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Caravaggio
結論 apixaban経口投与はdalteparin皮下注に対し,大出血を増加させずにがん関連静脈血栓塞栓症(VTE)治療について非劣性を示した。
コメント  がんに関連したVTEでは,非がん患者と比べ,抗凝固療法下でのVTE再発や出血が明らかに高率に生じることがよく知られており,がん関連VTEに適した抗凝固薬を明らかにすべく研究が行われてきた。昨今では特に直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)に期待が集まっており,欧米のガイドラインでがん関連VTEに対する第一選択薬として確立している低分子ヘパリン(LMWH)との比較研究が行われた。このCaravaggio研究もその中の一つである。
 過去のedoxabanとrivaroxabanを LMWHと比べたランダム化研究では,VTE再発抑制については同程度から優れていたものの,上部消化管出血の増加が報告された。しかし今回のCaravaggio研究では,VTE再発も大出血も両群間で差はなかった。また,過去の研究と同程度の割合で上部消化管のがんが組み入れられていたものの,DOACで懸念された上部消化管出血の頻度も同等であった。したがって,apixabanではLMWH同様,がん関連VTEに有効かつ安全な薬剤であることが立証されたことになり,ガイドラインの改訂につながることが予想される。(山田典一

目的 最近のガイドラインでは,がん患者のVTE治療としてedoxabanまたはrivaroxabanの使用を考慮することを推奨している。しかし,これらの薬剤のベネフィットは,出血リスク(おもに消化管)上昇のために制限される。本試験では,大出血リスクを上昇させることなく,がん患者のVTE再発を予防できるか,apixabanをdalteparinと比較した。有効性主要評価項目:治療期間における客観的に確定されたVTE再発。安全性主要評価項目:試験薬最終投与から72時間後までの大出血。
デザイン PROBE,非劣性試験(非劣性マージン:95%CI上限2.0)。NCT03045406。
セッティング 多施設(119施設),11ヵ国(欧州,イスラエル,米国)。
期間 ランダム化期間は2017年4月~2019年6月。
対象患者 1,155例。新規に症候性/偶発性近位部下肢深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症(PE)の診断を受けたがん患者連続例。
【除外基準】皮膚の基底細胞/扁平上皮がん,原発性脳腫瘍,既知の脳転移がん,急性白血病。
【患者背景】平均年齢はapixaban群67.2歳,dalteparin群67.2歳。各群の男性50.7%,47.7%。平均体重75.7kg,76.1kg。当該VTEの病型:PE(DVT合併の有無は問わない)52.8%,57.7%,DVTのみ47.2%,42.3%。がんの治療:登録時60.8%,63.4%,過去6ヵ月以内24.8%,22.3%,試験期間中59.7%,59.8%。
治療法 VTEのタイプ(症候性/偶発性)およびがんの診断のタイミング(6ヵ月以内[活動性]/2年以内)により層別後,以下の2群にランダム化し,試験薬を6ヵ月投与した。ランダム化前の最長72時間の低分子ヘパリン,fondaparinux,未分画ヘパリンの治療用量投与は許可した。血小板数が<50,000/μLに減少,出血リスク上昇,腎機能悪化の場合は一時的に試験薬投与を差し控えた。
apixaban群:576例。最初の7日間は10mgを1日2回,その後は5mgを1日2回経口投与。
dalteparin群:579例。最初の1ヵ月は200IU/kg,その後は150IU/kgを1日1回皮下注。1日最大量は18,000IU。
追跡完了率
結果

●評価項目
VTE再発はapixaban群32例(5.6%),dalteparin群46例(7.9%)で,非劣性基準に合致した(HR 0.63,95%CI 0.37-1.07,非劣性p<0.001,優越性p=0.09)。
大出血はapixaban群22例(3.8%),dalteparin群23例(4.0%)で,同程度であった(HR 0.82,95%CI 0.40-1.69,p=0.60)。
VTE再発+大出血はそれぞれ51例(8.9%),66例(11.4%),HR 0.70,95%CI 0.45-1.07。
全死亡はそれぞれ135例(23.4%),153例(26.4%),HR 0.82,95%CI 0.62-1.09。

●有害事象

文献: Agnelli G, et al.; Caravaggio Investigators. Apixaban for the Treatment of Venous Thromboembolism Associated with Cancer. N Engl J Med 2020; 382: 1599-607. pubmed
関連トライアル ADOPT, ADVANCE, ADVANCE-2, AMPLIFY, AMPLIFY cancer patients, AMPLIFY-EXT, APPRAISE-2, APROPOS, ARISTOTLE, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE previous stroke/TIA, AVERROES, Botticelli, CASSINI, CATCH, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, Hokusai VTE Cancer, Hokusai-VTE, Larsen TB et al, MAGELLAN, PADIS-PE, PREVENT 2004, PROTECT, RECORD1, VTE治療の新規経口抗凝固薬の間接比較, WARFASA
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