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フランス人男性 ツール・ド・フランス参加 死亡率:参加選手<一般男性*
Tour de France 1947-2012
1947-2012年にツール・ド・フランスに参加したフランス人男性選手は,死亡率が同年齢のフランス人一般男性にくらべ41%低い。死亡率の低さは,一般男性よりも事故死が多かった30歳未満を除き,年齢や時代,死因を問わずみられた。
Eur Heart J 2013; DOI: 10.1093/eurheartj/eht347
背景・目的 過酷な自転車ロードレースで知られるツール・ド・フランス。第100回目を迎えた2013年はコルシカ島をスタートしゴールのパリを目指した。1週間に数日マラソンを走ることをおよそ3週間続ける,あるいはエベレスト3山に匹敵する高度を登るようなものだなどと言われるこのレースは,運動能力を向上させるテクニックによる過度な運動がサイクリストたちの健康に及ぼす悪影響への懸念が長年議論の的になっている。
ツール・ド・フランスに参加したフランス人選手における死亡率を検証した。
デザイン 観察研究。
評価項目 死亡率。
対象 786人。1947-2012年にツール・ド・フランスに1回以上参加したサイクリスト。
■背景:初回参加時年齢25歳,参加回数2.5回;いずれも中央値。
期間 追跡期間は37.4年(中央値)。
結果 2012年9月までの死亡は208例(26%)。
参加選手の実際の死亡率から算出した標準化死亡率(SMR)は0.59(95%信頼区間0.51-0.68)で同年齢の一般フランス人男性より41%有意に低かった(P<0.0001)。
・年齢,参加年(1947-’50 vs ’71-’90 vs ’91-2010),死因による違いは認められなかった。
ただし,交通事故,レースでの事故での死亡が多かった30歳未満では死亡率が高めであったが,有意差はなかった。
・おもな死因は癌(32.2%),心血管疾患(29%)であったが,一般男性よりもSMRは低かった(それぞれ0.56,0.67)。癌の部位は消化器(35%),肺(22%),前立腺(7%)。

今回の結果は,ハイレベルなスポーツによるプラスの影響とドーピングや過度な運動によるマイナスの影響のバランスを評価できるものではない。

Centenary of the Tour de France Group: Mortality of French Participants from the Tour de France 1947-2012
presenter: Xavier Jouven, MD, PhD ( Sudden Death Expertise Center, France )
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