抗血栓トライアルデータベース
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SAMURAI-NVAF registry early initiation of DOAC
結論 非弁膜症性心房細動(NVAF)関連脳梗塞/一過性脳虚血発作(TIA)発症後の患者において,脳卒中/全身性塞栓症,大出血,死亡リスクは発症後3日以内または4日後以降に直接経口抗凝固薬(DOAC)を開始した患者間で同程度であった。
コメント 心原性脳塞栓症急性期は再発率が高く,一方で出血性梗塞も起こりやすいため,再発予防を目的とした抗凝固療法をいつから始めるべきかという問題がある。著者らはSAMURAI-NVAFデータを用いて,DOACを3日以内に開始した群と4日以降に開始した群間で,3ヵ月後と2年後の脳卒中/全身性塞栓症,大出血,および死亡の発症率を比較し,差異がなかったことを報告した。また,DOACを3日以内に開始した群では,4日以降に開始した群より梗塞巣が小さく,NIHSSが低かったという。大梗塞例や重症例を除けば,急性期の再発予防を目的としてDOACを発症3日内に開始することを考慮できる。(矢坂正弘

目的 脳卒中発症後の抗凝固療法再開について,最近のガイドラインでは「1-3-6-12日ルール」にもとづき,神経学的重症度により早期にDOACを投与することを許容している。しかし,このルールはエキスパートコンセンサスによるものである。本解析では,SAMURAI-NVAF registry のデータを用い,NVAFを有する脳梗塞発症後の患者におけるDOAC投与について,早期開始と後期開始を比較した。有効性主要評価項目:当該イベントから2年後の脳卒中または全身性塞栓症。安全性主要評価項目:当該イベントから2年後のISTH出血基準大出血
デザイン 本解析は前向き観察研究SAMURAI-NVAF registryのサブ解析。
セッティング 多施設(18施設),日本。
期間 登録期間は2011年9月~2014年3月。追跡期間は2年。
対象患者 499例。SAMURAI-NVAF registry 登録患者(発症から7日以内のNVAFを有する脳梗塞およびTIA患者1,192例)のうち,急性期入院中にDOAC投与を開始した症例。経口抗凝固薬の適応や薬剤選択,開始時期は担当医の裁量とした。
【除外基準】-
【患者背景】年齢中央値は早期開始群74歳,後期開始群75歳。各群の女性34.9%,36.6%。脳卒中発症前のmodified Rankin Score(mRS)中央値0,0。高血圧67.3%,73.6%。脂質異常症30.9%,38.8%。糖尿病16.6%,21.7%。当該イベント前のAFの診断62.3%,52.9%(p=0.02)。持続性AF 65.9%,53.3%(p<0.01)。当該イベント発症前の脳卒中/TIA 19.3%,22.1%。以前の抗凝固療法24.2%,22.8%。CHADS2スコア中央値3,4。CHA2DS2-VAScスコア中央値5,5(p=0.03)。HAS-BLED出血リスクスコア中央値3,3。DOACの種類:dabigatran 46.2%,39.1%,rivaroxaban 48.4%,56.2%,apixaban 5.4%,4.7%。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
DOACは脳卒中発症後中央値4日に開始された。≦3日に開始した223例を早期開始群,≧4日に開始した276例を後期開始群として解析した。
早期開始群は後期開始群にくらべベースライン時のNIHSSが低く(中央値3,5,p<0.01),梗塞巣が小さかった(小規模梗塞[長径≦15mm]36.4%,25.3%,p<0.01)。
死亡例/追跡脱落例を除くと,2年後のDOAC服用率は早期開始群86.1%,後期開始群83.8%で,追跡期間中を通して両群間に差異を認めなかった。
2年後のイベントについて,いずれも両群間に有意差はみられなかった。
脳卒中/全身性塞栓症:早期開始群20例(8.9%),後期開始群29例(10.5%),HR 0.86,95%CI 0.47-1.57。
大出血:6例(2.7%),6例(2.2%),HR 1.39,95%CI 0.42-4.60。
死亡:10例(4.5%),24例(8.7%),HR 0.61,95%CI 0.28-1.33。
3ヵ月後の転帰も両群間で同程度であった。
脳卒中/全身性塞栓症:10例(4.5%),7例(2.5%),HR 1.73,95%CI 0.59-5.07。
大出血:2例(0.9%),4例(1.5%),HR 0.76,95%CI 0.12-4.61。
死亡:2例(0.9%),2例(0.7%),HR 2.82,95%CI 0.03-274.39。

●有害事象

文献: Mizoguchi T, et al.; SAMURAI Study Investigators. Early Initiation of Direct Oral Anticoagulants After Onset of Stroke and Short- and Long-Term Outcomes of Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation. Stroke 2020; 51: 883-91. pubmed
関連トライアル ARISTOPHANES, CROMIS-2, da Vinci, Deguchi I et al, Law SWY et al, NOACISP LONG-TERM Registry, NOACのwarfarinに比較しての死亡率抑制効果, North Dublin Population Stroke Study, NVAF患者における周術期転帰:DOACとwarfarinの比較, OAC-ALONE, ORBIT-AF bridging, ORBIT-AF nuisance bleeding, RAF, REAFFIRM, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF temporary interruption, SAMURAI-NVAF two-year outcomes
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