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Sixty Plus Reinfarction Study
結論 高齢の心筋梗塞(MI)既往患者において,強度の安定した経口抗凝固薬の長期投与は,MI再発および心臓死のリスク抑制に有効であることが示された。

目的 心筋梗塞(MI)既往の高齢患者において,長期的な経口抗凝固療法の有効性および安全性を検討。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
セッティング 多施設。オランダ。
期間 追跡期間は2年。
対象患者 878例。平均年齢67.6歳。男性85.1%。年齢>60歳の歩行可能症例。心電図所見上のQ波または進行性のST-T波異常,および血清酵素値の連続した変異を伴う典型的な胸痛により診断される最初の貫壁性MI発症時より,抗凝固薬投与を6ヵ月以上受けている症例。
【除外基準】出血または血栓塞栓症を発症しやすい症例(出血性素因,重篤な肝・腎不全,治療抵抗性の高血圧症,心房細動,心動脈瘤,人工心臓弁置換術またはCABG施行),悪性疾患または精神障害。
治療法 抗凝固療法群(439例:AC群)とプラセボ群(439例)にランダム化(ランダム化から試験開始まで平均1ヵ月)。
AC群:抗凝固薬acenocoumarol(acenocoumarin)とphenprocoumonのうち,投与歴のある薬剤を継続投与。プロトロンビン時間(トロンボテスト)で5~10%(international calibration ratio 2.7-4.5)を目標に用量補正。
試験薬の開示請求は患者,担当医双方により可能とし,開示後の治療は担当医の裁量に委ねた。開示を受けた症例は「プロトコール逸脱例」としたが,追跡は継続。心臓,頭蓋内における合併症または重篤な出血性合併症発生例には本開示を行った。
追跡完了率 プロトコール逸脱率は32.0%(281例:AC群145例,プラセボ群136例)。
【脱落理由】再発性梗塞(50例),不安定狭心症(20例),頭蓋内イベント(19例)など。
結果

●評価項目
トロンボテストで107~180秒を示したのは,AC群72%(phenprocoumon投与例77.5%,acenocoumarol投与例62.5%)。測定間隔(中央値)はAC群20日,プラセボ群24日(p<0.001)。
投与中の症例(逸脱のない症例)における2年後の死亡率(プロトコール逸脱後28日以内の死亡は投与中の死亡と定義)は,AC群7.6%,プラセボ群13.4%とAC群で有意に抑制されたが(p=0.017),プロトコール逸脱例の死亡を含めると同等であった(11.6% vs 15.7%,p=0.071)。
投与中の症例における2年後の梗塞再発率はAC群5.7%,プラセボ群15.9%とAC群で有意な抑制が認められ(p=0.0001),プロトコール逸脱例を含めても有意であった(6.9% vs 15.2%,p=0.0005)。剖検で認められた再梗塞は10例(AC群1例,プラセボ群9例)。
Cox 比例ハザードモデルにより,年齢と死亡率に有意に近い相関性が認められた(p=0.047)。一方,死亡率と抗凝固療法の継続期間または梗塞初発年齢の間に相関は認められず,また梗塞再発に相関する因子も認められなかった。
プロトコール逸脱後(AC群145例,プラセボ群136例)に通常の抗凝固療法を施行したのは,各群約65%。試験薬投与の平均期間はAC群1.56年,プラセボ群1.52年。

●有害事象
2年後の頭蓋内イベントの発生率はAC群3.1%,プラセボ群5.6%とAC群で抑制傾向がみられたが有意差はなく(p=0.18),プロトコール逸脱例を含めても同様であった(3.1% vs 5.2%,p=0.16)。致死性頭蓋内イベントは両群で同等。同イベント中,頭蓋内出血はAC群で多く(7例 vs 1例),非出血性イベントはプラセボ群で多かった(2例 vs 13例)。
重篤な頭蓋外出血はAC群27例(うち局所性11例),プラセボ群3例(すべて局所性)で,全例が非致死性であった。プロトコール逸脱に至らない出血はAC群57例,プラセボ群7例。

文献: Report of the Sixty Plus Reinfarction Study Research Group. A double-blind trial to assess long-term oral anticoagulant therapy in elderly patients after myocardial infarction. Lancet 1980; 2: 989-94. pubmed
関連トライアル AFTER, ART, ASPECT, ATLAS ACS 2-TIMI 51 STEMI patients, BRAVE-3, CABADAS, ExTRACT-TIMI 25, FRAMI, FRISC, ISAR-REACT 4, OASIS Pilot Study 1998, OASIS-6, PARIS-II, THRIVE III, TIMI 11B, Torn M et al, TPT
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