抗血栓トライアルデータベース
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TAUSA Thrombolysis and Angioplasty in Unstable Angina
結論 安静時疼痛を伴う狭心症患者に対して,予防的な抗血栓療法としてのurokinase投与は,血管造影および臨床上の転帰を改善させないことが示された。これは出血性解離,内膜損傷,あるいは凝固活性物質やurokinaseの血小板活性作用による可能性がある。

目的 不安定狭心症または梗塞後の安定狭心症患者において,血行再建術施行中のurokinase冠動脈内投与の有効性を,再建術単独と比較検討。
一次エンドポイント:血管造影および臨床上の急性閉塞,血行再建術後の明らかな陰影欠損,入院中の再発性虚血,心筋梗塞(MI),緊急CABG施行または死亡。
デザイン ランダム化,二重盲検,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(10施設)。アメリカ。
期間 追跡期間は退院時まで。ランダム化の期間は1990年7月~1992年9月。
対象患者 469例(Phase I:257例,Phase II:212例)。
以下のいずれかを満たす症例:血行再建術施行前7日未満の安静時疼痛を伴う不安定狭心症,施行前7日未満の非Q波梗塞あるいは安静時疼痛再発を伴った最近の(過去30日未満)非Q波またはQ波梗塞。冠動脈あるいは伏在静脈グラフトにおける責任血管の狭窄が目視で≧70%の症例を血行再建術の適応とした。
【除外基準】変性血管グラフト上の病変,多数の冠動脈内血栓が認められる場合。コントロール不能な高血圧症(>180/110mmHg),脳血管障害の既往,過去10日未満の大手術施行歴,出血性素因,活動性の消化管または泌尿器出血,ヘマトクリット値<30%など。ベースライン時および安静時疼痛時の心電図が正常な症例。
試験開始当初は年齢>75歳を除外としたが,最初の200例をランダム化後は>80歳とした。
治療法 施行前に,全例にaspirin 325mg(投与中の患者は80mg)を経口投与。血管アクセス後はheparin 1万Uを静注し,活性化凝固時間>300秒を維持するために追加投与を実施。
Phase I:urokinase投与群(128例),プラセボ群(129例),Phase II:urokinase群(104例),プラセボ群(108例)にランダム化し,以下の治療を実施。
Phase I:ワイヤー留置直前にurokinase 15万Uまたはプラセボを3分以上で冠動脈内に注入。PTCA後の血管造影から1分後にurokinase 10万Uまたはプラセボを3分以上で追加投与。
Phase II:留置直前にurokinase 25万Uまたはプラセボを10~15分以上で冠動脈内に注入。PTCA後の血管造影から1分後にurokinase 25万Uまたはプラセボを10~15分以上で追加投与。
両Phaseともに,部分トロンボプラスチン時間が正常値の2倍となるようにheparinを静注。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
PTCA非実施の10例は解析から除外。ベースライン時の患者背景は,urokinase群で喫煙習慣(urokinase群74% vs プラセボ群67%,p<0.06)および施行前48時間以内の安静時疼痛(56% vs 46%,p<0.05)が高かったことを除き差はみられなかった。全体における不安定狭心症患者は52.7%(247例),梗塞後1ヵ月未満の血行再建術施行例は47.3%(222例)。
血行再建術施行後15分の陰影欠損は,urokinase群30例(13.8%),プラセボ群41例(18.0%)と両群間で有意差はなく,Phaseによる差もみられなかった。急性閉塞はurokinase群でプラセボ群に比し有意に多く[23例(10.2%)vs 10例(4.3%),p<0.02],Phase Iに比しPhase IIでこの差は大きかった(Phase I:11.5% vs 6.3%;p=NS,Phase II:8.7% vs 1.9%;p=0.031)。15分後の重大な解離はurokinase群22例(10.1%),プラセボ群19例(8.3%)と同等であった。
患者背景の相違(不安定狭心症患者または梗塞後患者)で比較すると,梗塞後患者ではプラセボ群で陰影欠損が有意に多かったが(urokinase群10.6% vs プラセボ群20.2%,p<0.06),不安定狭心症患者ではurokinase群で急性閉塞の発生率が有意に高かった(11.0% vs 2.4%,p<0.01)。血管造影および臨床上のエンドポイントともに,urokinase群の不安定狭心症患者で,梗塞後患者に比し転帰が不良であった。
再発性虚血+再梗塞+CABG施行の複合は,urokinase群でプラセボ群に比し有意に多かった[12.9%(30/232例)vs 6.3%(15/237例),p=0.018]。各エンドポイント発生率はurokinase群で高かったものの有意差は認められなかった(再発性虚血:5.2% vs 2.1%,再梗塞:2.6% vs 2.1%,CABG施行:5.2% vs 2.1%)。

●有害事象
出血性合併症は,urokinase群30例(12.9%),プラセボ群21例(8.9%)と両群間で同等であった(p=NS)。血管アクセス部位以外での出血も差はみられなかった(3.8% vs 2.1%,p=NS)。院内死亡は両群で認められなかった。

文献: [main] Ambrose JA, et al for the TAUSA Investigators. Adjunctive thrombolytic therapy during angioplasty for ischemic rest angina: Results of the TAUSA Trial. Circulation 1994; 90: 69-77. pubmed
関連トライアル DANAMI, Kereiakes DJ et al 1996, PACT, PRISM-PLUS 1999, RESTORE, TACTICS-TIMI 18 1998, TIMI IIIB 1994, TIMI IIIB 1995, TRIM, UNASEM, VA-pilot
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