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FRAMI Fragmin in Acute Myocardial Infarction
結論 前壁急性心筋梗塞(AMI)患者に対する低分子量heparinであるdalteparin投与は,左室血栓形成を有意に抑制したが,出血リスクを増加させた。

目的 急性前壁心筋梗塞(AMI)患者において,抗凝固薬低分子量heparin(LMWH:dalteparin)の左室血栓形成および動脈塞栓症に対する抑制効果と安全性を検討。
一次エンドポイント:9±2日後の心電図所見による左室血栓形成+動脈塞栓症の複合。二次エンドポイント:再梗塞,心血管死,全死亡。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
セッティング 多施設(13病院)。ノルウェー。
期間 追跡期間は3ヵ月。
対象患者 776例。病歴と心電図異常[IおよびaVL誘導でのQ波またはST上昇(≧1mm),またはV1~V6のうち隣接する2つ以上の誘導でのQ波またはST上昇(≧2mm)]により推測される進行性の前壁Q波MI患者。
【除外基準】前壁MI既往,前壁以外の梗塞部位,発症から投与開始までの時間が15時間超,heparinまたはwarfarin投与中あるいは投与の必要性,SBP>210mmHg,DBP>115mmHg,過去2ヵ月以内の脳血管イベント,試験薬へのアレルギー,消化性潰瘍,出血性合併症,重篤な腎または肝不全など。
治療法 dalteparin投与群(388例)とプラセボ群(388例)にランダム化。
禁忌のない限り,全例に発症から6時間以内にstreptokinase(SK)150万IU/時を静注。登録時に可溶性aspirin 300mgを経口投与し,その後160mg/日を継続投与。その他の血栓溶解薬の投与は不許可。dalteparin群:血栓溶解療法から8時間後に,dalteparin 150IU/kg(体重補正,10kgごと100kgまで)皮下注後,12時間ごとに皮下投与。投与期間は9±2日間。血栓塞栓イベントに高リスクな症例(血栓または重篤な壁運動異常)は退院時にwarfarin投与。その他の患者では抗血小板療法を継続。未分画heparinの投与は実施せず,群間のクロスオーバーもなし。
ランダム化後の検査により,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)最大値≧100U/Lまたはクレアチンキナーゼ(CK)値≧正常値の2倍を伴う初出の前壁MIが確認された症例のみ,試験薬の投与を継続。
追跡完了率 脱落率は33.4%(259例:dalteparin群141例,プラセボ群118例)。
【脱落理由】出血や患者の希望による投与中止,ECG施行前の死亡,ECGに不適応など。
結果

●評価項目
血栓溶解療法は全例の91.5%,aspirin投与は97.6%で実施。
一次エンドポイント(心電図所見の解析が可能な517例で分析:dalteparin群247例,プラセボ群270例)は,dalteparin群14.2%(35例),プラセボ群21.9%(59例)とdalteparin群で有意に抑制され(p=0.030),左室血栓形成においても,dalteparin群で有意な減少が認められた(13.8% vs 21.9%,p=0.022)。dalteparin投与による血栓形成に対するリスク減少は0.63(95%CI 0.43-0.92,p=0.02)。また,血栓形成率に施設間による有意差は認められなかった(p=0.31)。
ランダム化した全例における11日後の動脈塞栓症の発症は,dalteparin群1.0%(4例),プラセボ群1.3%(5例),再梗塞は各群1.6%(6例),2.1%(8例),全死亡は5.9%(各群ともに23例:dalteparin群の頭蓋内出血2例を除きすべて心原性)で発生し,いずれも両群間に有意差なし。血栓の形状は,52.7%(49例)が突出型(dalteparin群17例,プラセボ群32例),7.5%(7例)が可動型(dalteparin群1例,プラセボ群6例)であり,群間に有意差はみられなかった。また,左室壁運動異常は血栓形成率に有意な影響をおよぼしていた(grade 0:形成なし,grade 1:3.6%,grade 2:24.3%,grade 3:31.0%,p<0.001)。
血栓溶解療法施行の有無による解析では(施行群479例,非施行群38例),血栓形成率に有意差はみられなかったものの[施行群84例(17.5%)vs 非施行群9例(23.7%),p=0.38],AST最大値と性別での補正後では,非施行群での血栓形成に増加傾向が認められた(p=0.08)。AST最大値(平均)は左室血栓形成例で非形成例に比し有意に高く(516±278U/L vs 428±304U/L,p=0.02),最大CK値は形成症例において非形成症例に比較して高い傾向が認められた(3,406±2,391 vs 2,932±2,151U/L,p=0.09)。さらに女性に比し男性で左室血栓形成率が有意に高かった(11.6% vs 20.3%,p=0.027)。ロジスティック回帰分析によると,dalteparin投与,AST最大値と性別は有意に左室血栓形成と関連していた(dalteparin vs プラセボ:オッズ比0.49,95%CI 0.29-0.83,p=0.009,AST最大値<215 vs ≧215U/L:0.12,0.04-0.33,p<0.001,男性 vs 女性:0.50,0.26-0.94,p=0.033)。

●有害事象
重篤な出血はdalteparin群で有意に多く[2.9%(11例)vs 0.3%(1例),p=0.006],軽度の出血も同様にdalteparin群で多かった[14.8%(52例)vs 1.8%(8例),p<0.001]。血小板減少症はdalteparin群でのみ1例(0.3%)認められた。

文献: [main] Kontny F, et al on behalf of the FRAMI Study Group. Randomized trial of low molecular weight heparin (dalteparin) in prevention of left ventricular thrombus formation and arterial embolism after acute anterior myocardial infarction: the Fragmin in Acute Myocardial Infarction (FRAMI) Study. J Am Coll Cardiol 1997; 30: 962-9. pubmed
関連トライアル CREDO, ECLAP, Fornaro G et al, FRIC, FRISC, FRISC II 1999, GISSI-2 Connected Study, Gueret P et al, OASIS-6, PREVENT 2004, TIMI 11B, TPT, TRIM, WARIS 1990, Wells PS et al
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