Nakamura K et al |
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●結論 | カテーテルアブレーション(アブレーション)を施行した非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における症候性血栓塞栓症および大出血について,直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)を継続,中断するプロトコールはいずれもリスクは低く,無症候性脳内虚血病変(SCILs)および小出血発生率も低かった。両プロトコールとも,周術期の抗凝固療法として許容できるものと考えられた。 |
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●コメント | アブレーション時,DOACを継続で投与するか当日のみ中止するかをランダム化前向き試験により有効性・安全性を検討した試験である。単施設の比較的少数例での検討であり,十分な統計学的パワーはないこと,またDOACも限定されていないことより,DOAC別の解析は困難であるが,DOACを当日中止することによる極端な血栓塞栓性イベントの増加はなく,一方で継続による出血イベントの増加も認められなかった。この結果は,今後より大規模な試験で確認されるべきであろう。 また,多数例でアブレーション後MRIの検討を行い,無症候性脳内虚血病変が約2割に認められること,その約8割は追跡MRIで消失すること,両群で差を認めなかったことは評価に値する。(是恒之宏) |
●目的 | アブレーション施行NVAF患者の周術期において,DOACのwarfarinに対する安全性・有効性は先行研究から示されているが,異なるプロトコールのDOACを直接比較したデータは少ない。本試験では,DOAC継続または中断投与により,イベント発症率を直接比較した。主要評価項目:アブレーション施行30日後の症候性血栓塞栓症(脳梗塞,一過性脳虚血発作[TIA]),全身性塞栓症,大出血イベントの複合。 |
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●デザイン | 前向き,ランダム化試験。 |
●セッティング | 単施設,日本。 |
●期間 | 登録期間は2015年12月~2017年12月。 |
●対象患者 | 846例。アブレーション施行前にDOACを投与されていたNVAF患者。 【除外基準】<20歳,心内血栓,人工弁,リウマチ性僧帽弁疾患,重度の腎不全(クレアチニンクリアランス:dabigatran群では<30mL/分,rivaroxaban群,apixaban群,edoxaban群では<15mL/分),heparinアレルギーまたはheparin起因性血小板減少症既往)。 【患者背景】年齢は継続群65歳,中断群65歳。各群の男性70.8%,70.4%。心房細動の病型:発作性52.7%,55.8%,持続性29.9%,30.3%,永続性17.3%,13.9%。高血圧52.7%,55.6%。糖尿病15.7%,15.4%。心不全9.3%,9.7%。脳卒中/TIA 7.1%,7.8%。CHADS2スコア1.1,1.1。CHA2DS2-VAScスコア2.0,2.1。HAS-BLED出血リスクスコア1.3,1.4。 (数値は割合または平均値) |
●治療法 | 以下の2群にランダム化。 継続群:421例(dabigatran 6.4%,rivaroxaban 38.0%,apixaban 27.8%,edoxaban 27.8%)。周術期を通して継続投与。 中断群:423例(それぞれ9.0%,35.7%,29.6%,25.8%)。手技当日にDOACを中断し,翌朝再開。中断前の最終投与は,1日2回投与薬では手技施行前日の夜,1日1回投与薬では手技施行前日の朝とした。 |
●追跡完了率 | - |
●結果 | ●評価項目 ●有害事象 |
文献: Nakamura K, et al. Uninterrupted vs. interrupted periprocedural direct oral anticoagulants for catheter ablation of atrial fibrillation: a prospective randomized single-centre study on post-ablation thrombo-embolic and haemorrhagic events. Europace 2018. pubmed | |
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