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HART 1992 Heparin-Aspirin Reperfusion Trial
結論 rt-PAによる血栓溶解療法後の効果的なheparin静注により,冠動脈の開存性が維持されることが示された。

目的 血栓溶解療法(rt-PA)後の急性心筋梗塞(AMI)において,heparin静注による活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長と,冠動脈の開存性および出血性イベントとの関連性を検討。
一次エンドポイント:7~24時間後と7日後の梗塞関連動脈の開存性。二次エンドポイント:虚血症状の再発,出血性イベント。
デザイン ランダム化。
セッティング 多施設(3施設,8病院)。アメリカ。
期間 追跡期間は7日。
対象患者 205例。AMI様の胸痛発現後6時間以内,隣接した2誘導以上でのST上昇(≧0.1mV)が認められる症例。
【除外基準】
重篤な高血圧症,脳血管疾患,出血障害,CABG施行歴,最近の手術または長時間にわたる心肺蘇生術の施行歴,他の重篤な疾患,妊娠,最近の経口抗凝固薬の投与歴。
治療法 rt-PA 100mg静注(6mgボーラス投与後,1時間で54mg,1時間で20mg,5mg/時で4時間静注)後,aspirin 80mg/日経口投与群(99例)とheparin 静注群(5,000IUボーラス投与後,1,000IU/時静注:aPTTをコントロールの1.5~2倍となるよう用量調整:106例)にランダム化。
rt-PA静注開始から7~24時間後(平均18.3±0.8時間後)および7日後に冠動脈造影を実施し,梗塞関連動脈の開存性を評価。TIMI grade 2または3を開存とした。aPTTをベースライン時,rt-PA静注開始から8,12時間後に測定。
本解析では主としてheparin静注群を対象とした。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
18時間後の開存例(78例)では,閉塞例(16例)に比しaPTTの有意な延長が認められた(81±4 vs 54±9秒,p<0.02)。8時間および12時間後のいずれにおいてもaPTT<45秒であった症例のうち,18時間後に開存が得られたのは45%(5/11例)のみであった。一方,≧45秒であった症例では88%(54/61例,p=0.003),>60秒の症例では95%(37/39例,p=0.0006)が開存を得た。
また,18時間後に開存が得られ,7日後の冠動脈造影を実施した症例のうち,開存が持続していた症例(53例)と再閉塞例(7例)におけるaPTTは同等であった(58±1 vs 57±4秒)。

●有害事象
heparin群での血管穿刺部位における出血は5例,その他の部位での出血は9例。出血イベント発生の有無によるaPTT(平均値)の相違は認められなかった。
8時間後にaPTT>100秒であった症例では,≦100秒の症例に比較してアクセス部位での出血の発生率が高かったが(4/22例 vs 2/78例,p=0.02),それ以外では過剰な抗凝固作用に起因する出血リスクの増大は認められなかった。

文献: [substudy] Hsia J, et al for the HART Investigators. Heparin-induced prolongation of partial thromboplastin time after thrombolysis: relation to coronary artery patency. J Am Coll Cardiol 1992; 20: 31-5. pubmed
関連トライアル Bleich SD et al, DUCCS 1, GUSTO-I 1995, HART 1990, NHFACT, PACT, RAPID II, TIMI 5, TIMI 9A, White HD et al
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