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AFIRE Atrial Fibrillation and Ischemic Events with Rivaroxaban in Patients with Stable Coronary Artery Disease
結論 心房細動(AF)・安定冠動脈疾患合併患者に対する抗血栓療法として,rivaroxaban単独はrivaroxaban+抗血小板薬併用にくらべ,有効性については非劣性,安全性については優越性を示した。
コメント  かつてN Engl J Medは,きわめて質の高い臨床論文のみしか掲載しないとされた。ランダム化比較試験は「人類一般における」臨床的仮説の検証を行うため,日本で施行されたランダム化比較試験が掲載されることはきわめて稀であった。AFFIRE試験は日本単独にて施行された試験である。また,ランダム化はされているが,オープンラベルの試験である。有効性の一次エンドポイントには血行再建を要する不安定狭心症などのソフトエンドポイントも含まれる。循環器領域における新薬開発のランダム化比較試験が盛んに施行された数年前までであれば,本研究がN Engl J Medに掲載されることは難しかったかもしれない。
 AFFIRE試験では,リバーロキサバン群とリバーロキサバン・抗血小板薬群にランダムに割り付けられた。いずれの症例も,世界とは異なる日本の独自用量(15 mgまたは10 mg)のリバーロキサバンを使用した。仮説検証研究としてサンプルサイズは大きくない。さらに,抗血小板薬併用群の死亡率が高いとされた時点にて試験は中止された。結果として,本研究ではリバーロキサバン単独群の死亡率が抗血小板薬併用群よりも低いことを示す試験となった。
 心房細動症例を対象とした各種研究が示すように,本研究でも心房細動に安定冠動脈疾患を合併した症例では近未来の死亡率が高いことを示した。抗血栓薬のランダム化比較試験ではあるが,虚血性脳卒中,心筋梗塞よりも総死亡が本研究の主要なエンドポイントとなった。
 本研究のデータ解析が精密に施行されている点は評価できる。
 抗凝固薬と抗血小板薬を併用すると重篤な出血は増えるであろう。リバーロキサバン単独の方が重篤な出血が少ないことは予測の通りであった。リバーロキサバンと小麦粉を併用しても重篤な出血は増加しないであろう。本研究では,リバーロキサバンに抗血小板薬を併用しても血栓イベントは減少しなかった。血栓イベントと想定される心血管死亡率は,むしろ抗血小板薬併用群において高かった。(後藤信哉

目的 AFと安定冠動脈疾患を合併している患者における抗血栓療法について,RCTからのデータは限られており,またガイドラインと実臨床の間にギャップもみられる。本試験では,1年以上前に血行再建術を施行されたか,造影で血行再建術を必要としないと確定された冠動脈疾患とAFを合併している患者を対象に,rivaroxaban単独療法はrivaroxaban+抗血小板薬単剤併用に対し非劣性を示すか検討した。有効性主要評価項目:脳卒中,全身性塞栓症,心筋梗塞,血行再建術を必要とする不安定狭心症,全死亡の複合。安全性主要評価項目:ISTH大出血
デザイン PROBE試験。UMIN000016612,NCT02642419。
セッティング 多施設(294施設),日本。
期間 登録期間は2015年2月23日~2017年9月30日。治療期間中央値23.0ヵ月,追跡期間中央値24.1ヵ月。
対象患者 2,236例。≧20歳,AFと安定冠動脈疾患の診断をうけた患者で,CHADS2スコア≧1で,以下の条件*のうち1つ以上に当てはまる症例。
*:経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行歴(登録の1年以上前の施行。血管形成術施行を含む[ステント植込みの有無は問わない]),造影で確認された血行再建術を必要としない冠動脈疾患の既往(≧50%の狭窄をともなう),登録の1年以上前に冠動脈バイパス術(CABG)施行。
【主要除外基準】ステント血栓症既往,活動性腫瘍合併,管理不良の高血圧。
【患者背景】平均年齢はrivaroxaban単独群74.3歳,併用群74.4歳。各群の男性79.0%,79.1%。現喫煙13.2%,13.2%。糖尿病41.6%,42.1%。脳卒中既往13.4%,15.8%。心筋梗塞既往34.7%,35.5%。併用群における抗血小板薬の種類:aspirin 70.2%,P2Y12阻害薬26.8%。
治療法 以下の2群にランダム化。
rivaroxaban単独群:1,107例。rivaroxaban 10mg(クレアチニンクリアランス15~49mL/分)または15mg(同≧50mL/分),1日1回投与。
併用群:1,108例。rivaroxaban(用量はrivaroxaban単独群と同じ)+抗血小板薬(担当医の裁量によりaspirinまたはP2Y12阻害薬)併用。
追跡完了率
結果

●評価項目
本試験は併用群で死亡率が上昇したため,早期中止となった。
有効性主要評価項目は,rivaroxaban単独群の併用群に対する非劣性が認められた(89例[4.14%/年],121例[5.75%/年],HR 0.72,95%CI 0.55-0.95,非劣性p<0.001[非劣性マージン1.46],優越性p=0.02)。
脳梗塞:21例(0.96%),28例(1.31%),HR 0.73,0.42-1.29。
出血性脳卒中:4例(0.18%),13例(0.6%),HR 0.30,0.10-0.92。
全身性塞栓症:2例(0.09%),1例(0.05%),HR 1.97,0.18-21.73。
心筋梗塞:13例(0.59%),8例(0.37%),HR 1.60,0.67-3.87。
血行再建術を必要とする不安定狭心症:13例(0.59%),18例(0.84%),HR 0.71,0.35-1.44。
全死亡:41例(1.85%),73例(3.37%),HR 0.55,0.38-0.81。
安全性主要評価項目について,rivaroxaban単独群の併用群に対する優越性が認められた(35例[1.62%/年],58例[2.76%/年],HR 0.59,95%CI 0.39-0.89,p=0.01)。

●有害事象

文献: Yasuda S, et al.; AFIRE Investigators. Antithrombotic Therapy for Atrial Fibrillation with Stable Coronary Disease. N Engl J Med 2019; 381: 1103-1113. pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG triple therapy, ARISTOTLE, AUGUSTUS, CASSINI, COMMANDER HF, COMPASS, COMPASS CAD, COMPASS PAD, COURAGE, EPCAT II, FREEDOM DAPT vs. aspirin monotherapy, GEMINI-ACS-1, GLOBAL LEADERS, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lin YC et al, Lopes RD et al, NAVIGATE ESUS, NAVIGATE ESUS patent foramen ovale, OAC-ALONE, OPTIMIZE, ORBIT-AF registry triple vs. dual antithrombotic therapy, PIONEER AF-PCI hospitalization, PIONEER AF-PCI total bleeding, RE-DUAL PCI, REAL-LATE / ZEST-LATE, ROCKET AF, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF temporary interruption
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