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2型糖尿病+ACS alogliptin vs プラセボ 18ヵ月後のMACE:alogliptin≒プラセボ
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EXamination of cArdiovascular outcoMes with alogliptIN versus standard of carE
急性冠症候群(ACS)を発症後15-90日の治療下の2型糖尿病患者において,18ヵ月後の主要有害心イベントでのジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害薬アログリプチン(alogliptin)のプラセボに対する非劣性が認められる。
NEJM 2013. DOI: 10.1056/NEJMoa1305889
コメント DPP-4阻害薬は我が国では2010年のシタグリプチンを皮切りに現在7剤が上市されており経口糖尿病薬の中では売上高のトップを独走する。この薬剤は血糖上昇に応じたインスリン,グルカゴンの分泌調節をおこなうことにより血糖コントロールを改善するから,インスリン分泌促進薬との併用時以外は低血糖をおこす頻度が少なく,高齢糖尿病患者の第一選択薬とも考えられている。この薬剤でもう一つ,注目されてきたのは血管イベントに対する作用である。GLP-1の血管に対する好ましい作用,DPP-4の血管に対する好ましくない作用が基礎研究では集積されつつある。また血中GLP-1濃度を上昇させ,DPP-4活性を抑制することを介してDPP-4阻害薬がマウスおよびラットの実験で動脈硬化を抑制する,あるいは不安定プラークを安定化に導くといったデータも発表されている。さらに,多くのphase 3の試験結果をまとめたメタ解析(Monami M et al. Diabetes Obes Metab. 2013; 15: 112-20. PubMed)ではたった半年から1年の観察期間のうちに心筋梗塞や全死亡率が有意に抑制されたと報告されている。その意味でも今回の2つの発表は循環器医,糖尿病医に限らず,大きな注目を持って迎えられたであろう(コメント:弘世 貴久) →続きを読む
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(日本を含む)。
一次エンドポイント MACE(心血管死,非致死的MI,非致死的脳卒中)。
対 象  5,380例。
期 間 追跡期間18ヵ月(中央値);最長40ヵ月。
治 療  alogliptinは腎機能の程度に応じ投与量を減量:25mg/日;71.4%,12.5mg/日;25.7%,6.25mg/日;2.9%) →文献情報
EXamination of CArdiovascular OutcoMes with AlogliptIN versus Standard of CarE in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus and Acute Coronary Syndrome
presenter: William B White, MD ( University of Connecticut, US )
noteFDAと欧州医薬品庁(EMA)は2008年に承認プロセスを改訂し,すべての新規血糖降下薬に対し心血管合併症に対する安全性を証明するよう勧告した。
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