,CAD試験 1.0% vs 4.5%,P=0.066)。
atopaxar群では統計学的有意な用量依存性の肝機能異常およびQTcFの増加がみられた。
トラフレベルでのatopaxarの血小板凝集阻害能は,ACS試験,CAD試験ともに,100mgおよび200mgで>90%,50mgで20-60%であった。
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presenter: Goto S, MD ( Tokai University School of Medicine, JP ) |
Aug. 29
Hot Line I - Heart failure and left ventricular dysfunction
慢性心不全患者において,標準治療への骨髄細胞冠動脈内注入追加により心室機能,QOL,生存率が改善。 |
STAR Heart |
The acute and long-term effect of intracoronary stem cell transplantation in 191 patients with chronic heart failure |
背景 |
心筋梗塞例での自己骨髄細胞(BMC)の有効性を示すエビデンスは集積しつつあるが,慢性心不全での検討は少ない。 |
治療 |
BMC注入+標準治療群(191例):腸骨稜より採取した骨髄由来の単核球細胞を冠動脈内注入 vs 対照群(200例):標準治療。 |
一次
エンドポイント |
EF,心係数,運動耐容能,酸素摂取量,左室収縮性。 |
対象 |
慢性虚血性心筋症(心筋梗塞後8.5年)により左室機能が低下した(EF≦35%)慢性心不全:391例:NYHAはBMC注入群3.22度,対照群3.06度。 |
期間 |
追跡期間中央値4.6年(対照群は4.87年)。治療実施は2003-2005年 |
結果 |
BMC注入群で短期(3ヵ月後),長期(5年後)のEF,心係数,運動能力,酸素摂取量,左室収縮性が有意に改善した。同群の長期死亡は7例(0.75%/年),対照群は32例(3.68%/年)。 |
presenter: Strauer BE, MD ( University of Dusseldorf, Germany ) |
慢性腎臓病を有しRAS阻害薬を投与している軽度-中等度心不全患者において,新規のカリウム吸着樹脂がカリウム値を低下,高カリウム血症を抑制(第IIb相試験)。 |
PEARL HF Parallel Evaluation of RLY5016 in Heart Failure
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背景 |
心不全患者においてアルドステロン拮抗薬(AA)は有効であるにもかかわらず,高カリウム血症発症(不整脈,突然死のリスクを増大)の危惧からその使用は限られている。血清カリウム値をコントロールする新規のnon-absorbed oral potassium binder(RLY5016)が登場した。 |
治療 |
AAであるspironolactone 25-50mg/日を投与。
RLY5016群(55例):RLY5016 30g/日+標準治療 vs プラセボ群(49例)。 |
一次
エンドポイント |
カリウム値,高カリウム血症。 |
デザイン |
ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設。 |
対象 |
血清カリウム4.3-5.1 mEq/L,CKD(推算糸球体濾過量<60 mL/分)または6ヵ月以内に高カリウム血症のため心不全治療薬(RAS阻害薬,β遮断薬)の使用を中止した心不全患者104例:カリウム値(RLY5016群4.69,プラセボ群4.65 mEq/L),NYHA I-II度(57%,59%),EF(39.6%,41.2%)。 |
期間 |
追跡期間は2年。 |
結果 |
カリウム値(RLY5016群-0.22 vs プラセボ群+0.23 mEq/L,P<0.001),高カリウム血症(7% vs 25%,P=0.015),spironolactone増量可(91% vs 74%,P=0.019)。
RLY5016の忍容性は良好(脱落7% vs プラセボ群6%)で,RLY5016関連の重篤な有害イベントの発症はなかった。 |
presenter: Pitt B, MD ( University of Michigan School of Medicine, USA ) |
左室収縮機能が低下した中等度~重度・心拍数≧70拍/分の慢性心不全患者において, 洞結節ペースメーカー選択的If電流阻害薬ivabradine(イバブラジン)の標準治療への追加投与により,心血管死+心不全悪化による入院の複合エンドポイントが抑制さる。 |
SHIfT Systolic Heart failure treatment with the If inhibitor ivabradine Trial
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背景 |
洞結節のIf電流を阻害して心拍数を減少させるivabradineの有効性はすでに検討されている。安静時心拍数の増加は有害イベントの危険因子である。ivabradineは心不全患者の転帰を改善できるという仮説を検証する。 |
治療 |
ivabradine 群(3,241例):ivabradine 5mg×2回/日で投与を開始し,心拍数,忍容性をみながら7.5mg×2回/日まで増量 vs プラセボ群(3,264例)。 |
一次
エンドポイント |
心血管死+心不全悪化による入院の複合エンドポイント。 |
デザイン |
ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設。 |
対象 |
EF≦35%,NYHA II-IV度の症候性心不全,心拍数≧70拍/分の洞調律,12ヵ月以内に心不全で入院した6,505例。 |
期間 |
追跡期間中央値は22.9ヵ月。 |
結果 |
一次エンドポイント:ivabradine 群793例(24.5%) vs プラセボ群937例(28.7%):ハザード比0.82;95%信頼区間0.75-0.9(P<0.0001)。ivabradine 群の有効性は主に心不全悪化による入院(15.9% vs 20.6%: 0.74; 0.66-0.83,P<0.0001),心不全死(0.74;0.58-0.94,P=0.014)の抑制によった。心血管死(0.91;0.80-1.03),全死亡(0.90;0.80-1.02)も同群の方が少なかった。また,同群では全入院(0.89;0.82-0.96,P=0.003)も抑制し,忍容性も良好であった。
サブグループによる違いはなかったが,ivabradine 群の有効性が大きかったのは心拍数の高い症例のみであった。
→文献情報(桑島 巌、堀 正二) |
presenter: Komajda M, MD ( Pitie Salpetriere Hospital, France ) |
心筋梗塞既往例において,魚油由来のオメガ-3-(n-3系)脂肪酸に植物由来のn-3系脂肪酸(α-リノレン酸)を追加した場合の心血管疾患に対する有効性は認められず。 |
ALPHA OMEGA |
Effect of low doses of n-3 fatty acids on cardiovascular diseases in post-MI patients |
背景 |
最近発表されたメタ解析によると,心疾患患者において魚油由来のn-3系脂肪酸(EPA,DHA)≧1g/日の摂取により心臓死が20%低下する。一方,植物由来のn-3脂肪酸α-リノレン酸(ALA)の心血管病予防のエビデンスは少ない。低用量EPA+DHA,ALAは,(1) 主要心血管イベントと逆相関するのか,(2) 致死的冠動脈疾患と逆相関するのか,(3) 心室細動の続発を抑制するのか,を検証する。 |
治療 |
EPA-DHA+ALA群(1,212例) vs EPA-DHA群(1,192例) vs ALA群(1,197例) vs プラセボ群(1,236例)。 EPA-DHA,ALAをマーガリンに添加したものを摂取する。EPA-DHAは400mg/日,EPA/DHAは3:2の割合,ALAは2g/日 |
一次
エンドポイント |
主要心血管イベント(致死的心血管疾患,非致死的心筋梗塞,非致死的心停止,非致死的脳卒中,血行再建術)。 |
デザイン |
ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,2×2 factorial,多施設(オランダ)試験。 |
対象 |
60-80歳で 10年以内の心筋梗塞既往例4,837例。 |
期間 |
追跡期間は40ヵ月。登録期間は2002年4月-2006年12月。 |
結果 |
→文献情報(寺本民生) |
presenter: Kromhout D ( Wageningen University, the Netherlands ) |
ST上昇型心筋梗塞初発患者において,PCI後のエリスロポエチン単回ボーラス静注による心機能改善はならず。 |
HEBE III
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A single dose of erythropoietin in ST-elevation myocardial infarction |
背景 |
腎性貧血の治療に使用されているエリスロポエチン(EPO)の心保護効果が認められているのは実験的,小規模試験のみである。急性心筋梗塞初発に対するprimary PCI施行から3時間以内の標準薬物治療へのEPO単回ボーラス追加静注によるEFの改善効果を検討した。 |
治療 |
EPO群(263例):PCI施行から3時間以内にepoetin alfa 6万単位を単回ボーラス静注+標準薬物治療 vs 対照群(266例):標準薬物治療。 |
一次 エンドポイント |
6週間後のEF。 |
デザイン |
PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設。 |
対象 |
初発の急性心筋梗塞に対するprimary PCI成功例529例。平均年齢60.9歳,男性77.7%,収縮期血圧128.5mmHg。 |
期間 |
平均追跡期間は6.5週間。 |
結果 |
一次エンドポイント:EPO群53% vs プラセボ群52%(P=0.41)。
二次エンドポイントである心血管イベント(心血管死,心筋梗塞再発,PCI再施行,CABG,脳卒中,心不全)は8例 vs 19例(P=0.032)。
梗塞サイズ:72時間後のクレアチンキナーゼの血中濃度曲線下面積(AUC)の中央値は,50,136U/L/72h vs 53,510U/L/72h(P=0.058)。
EPO群の忍容性は良好で,悪性高血圧,発作,深部静脈血栓症の報告はなかった。ヘモグロビンの低下は0.52g/dL vs 0.55g/dL(P=0.86),ヘマトクリット,白血球数,血小板数の変化に両群間差はなかった。 |
presenter: Voors AA( University Medical Center Groningen, the Netherlands )
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