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ACS疑い コぺプチン追加による除外診断 vs 標準除外診断 30日後のMACE:コぺプチン追加≒標準
BIC-8 
Biomarkers in Cardiology-8
ACSが疑われるトロポニン陰性症例において,標準的な診断(連続心筋トロポニン検査,心電図,その他現行ガイドラインによる検査)に初回採血時のコペプチン検査を追加したACS除外診断(陽性[≧10pmol/L]:標準治療,陰性[<10pmol/L]:退院。72時間以内に外来受診)により,救急治療室からの退院が増加,また30日後の有害心血管イベント(MACE)のリスクは上昇せず。
背景・目的 全世界的に救急救命室は患者過剰に直面しているが,急性冠症候群(ACS)の兆候・症状を呈するものが圧倒的に多い。しかし,最終的に急性心筋梗塞(AMI)と診断されるものは15%に過ぎない。それゆえ,AMIの迅速除外診断の必要性は非常に高い。コペプチンはバソプレッシンの前駆体のフラグメントであるが,観察研究でトロポニン+コペプチンが急性イベントの有意な予測因子であることが示されている。
ACS疑いの症例において,通常の診断に超高感度コペプチンを追加した場合の安全性,有効性を検証する。
デザイン ランダム化,オープン,多施設,intention-to-treat解析。
一次エンドポイント 30日後の有害心イベント。
対象 902例。急性冠症候群が疑われる症例,トロポニン陰性例。
期間 追跡期間は90日。
治療 コペプチン群(451例):標準診断+コペプチン。コペプチン測定には初回採血を使用。
陽性(≧10pmol/L)例は標準治療,陰性(<10pmol/L)例は,最終臨床評価後に治療室を退院し通常の診療。ただし72時間以内に外来診療。
標準診断群(451例):連続心筋トロポニン検査,心電図,その他現行ガイドラインによる検査。
結果 [一次エンドポイント]
両群とも23例発症で両群間差はなかった(コペプチン群5.46% vs 標準診断群5.50%:絶対差0.04;97.5%片側信頼区間-3.3)。

[その他]
救急治療室からの退院:66% vs 12%(P<0.001)。
コペプチン陰性例のmiss rate:14例(4.1%)。最終臨床評価後の退院例は2例。うち1例は23日後に再入院し,翌日予定外の緊急PCI施行,もう1例は4日後に再入院し12日後にCABGを実施。

Instant early rule-out using cardiac troponin and copeptin in low- to intermediate-risk patients with suspected ACS: A prospective, randomized multicenter study.
presenter: Martin MÖckel, MD, PhD ( Charité - Universitätsmedizin Berlin, Germany )
UP
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