抗血栓トライアルデータベース
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Helft G et al Acute antithrombotic effect of a front-loaded regimen of clopidogrel in patients with atherosclerosis on aspirin
結論 aspirin投与中のアテローム性動脈硬化症患者において,front-loaded法によるclopidogrelの追加投与により2時間後に有意な抗血栓効果を得られることが示唆された。本結果から,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時におけるaspirin+clopidogrel負荷投与の理論的根拠が提示された。

目的 抗血小板薬aspirin投与中のアテローム性動脈硬化症患者において,front-loaded法を用いた clopidogrel投与による抗血栓療法の早期の有効性を検討するとともに,aspirinへのclopidogrel併用による抗血栓効果を検討。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
セッティング 単施設。アメリカ。
期間 追跡期間は8日。
対象患者 20例(男性17例)。過去3ヵ月以上のaspirin 325mg/日投与歴があり,安定した冠動脈疾患(CAD)または末梢動脈疾患を有する症例。CAD:冠動脈造影所見,心筋梗塞(MI)既往または運動負荷試験陽性による典型的な狭心症を有する症例。末梢動脈疾患:下肢の跛行,過去の末梢血管造影所見,バイパスグラフト術施行歴,大動脈分枝部から遠位の動脈での狭窄(>50%)が血管造影または超音波所見上で確認される症例。
【除外規準】ヘモグロビン<12g/dL,再発性失血,コントロール不能な高血圧症(>180/100 mmHg)。
治療法 front-loaded群(10例:投与初日にclopidogrel 300mg負荷投与後,clopidogrel 75mg/日を7日間投与)と標準治療群(10例:投与初日にプラセボ+clopidogrel 75mg投与後,clopidogrel 75mg/日を7日間投与)にランダム化。全例にaspirin 325mg/日を試験期間中継続投与。
血小板の血栓形成を定量化し,ベースライン時,2時間後,8日後に評価。ex vivoにおける動脈血栓形成へのclopidogrelの有効性を灌流チェンバー中の血栓形成エリアを測定して評価。
血小板凝集(作用薬としてADP 5および10μmol/Lを使用)はベースライン時,2,6時間後,2,8日後に評価(ベースライン時に対する最大血小板凝集値の平均パーセンテージ)。血小板活性はベースライン時,2時間後,2,8日後に評価(血小板活性をパーセンテージ,およびベースライン時に対する相対フィブリノゲン結合率)。血液サンプルはベースライン時および8日後に採取。さらに,トロンビン産生のマーカーであるプロトロンビンフラグメントF1+2測定のため,ベースライン時,2時間後,8日目に再採取を実施。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
血小板活性データは全例,灌流チェンバーのデータは16例(80%)から入手。ベースライン時の患者背景は両群間において同等。
2時間後の血栓形成減少率は,front-loaded群23.1±8.5%,標準治療群9.9±7.9%とfront-loaded群でのみベースライン時に比し有意に低下したが(p<0.05),8日後では両群ともに抑制された(標準治療群22.2±6.9%,front-loaded群29.1±9.1%,各p<0.05 vs ベースライン時)。
ベースライン時におけるADP誘発性の血小板凝集率(最大値の平均)は両群で同等。標準治療群では2時間後[86.9±8.0%(ADP 5μmol/L),95.0±4.7%(ADP 10μmol/L)],6時間後(各89.3±6.8%,96.5±3.2%)では有意な抑制は認められなかったものの,2日後では各66.3±6.2%,82.6±6.7%と有意に低下した(p<0.05 vs ベースライン時)。一方,front-loaded群では2時間後[82.2±4.4%(ADP 5μmol/L),81.8±4.5%(ADP 10μmol/L)],6時間後(各63.5±4.9%,68.4±5.2%)ともに有意に低下したが(p<0.05 vs ベースライン時),2および8日後ではさらなる効果は認められなかった(2時間後 vs 6時間後,2日後,8日後:いずれもp<0.05)。
フローサイトメトリーで検出し,ADP誘発性のフィブリノゲン結合で測定した血小板活性は,ベースライン時では両群で同等であった。front-loaded群では2時間後に36.1±2.0%(ADP 0.12μmol/L),53.2±9.3%(ADP 0.6μmol/L)と有意に低下したが(p<0.05 vs ベースライン時),標準治療群では各90.4±7.1%,74.6±11.8%と有意差は認められなかった。
血清中プロトロンビンフラグメントF1+2値はベースライン時において両群で同等(front-loaded群0.79±0.08nmol/L,標準治療群0.91±0.09nmol/L)。本値の変化は2時間後,8日後ともに両群において認められなかった(front-loaded群:各0.89±0.11,0.86±0.06nmol/L,標準治療群:各0.84±0.09,0.86±0.12nmol/L)。

●有害事象
試験薬投与による有害事象は認められなかった。

文献: Helft G, et al. Acute antithrombotic effect of a front-loaded regimen of clopidogrel in patients with atherosclerosis on aspirin. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2000; 20: 2316-21. pubmed
関連トライアル Cadroy Y et al, CREDO, De Caterina R et al, ONSET/OFFSET, ONSET/OFFSET dyspnea, RELOAD
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