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 ACS  退院後の多面的介入 vs 通常ケア 12ヵ月後のアドヒアランス↑:介入群>通常ケア群*
MEDICATION 
Multifaceted Intervention to Improve Medication Adherence and Secondary Prevention Measures
ACSで入院した患者の退院後1年間の多面的介入により心血管保護薬のアドヒアランスは改善したが,通常ケアと比較した転帰の改善はみられなかった。
背景・目的 急性冠症候群(ACS)後の心血管保護薬(clopidogrel,スタチン,β遮断薬,ACE阻害薬/ARB)治療は,1ヵ月後に1種類以上の服用を1/3がやめ,1年後のスタチン服用はおよそ60%であるなど一般的に不良である。多くの研究からアドヒアランス不良が有害な転帰と関連することが示されている。
ACSで入院した患者の退院後1年間に実施する患者を中心とした多面的介入が通常ケアと比較して,心血管保護薬のアドヒアランスを改善するかを検討する。
デザイン ランダム化,多施設(退役軍人4施設)。
一次エンドポイント 12ヵ月後の心血管保護薬の良好な服薬アドヒアランス(PDC[proportion of days covered;ある期間に実際に処方された日数の比率]>80%)。
対 象  241例(試験終了例)。ACSで退役軍人施設に入院し通常のケアを受けていたもの。
■患者背景:平均年齢(多面的介入群63.8歳,通常ケア群64.0歳),ACS:ST上昇型心筋梗塞(STEMI:14.8%,12.6%);非STEMI(28.7%,30.3%);不安定狭心症(56.6%,57.1%), 糖尿病(50.8%,39.5%),心不全既往(13.9%,10.9%),CKD(23.0%,23.5%),慢性肺疾患(20.5%,19.3%),冠動脈疾患既往(64.8%,66.4%)。
期 間 追跡期間は12ヵ月。
方 法  多面的介入群(122例):(1) 薬剤師主導による患者一人ひとりに合わせて調整した薬物治療,(2) 患者教育,(3) 薬剤師とプライマリーケア医療提供者/心臓医の協調的ケア,(4) ボイスメッセージ(薬剤師が退院後の2-6ヵ月は服用を促し,また薬剤補給の連絡,7-12ヵ月は薬 剤補給の電話連絡のみ)を退院後1年間実施。
通常ケア群(119例)。
結 果 入院中の血行再建術:PCI(多面的介入群43.8%,通常ケア群39.8%,うち薬物溶出性ステント78.9%,84.1%),CABG(6.7%,17.1%;P<0.05)。

[一次エンドポイント]
アドヒアランスは多面的介入群89.3% vs 通常ケア群73.9%(P=0.003)。
PDCも多面的介入群のほうが有意に高かった(0.94 vs 0.87,P<0.001)。
良好だったのはβ遮断薬(88% vs 85%,P=0.59)を除く薬剤(clopidogrel:87% vs 71%,P=0.03,スタチン:93% vs 71%,P<0.001,ACE阻害薬/ARB:93% vs 82%,P=0.03)。

[その他]
12ヵ月後の目標血圧,脂質達成率に有意な群間差はなかった(血圧(<140/90mmHg;糖尿病,CKDは<130/80mmHg):59% vs 49%,LDL-C<100mg/dL:72% vs 83%)。
死亡率(9.0% vs 7.6%),心筋梗塞(6.6% vs 4.2%),血行再建術(11.5% vs 17.6%),総コスト(19,901ドル vs 19,989ドル)にも有意差はなかった。

Multifaceted Intervention to Improve Medication Adherence and Secondary Prevention Measures (Medication Study) After Acute Coronary Syndrome Hospital Discharge
presenter: Michael Ho ( VA Eastern Colorado Health Care System, US) )
JAMA Intern Med. Nov 18, 2013. doi:10.1001/jamainternmed.2013.12944
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