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van der Wall SJ et al Antithrombotic therapy after mitral valve repair: VKA or aspirin?
結論 僧帽弁修復をうけた心房細動(AF)既往のない患者において,術後3ヵ月のイベント発症率はビタミンK拮抗薬(VKA),aspirinとも約10%で,同程度であった。いずれの抗血栓療法も血栓塞栓イベント発症率は低く,大出血発症率は同程度であった。本結果を確証するためには前向きのランダム化臨床試験が必要である。

目的 MVrは変性性僧帽弁逆流症に対する優れた標準治療であるが,MVr施行後の至適抗血栓療法についてはまだ議論が交わされている。本研究は,術後3ヵ月間において,血栓塞栓性および出血性合併症発症率がVKAとaspirinとで異なるかを評価した。主要評価項目:3ヵ月後の血栓塞栓症+ISTH出血基準大出血の複合。
デザイン 後ろ向き観察コホート研究。
セッティング 多施設(19施設),オランダ。
期間 登録期間は2004年~2016年。
対象患者 469例。初回MVrを施行し,退院後は提携病院にて治療をうけた成人患者連続例。三尖弁修復術同時施行の有無は問わなかった。
【除外基準】三尖弁修復術(TVr)以外の手術を同時に施行,心臓手術歴,術前にAFと診断。
【患者背景】平均年齢はVKA群60歳,aspirin群62歳。それぞれの男性は60%,59%。脳梗塞既往2.2%,5.6%,心筋梗塞既往3.7%,静脈血栓塞栓イベント3.5%,2.6%,左室駆出率<40% 3.8%,9%*。糖尿病5.4%,3.5%,高血圧47%,51%,喫煙歴31%,19%。術後抗凝固薬:VKA 3.7%,2.8%,aspirin 18%,27%*,clopidogrel 0.9%,1.4%。活動性心内膜炎(手術時)7.4%,6.3%。TVr同時施行22%,4.9%**p<0.05
治療法 全例に弁形成リングを装着。
VKA群(325例):術後1日目から治療用量のnadroparinおよびVKAを投与。nadroparin投与は2日間連続してINR>2.0を達成するまで継続。VKA投与は術後6~12週間継続し,担当医の判断で中止またはaspirinに変更。VKA投与中のINR目標値は2.0~3.0。
aspirin群(144例):術後1日目から予防用量のnadroparinおよびaspirin 80mg/日を投与。nadroparin投与は患者が完全に動けるようになり次第中止した。aspirinは洞調律患者には無期限投与。術後,>24時間続くAFを新規に発症した場合は,VKA群と同様にnadroparinおよびVKA投与を開始した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
術後新規AF発症は47%,再開胸術は7.5%,死亡は4例。
主要評価項目の累積発症率は,VKA群9.2%(95%CI 6.1-12),aspirin群11%(6.0-17)と,同程度であった(補正後HR 1.6,0.83-3.1)。
個々の累積発症率は以下の通り。
血栓塞栓症:VKA群2.6%(0.84-4.4),aspirin群1.6%(0-3.8),補正後HR 0.82,0.16-4.2。
ISTH大出血:6.8%(4.1-9.5),9.1%(4.2-14),補正後HR 1.89,0.90-3.9。大出血の89%は心臓タンポナーデで,うち2例は死亡した(各群1例)。

●有害事象

文献: van der Wall SJ, et al. Antithrombotic therapy after mitral valve repair: VKA or aspirin? J Thromb Thrombolysis 2018; 46: 473-81. pubmed
関連トライアル Gaist D et al, Gherli T et al, Kooistra HA et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lee CJ et al, Sørensen R et al, 生体弁植込み患者における抗血栓療法
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