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MINT Myocardial Infarction with Novastan and TPA
結論 t-PAによる血栓溶解療法を施行した急性心筋梗塞(AMI)患者,特に発症から治療開始まで時間を要した患者において,argatroban追加投与はheparinに比し再灌流達成に有効であることが示された。また,大出血および有害な臨床イベントもargatroban投与例で抑制された。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,t-PAによる血栓溶解療法後の再灌流への抗トロンビン薬argatrobanと抗凝固薬heparinの有効性を比較検討。
一次エンドポイント:90分後の再灌流(TIMI grade 3)達成。
デザイン ランダム化,単盲検,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(3ヵ国,27施設)。
アメリカ(11施設),アルゼンチン(14),ブラジル(2)。
期間 追跡期間は30日。
対象患者 125例。年齢≧21歳。AMI発症から6時間以内に治療開始可能な症例。虚血性胸部不快感が30分以上持続し,前胸部誘導での隣接する2誘導以上のST上昇(≧0.2mV)または2肢誘導以上でのST上昇(≧0.1mV)が認められる症例。
【除外基準】出血リスクの増加または脳卒中の既往,血行動態が不安定,最近のPTCAまたはCABG施行歴,heparin投与歴。
治療法 heparin投与群(40例),低用量argatroban投与群(38例),高用量argatroban投与群(47例)に1:1:1の割合でランダム化。
t-PA:front-loaded法により15mgをボーラス投与後,0.75mg/kg(最大50mg)を30分,続いて0.5mg/kg(最大35mg)を60分で投与。argatroban:100μg/kgを1分以上で静注後,低用量群:1.0μg/kg/分または高用量群:3.0μg/kg/分で静注。heparin:70U/kgを1分以上でボーラス投与後,15U/kg/時(最大1,500U/時)で継続静注[6時間後に活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を50~70秒に維持するよう用量補正]。
試験薬の静注は,血管形成術施行を必要としない限り,48~72時間継続。t-PAと他の試験薬は一方の投与開始5分以内に投与。全例にaspirin 160~325mgをt-PA投与開始前1時間以内に経口投与し,30日後まで継続投与。morphine,β遮断薬,nitroglycerin,ACE阻害薬の投与は担当医の裁量に任せた。
90分後の心カテーテル法でTIMI gradeおよびTIMI frame countを測定。血管造影施行前にnitroglycerin 50~100μgを動脈内注入。TIMI grade 0および1の場合はrescue PTCA施行を推奨。PTCA施行例では,argatroban投与をheparinに切り替えた。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
胸痛発現からt-PA投与開始までの時間は,heparin群2.7±0.2時間,argatroban低用量群3.0±0.2時間,高用量群3.1±0.2時間。
一次エンドポイントは,heparin群42.1%(16/38例),argatroban低用量群56.8%(21/37例,p=0.20 vs heparin群),高用量群58.7%(27/46例,p=0.13 vs heparin群)であり,統計的有意差には至らなかったものの,argatroban高用量群でheparin群に比し39%改善した。TIMI grade 2および3の複合では,heparin群81.6%(31/38例),argatroban低用量群78.4%(29/37例),高用量群78.3%(36/46例)といずれも有意差なし。
発症から治療開始までの時間(≦3時間:68例,3~6時間:52例)での比較では,3~6時間の症例でTIMI grade 3を達成したのは,heparin群20.0%(3/15例),argatroban低用量群50.0%(8/16例),高用量群57.1%(12/21例)であり,heparin群に比しargatroban高用量群で有意に多かった(p=0.03)[≦3時間:各群 56.5%(13/23例),61.9%(13/21例),58.3%(14/24例),p>0.7]。
TIMI frame countは,heparin群39.0±4.6,argatroban低用量群30.4±3.4,高用量群28.0±2.4と群間差なし(p=0.19)。発症から3~6時間の治療開始例では各群54.4±9.7,32.9±4.9,26.6±3.2とargatroban高用量群でheparin群に比し有意に抑制された(p=0.01)[≦3時間:各群30.9±3.7,28.3±4.7,29.9±3.6(p=0.74)]。
ボーラス投与開始6時間後のaPTT中央値は,heparin群100秒(32~300),argatroban低用量群55.5秒(28~126),高用量群75秒(28~180)であった[12時間後:各群65.1秒(22~129.4),50秒(32.4~150),77秒(44~180)]。最大クレアチンホスホキナーゼ(CPK)中央値は,heparin群1,071U/L(52~10,566),argatroban低用量群1,073U/L(78~4,992),高用量群1,515U/L(118~7,003)。
30日後の臨床エンドポイント(死亡+MI再発+心原性ショック+うっ血性心不全+再血行再建術+再発性虚血の複合)は,heparin群で最も高く,argatroban高用量群で最も抑制された:heparin群37.5%(15例),低用量群31.6%(12例),高用量群25.5%(12例,p=0.23)。

●有害事象
大出血の発生率は,heparin群10.0%(4例),argatroban低用量群2.6%(1例),高用量群4.3%(2例)とargatroban投与群でheparin群に比し低く(各p=0.18,p=0.29),軽度の出血の発生率も各群67.5%(27例),65.8%(25例),55.3%(26例)とargatroban高用量群でheparin群に比し抑制された(p=0.25)。また,大出血と軽度の出血を複合したところ,発生率に3群間に有意差は認められなかったが,argatroban高用量群でheparin群に比し抑制された(59.6% vs 77.5%,p=0.07)。

文献: [main] Jang IK, et al and the MINT Investigators. A multicenter, randomized study of argatroban versus heparin as adjunct to tissue plasminogen activator (TPA) in acute myocardial infarction: Myocardial Infarction with Novastan and TPA (MINT) study. J Am Coll Cardiol 1999; 33: 1879-85. pubmed
関連トライアル Cohen M et al, DUCCS-II, E6010 Study, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, ExTRACT-TIMI 25 PCI, García E et al, GISSI-2 and the International Study, GUSTO-I 1995, HIT-III, IMPACT-AMI, PACT, PRISM-PLUS 1999, RAPID II, SPEED(GUSTO-IV Pilot), TIMI 10B, TIMI 4, TIMI 5, TIMI 6, TIMI 9A, TIMI 9B, TIMI II Pilot and Randomized Clinical Trial, TIMI IIIB 1994, TRIC, TRIM
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