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E6010 Study
結論 E6010単回ボーラス静注は,native t-PAに比較して梗塞関連動脈の早期再開通率が高く,致死性の出血性合併症も増加させなかった。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,遺伝子組換え型t-PAであるmonteplase(E6010)とnative t-PA(tisokinase)の有効性と安全性を比較検討。
一次エンドポイント:60分後の梗塞関連動脈の再灌流達成率(TIMI grade 2または3)。二次エンドポイント:15,30,45分後の再灌流達成率および出血性合併症。
デザイン ランダム化,二重盲検。
セッティング 多施設(84施設)。日本。
期間 追跡期間は7日間。登録期間は1993年5月~1994年1月。
対象患者 211例。発症後6時間以内のAMI患者。
以下の条件を満たす症例:硝酸薬動注後の冠動脈造影所見における梗塞関連動脈の完全閉塞,体重<100kg,試験薬のアレルギー試験陰性。
【除外基準】出血性素因または出血症状(消化管または尿路出血,腹膜後または頭蓋内出血,喀血,出血性糖尿病性網膜症または他の出血性眼疾患),頭部損傷,頭蓋内腫瘍,動静脈の先天異常または動脈瘤,過去6ヵ月以内の脳血管疾患の既往歴,コントロール不良の重度の高血圧症(SBP>200mmHgかつDBP>120 mmHg),過去2週間以内の手術歴,重度の合併症(free心室壁破裂,心室中隔穿孔,乳頭筋断裂,多臓器不全,血管収縮薬が奏効しない心原性ショックなど),長時間にわたる心肺蘇生歴,左心房血栓の疑い(心房細動に関連した僧帽弁狭窄),梗塞に対する血栓溶解療法の施行歴,PTCAの合併症としてのMI,ワクチンまたは他の生物学的製剤に対する過敏症の既往,重度の肝または腎疾患,妊娠またはその疑い。
治療法 E6010投与群(104例:0.22mg/kgを2分間で単回ボーラス静注)とnative t-PA投与群[tisokinase 1,440万IU(あるいは28.8mg)を60分間かけて持続静注(総投与量の10%は1~2分間でボーラス静注):107例]にランダム化。
heparin 5,000U静注直後にnitroglycerinを冠動注入し,冠動脈造影を開始。試験薬の投与開始から15分ごとに60分後まで実施。投与開始から60分後までは血栓溶解薬,heparin以外の抗凝固薬,抗血小板薬の投与は不許可。
追跡完了率 解析除外は12例(5.7%:E6010群7例,native t-PA群5例)。
【脱落理由】除外基準を有する,またはプロトコール逸脱。
結果

●評価項目
解析可能症例は199例(94.3%:E6010群97例,native t-PA群102例)。
再灌流に要した時間は,E6010群でnative t-PA群に比し短縮された。梗塞関連動脈の再灌流達成率(TIMI grade 2または3)は, E6010群で15分後37%(95%CI 27~47%),30分後62%(51~72%),45分後74%(64~82%),60分後79%(70~87%),native t-PA群では各14%(8~22%),32%(23~42%),50%(39~60%),65%(55~74%)と,いずれの時点においても両群間に有意差が認められた(15,30,45分後:p<0.01,60分後:p=0.032)。TIMI 3達成率においても,E6010群で有意であった[E6010群:15分後(13%),30分後(25%),45分後(43%),60分後(53%),native t-PA群:各1%,9%,20%,36%;15,30,45分後:p<0.01,60分後:p<0.05]。
7日後の死亡はE6010群4例(4%),native t-PA群1例(1%)と有意差なし(p=NS)。

●有害事象
出血性合併症はE6010群8例,native t-PA群6例に発生したが,両群間に有意差は認められなかった(p=NS)。

文献: Kawai C, et al on behalf of the E6010 Study Group. A prospective, randomized, double-blind multicenter trial of a single bolus injection of the novel modified t-PA E6010 in the treatment of acute myocardial infarction: comparison with native t-PA. J Am Coll Cardiol 1997; 29: 1447-53. pubmed
関連トライアル COBALT, MINT, NRMI-2, PACT, Rogers WJ et al, TIMI 10B
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