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3月10日 Late-Breaking Clinical Trials III:
Chronic CAD/Stable Ischemic Heart Disease and Acute Coronary Syndromes

STEMI tenecteplaseボーラス+PCI vs primary PCI 心イベント↓:tenecteplase+PCI≒primary PCI
STREAM 
Strategic Reperfusion Early After Myocardial Infarction
1時間以内のprimary PCIが困難な発症後3時間以内の急性STEMI患者において,搬送中の血栓溶解薬tenecteplaseボーラス投与後のPCI施設でのCAG→PCIの心転帰は,primary PCIと同等。ただし頭蓋内出血はわずかに増加。
デザイン ランダム化,オープン,多施設(15ヵ国99施設)。
一次エンドポイント 30日後の全死亡,ショック,うっ血性心不全(CHF),再梗塞の複合エンドポイント。
対 象  1,892例。発症から3時間以内の,2誘導で≧2mmのST上昇を認める急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者で,1時間以内のprimary PCI(PPCI)が不可能なもの。
■患者背景:救急搬送者81%,PCI施設のない一般病院受診者19%,平均年齢(tenecteplase群59.7歳,PPCI群59.6歳),≧75歳(14%,13%),女性(21%,22%),高血圧(47%,44%),糖尿病(12%,13%),CHF(<1%,2%;P=0.004), Killip分類I(94%),発症からの時間:ランダム化(91分,92分);入院(150分,140分;P<0.001);再灌流治療開始(100分,178分;P<0.001),カテ室到着(600分,170分;P<0.001),TIMI flow(0:16%,59%;1:両群とも10%;3:58%,21%;P<0.001)。
期 間 追跡期間は30日。
試験期間は2008年3月19日-2012年9月7日。
治 療  tenecteplase群*(944例):救急車あるいはERでtenecteplaseボーラス投与(2009年8月にプロトコルが改訂され,≧75歳は半量に減量)とaspirin+clopidogrel+enoxaparinによる抗血栓療法を実施。PCI施設に搬送し,心電図検査で≧50%のST変化の解消を認めた場合は6-24時間以内に冠動脈造影(CAG)を実施,必要に応じてPCI/CABGを施行。認めない場合は直ちにCAGとPCIを実施。
PPCI群(948例)。
結 果 [手技背景]
PCI後のTIMI flow grade 3はtenecteplase群91% vs PPCI群92%,PCI施行は80% vs 90%(P<0.001),うち両群96%がステント植込み,CABGは4.7% vs 2.1%(P=0.002)。

[一次エンドポイント]
有意な群間差は認められなかった(tenecteplase群116/939例[12.4%]vs PPCI群135/943例[14.3%];P=0.21)。

[その他]
全死亡(4.6% vs 4.4%),心臓死(3.3% vs 3.4%),うっ血性心不全(6.1% vs 7.6%),心原性ショック(4.4% vs 5.9%)などには差はなかったが,頭蓋内出血はtenecteplase群のほうがわずかに多かった(1.0% vs 0.2%;P=0.04;プロトコル改訂後:0.5% vs 0.3%;P=0.45)。

presenter: Frans Van de Werf, MD, PhD ( University of Leuven, Belgium )
心不全のない急性STEMI eplerenone vs プラセボ CVD↓:eplerenone>プラセボ*
REMINDER 
A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Trial Evaluating the Safety and Efficacy of Early Treatment with Eplerenone in Patients with Acute Myocardial Infarction
心不全のない急性STEMI患者において,標準治療へのeplerenoneの発症後24時間以内の追加は心血管イベントを有意に抑制。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
一次エンドポイント 心血管死,心不全または持続性心室性頻拍または心室細動の診断による再入院もしくは入院期間延長の初発,1ヵ月後のEF≦40%またはBNP/NT-proBNPの上昇。
対 象  1,012例。ER/救急搬送中に急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)と診断された患者で,心不全の診断のないもの。
除外基準:EF<40%,心不全の既往,ICD植込み,腎不全など。
■患者背景:平均年齢(eplerenone群58.5歳,プラセボ群57.8歳),女性(17.0%,20.4%),血清クレアチニン0.91mg/dL,eGFR(86.5,86.4mL/分/1.73m²),血清K値(4.07,4.05mmol/L),前壁MI(35.6%,40.5%),高血圧(47.6%,51.4%),糖尿病(12.8%,15.4%)。
期 間 平均追跡期間は10.5ヵ月。
治 療  標準治療に下記を追加。
eplerenone群(506例;初日25mg/日,2日目から25-50mg/日*) vs プラセボ群(506例)。
*血清K値とeGFRにより調節。最終的に88.6%が50mg/日投与。
結 果 [一次エンドポイント]
eplerenone群で有意に抑制(ハザード比0.581;95%信頼区間0.449-0.753;P<0.0001)。

[血清K値の変化]
eplerenone群はプラセボ群にくらべベースラインから1ヵ月後の血清K値の増加が有意に大きく(0.41mmol/L vs 0.32mmol/L;P<0.0001),高K血症が増加傾向を示した一方(>5.5mmol/L:5.6% vs 3.2%;P=0.09),低K血症は有意に減少した(<4.0mmol/L:35.5% vs 47.2%;<3.5mmol/L:1.4% vs 5.6%;ともにP=0.0002)。

presenter: Gilles Montalescot, MD, PhD ( Pitié Salpêtrière University Hospital, France )
NSTEMI, PCI inclacumab 5mg/kg vs 20mg/kg vs プラセボ トロポニンI↓:20mg/kg>5mg/kg≒プラセボ
SELECT-ACS 
Effects of the P-Selectin Antagonist Inclacumab in the Select-Acute Coronary Syndromes Trial
PCIを施行するNSTEMI患者において,遺伝子組換え抗P-セレクチンモノクローナル抗体inclacumab*が心筋障害を抑制する可能性が-24時間前単回注入(20mg/kg)で16-24時間後のトロポニンI値低下。
* P-セレクチンは内皮細胞や血小板に発現する細胞接着分子で,白血球の接着,ローリングや血小板の接着,凝集に重要な役割を果たしている。inclacumabは遺伝子組換え抗P-セレクチンモノクローナル抗体で,白血球や血小板の接着を抑制することで,抗炎症作用や抗血栓作用を発揮しうるため,PCI周術期・手技後の心筋障害を抑制することが期待されている。
デザイン ランダム化,プラセボ対照。
一次エンドポイント PCI後16-24時間のトロポニンI(TnI)の変化。
対 象  544例。18-85歳,非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI),TnIまたはCK-MBが>99パーセンタイル,冠動脈血管造影とPCIが予定されている患者。
■患者背景:年齢(inclacumab 20mg/kg群59.8歳,5mg/kg群63.1歳,プラセボ群60.9歳),男性(79.5%,77.9%,79.1%),白人(96.4%,95.8%,95.7%),糖尿病(23.2%,24.2%,20.9%),参照血管径(全群3.0mm),総ステント長(22.0mm,20.0mm,22.0mm),薬剤溶出性ステント(56.5%,58.6%,59.2%),ベアメタルステント(39.1%,35.3%,35.4%)。
服薬状況:PCI前のP2Y12阻害薬(81.8%,78.5%,79.8%),aspirin(92.0%,91.1%,96.6%),スタチン(94.9%,94.4%,96.0%),ACE阻害薬(79.0%,71.5%,75.4%),ARB(9.7%,19.0%,14.3%),β遮断薬(92.0%,90.5%,90.3%)。
期 間 追跡期間は120日。
治 療  inclacumab* 20mg/kg群(176例)vs 5mg/kg群(179例)vs プラセボ群(175例)。 *PCI施行の1-24時間前に単回注入。その後冠動脈血管造影を行い,必要であればPCIを実施。
結 果 PCI施行は340例,TnIデータを欠測した18例を除き322例を解析。

[一次エンドポイント]
TnIの変化(幾何平均値;ベースライン→16時間後→24時間後)と最大TnI値は下記の通り。
inclacumab 20mg/kg群:0.82→1.09→0.99;1.34ng/mL。
5mg/kg群:0.71→1.30→1.21;1.56 ng/mL。
プラセボ群:1.03→1.74→1.76;2.09 ng/mL。
プラセボ群で調整した24時間後のTnIの変化率は,20mg/kg群-24.4%(95%信頼区間-43.1-0.4;P=0.05),5mg/kg群-1.4%(-26.7-32.7;P=0.93)。
同様に16時間後の変化率は,20mg/kg群-22.4%(-40.8-1.7;P=0.07),5mg/kg群-3.4%(-27.2-28.2;P=0.81)。

[その他]
CK-MBの変化も同様で,24時間後のプラセボ群で調整した変化率は20mg/kg群-17.4%(-32.1-0.4;P=0.06),5mg/kg群-4.7%(-22.3-16.9;P=0.64)であった。

presenter: Jean-Claude Tardif, MD ( Montreal Heart Institute, Canada )
糖尿病+安定狭心症, CAD ranolazine vs プラセボ 狭心症発作↓:ranolazine>プラセボ*
TERISA 
2型糖尿病を合併したCAD,難治性慢性安定狭心症患者において,狭心症治療薬ranolazineは発作を抑制。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(14ヵ国105施設)。
一次エンドポイント 治療から2-8週後の狭心症発作頻度/週。
対 象  927例。2型糖尿病,冠動脈疾患(CAD),1-2剤の抗狭心症薬を投与しても症候性である慢性安定狭心症。
■患者背景:平均年齢(ranolazine群63.2歳,プラセボ群64.2歳),男性(61.3%,61.5%),白人(98.7%,99.4%),高血圧(95.0%,95.9%),脂質異常症(79.4%,80.3%),喫煙者(15.4%,16.6%),既往:心筋梗塞(75.4%,72.7%);血管形成術(42.7%,38.8%);CABG(18.2%,18.9%)。
・糖尿病罹病期間(7.2年,7.7年),HbA1c(両群とも7.3%),血糖降下薬服用(93.3%,92.7%),インスリン(17.5%,20.6%)。
・抗狭心症薬:1剤(56.1%,55.7%);2剤(43.9%,44.3%),β遮断薬(90.5%,89.9%),Ca拮抗薬(26.8%,30.8%),長時間作用型硝酸薬(34.8%,32.5%),スタチン(82.5%,82.4%),抗血小板薬(89.8%,86.5%),ACE阻害薬/ARB(88.1%,87.5%),diary compliance(中央値:両群とも98%)。
期 間 治療期間は8週間,追跡期間は2週間。
治 療  4週間のrun-in(単盲検・プラセボ)後,下記にランダム化。
ranolazine群(462例):目標用量1000mg×2回/日,プラセボ群(465例)
結 果 ランダム化時はranolazine群:473例,プラセボ群:476例,治療中止例は両群とも11例。解析例はそれぞれ462例,465例。

[一次エンドポイント]
ranolazine群(ベースライン時6.6→3.8回/週),プラセボ群(6.8→4.3回/週)とranolazine群で減少した(P=0.008)。

[おもな二次エンドポイント] ニトログリセリン舌下錠の使用も4.1→1.7回/週,4.5→2.1回/週と同群で減少した(P=0.003)。

presenter: Mikhail Kosiborod, MD ( Saint Luke’s Mid America Heart Institute, US )
* 有意差あり。
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