抗血栓トライアルデータベース
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EAST-AF registry
結論 抗凝固療法を受けていた非弁膜症性心房細動(NVAF)合併脳卒中患者における脳卒中再発リスクは,抗凝固療法を受けていなかった患者にくらべ,高い可能性がある。
コメント NVAFを伴う虚血性脳卒中患者の虚血性脳卒中再発率が,発症前に抗凝固療法を受けていた群で,受けていない群に比べて高いことを示した研究であり,不十分な抗凝固療法自体が独立した危険因子であることを示した点で意義深い。さらに,日本と韓国の脳卒中急性期前向き登録データを,医療環境の違いを超えて統合解析し,交絡因子を十分に検討して明らかにした点でも価値がある。これからの東アジア脳卒中臨床研究の礎となる研究といえよう。(岡田靖

目的 抗凝固療法を受けていたにもかかわらず発症したNVAF合併虚血性脳卒中は,抗凝固療法の脳卒中予防効果を無にする潜在的な問題を示唆する可能性がある。本研究では,抗凝固療法を受けていたNVAF合併脳卒中患者は,受けていなかった患者より再発リスクが高いという仮説を検証するため,両者の再発リスクを比較した。主要評価項目:虚血性脳卒中再発。副次評価項目:出血性脳卒中,全死亡。
デザイン EAST-AF registryは,2つの前向きコホート研究(日本のSAMURAI-NVAF registryと韓国のCRCS-K registry)の統合研究。
セッティング 多施設(33施設:日本18施設+韓国15施設)。
期間 登録期間はSAMURAI-NVAF registry:2011年9月~2014年3月,CRCS-K registry(EAST-AF registryへの登録期間):2011年1月~2014年12月。追跡期間中央値 365日(4,617患者・年)。
対象患者 6,033例。SAMURAI-NVAF registry 登録患者(発症から7日以内に入院した脳卒中または一過性脳虚血発作[TIA]患者で,NVAFを有すると診断された症例)1,192例+CRCS-K registry(発症から7日以内に入院した脳卒中またはTIA患者25,278例)のうち,≧18歳の虚血性脳卒中またはTIA患者で,NVAFを有すると診断された症例4,841例。
【除外基準】院内死,抗凝固療法に関するデータが入手できなかった患者。CRCS-K registry登録患者のうち,人工弁置換または血行動態的に関連のある僧帽弁狭窄,追跡データが入手できなかった症例は除外した。
【患者背景】年齢中央値は抗凝固療法あり群75歳,抗凝固療法なし群75歳。それぞれの女性45.7%,47.2%。韓国人66.8%,82.5%(p<0.01)。脳卒中発症前のmodified Rankin Score(mRS)中央値0,0(p<0.01)。当該イベント前のNVAF診断94.9%,47.6%(p<0.01)。当該イベント前の脳卒中48.0%,18.5%(p<0.01)。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値7,8(p<0.01)。退院時の薬物療法:抗血小板薬28.9%,32.8%(p=0.01),warfarin 68.3%,61.9%(p<0.01),直接経口抗凝固薬13.5%,9.5%(p<0.01)。退院時のmRS中央値3,3。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
対象患者6,033例のうち院内死などを除外した5,645例を解析した。
1,129例(20.0%)が抗凝固療法を受けていた。
抗凝固療法を受けていた患者における脳梗塞累積再発率は5.3%(60/1129例)で,受けていなかった患者2.9%(130/4516例)に比べ高かった(HR 1.50,95%CI 1.02-2.21,p=0.03)。
出血性脳卒中,全死亡については,両群間に差異は認められなかった。
出血性脳卒中:抗凝固療法あり群7例(0.6%),抗凝固療法なし群35例(0.8%),HR 0.64,95%CI 0.24-1.69,p=0.37。
全死亡:163例(14.4%),742例(16.4%),HR 0.96,95%CI 0.79-1.18,p=0.71。

●有害事象

文献: Tanaka K, et al.; CRCS-K Investigators and the SAMURAI Study Investigators. Atrial Fibrillation-Associated Ischemic Stroke Patients With Prior Anticoagulation Have Higher Risk for Recurrent Stroke. Stroke 2020; 51: 1150-1157. pubmed
関連トライアル CROMIS-2, EAFT 1993, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, ENGAGE AF-TIMI 48 previous stroke/TIA, Hernandez I et al, JNAF-ESP, Nielsen PB et al, ORBIT-AF, ORBIT-AF bridging, ORBIT-AF nuisance bleeding, RAF, REAFFIRM, ROCKET AF temporary interruption, SAMURAI-NVAF two-year outcomes
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