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Rabah MM et al Usefulness of intravenous enoxaparin for percutaneous coronary intervention in stable angina pectoris
結論 低分子量heparinであるenoxaparin単回ボーラス静注は,活性化凝固時間(ACT)の測定や滴定の必要がないため,治療の簡便化,さらには経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行の安全性を向上させる可能性が示された。

目的 安定狭心症患者において,待機的PCI(経皮的冠動脈インターベンション)施行中の低分子量heparin(LMWH:enoxaparin)投与が,未分画heparin(UFH)に比較して全身系の抗凝固作用を抑制するとともに,迅速な抗血栓効果を達成するかを比較検討。
デザイン ランダム化,パイロット試験。
セッティング アメリカ。
期間 追跡期間は1ヵ月。
対象患者 60例。平均年齢は,enoxaparin群61±10歳,UFH群60±12歳。症候性の安定狭心症,および非侵襲的機能評価による心筋虚血を認めた症例。
【除外基準】ベースライン時のヘモグロビン値≦12g/dL,クレアチニン値>2ng/dL,血小板数<10万,過去1週間以内の抗凝固薬(経口または静注)服用歴,過去1週間以内の心筋梗塞既往,INR>1.3の重篤な肝疾患など。
治療法 PCI施行48時間前にaspirinを投与。以下の2群にランダム化し,PCI施行前に試験薬を投与。
enoxaparin静注投与群[30例:1mg/kgボーラス静注,活性化凝固時間(ACT)測定のための滴定は実施せず],UFH群(30例:1万Uボーラス投与,ACT>300秒維持に必要な場合は追加ボーラス投与)。enoxaparin投与量は,健常人へのheparin 1万U投与と同等の抗Xaレベルをもとに設定。
ベースライン時,5分後,および投与開始4時間後に採血し,抗Xa,抗IIa,活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT),外因系血液凝固阻害因子(TFPI),プロトロンビンフラグメントF1+2,組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA),D-dimerを測定。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
PCI施行前にUFH群の30%でACT>300秒を得るために追加ボーラス投与を要した。PCI成功率は両群間に差はみられなかった(enoxaparin群97% vs UFH群93%,p=1.00)。
5分後のACT(秒),aPTT(秒)はいずれもenoxaparin群でUFH群に比し有意に短く(ACT:188±29 vs 351±67,aPTT:116±4.8 vs >300±0,ともにp<0.0001),4時間後も同様であった(ACT:125±12 vs 204±57,aPTT:39±10 vs 143±104,ともにp<0.0001)。5分後のTFPI(ng/mL)は両群で同等であったが(784±192 vs 829±167,p=0.34),4時間後ではUFH群で有意に高かった(202±67 vs 493±256,p<0.0001)。
抗Xa値は5分後,4時間後ともに有意差なし(5分後:92±6 vs 92±6,p=0.96,4時間後:81±8 vs 79±16,p=0.56)。抗IIa値は両時点ともにUFH群で有意に高かった(5分後:69±17 vs 84±8,4時間後:28±18 vs 62±21,ともにp<0.0001)。
プロトロンビンフラグメントF1+2(ng/mL),t-PA(ng/mL),D-dimer(ng/mL)は両測定時での有意な群間差は認められなかった。

●有害事象
PCI施行後の重大な解離(enoxaparin群3例 vs UFH群0例,p=0.24),虚血性合併症(0例 vs 3例,p=0.24),出血性イベント(>3g/dLヘモグロビン減少:1例 vs 0例,p=0.49),血管イベント(血腫:0例 vs 1例,p=1.00)の発生率は両群間で同等。輸血および死亡も認められなかった。

文献: Rabah MM, et al: Usefulness of intravenous enoxaparin for percutaneous coronary intervention in stable angina pectoris. Am J Cardiol 1999; 84: 1391-5. pubmed
関連トライアル ACE , ACUITY 1-year results, ACUITY bivalirudin, ATOLL, CIAO, Cohen M et al, ESSENCE 2000, ExTRACT-TIMI 25 PCI, Friedman HZ et al, STEEPLE, STEEPLE anticoagulation level, SYNERGY, van den Bos AA et al
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