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HIT-III r-Hirudin for Improvement of Thrombolysis phase III
結論 ベネフィット/リスク比の評価に十分なサンプルサイズは得られなかったものの,hirudin+alteplase(front-loaded投与法)+aspirinの併用投与は頭蓋内出血の発生を増加させる可能性が示された。本知見は,より高用量のhirudinを検討したGUSTO IIおよびTIMI 9 Trialの結果と一致したため,血栓溶解療法の補助としてのhirudinの治療域は従来の考えより狭いことが示唆され,再評価が望まれる。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解療法の補助療法としての抗トロンビン薬組換え型hirudin(HBW 023)と抗凝固薬未分画heparin(UFH)の有効性と安全性を比較検討。
一次エンドポイント:30日後の死亡+入院中の再梗塞の複合。二次エンドポイント:脳卒中(出血性または虚血性),その他の大出血,心臓病罹患。
デザイン ランダム化,二重盲検,パイロット試験。
セッティング 多施設(93施設)。ドイツ。
期間 追跡期間は3ヵ月(予定)。登録期間は1991年3月~1994年6月。
対象患者 302例。年齢>18歳。MIと推測される胸痛発現から6時間以内。血栓溶解療法への禁忌および腎不全のない症例。
治療法 hirudin投与群(148例)とheparin 投与群(154例)にランダム化。
全例にaspirin 250mgを経口投与後,hirudin 0.4mg/kg(hirudin群)またはheparin 70IU/kg(heparin群)をボーラス静注。rt-PA(alteplase)による血栓溶解療法を施行(15mgをボーラス静注後,50mgを30分,その後35mgを1時間以上で静注)。rt-PA投与直後に,hirudin 0.15mg/kg/時(hirudin群)またはheparin 15IU/kg/時を48~72時間で静注[活性化トロンボプラスチン時間(aPTT)をベースライン時の2~3.5倍を維持するよう用量調整:aPTT<ベースライン値の2倍となった場合は抗凝固薬を20%まで増量し,aPTT>3.5倍の場合は20%まで減量]。長期的なaspirin 100~500mg/日経口投与を推奨。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
[重篤な出血性イベントの発生が不均衡であったため(hirudin群3.4%:5例 vs heparin群0%),当初1,000例の登録予定であったが302例で登録中止。本文献は1994年7月までの結果を報告。]
ベースライン時の年齢,性別,体重,SBP値,心拍数は両群間で同等。発症から治療開始までの時間は平均3時間,>70歳が23%,前壁梗塞が40%。
院内および追跡期間における死亡率は,hirudin群8.8%[13例:心臓死9例(うち心臓破裂3例),出血性脳卒中4例],heparin群3.9%[6例:心臓死5例(うち心臓破裂1例),致死性脳梗塞1例]と有意差はなし(p=0.1)。脳卒中はhirudin群3.4%(5例),heparin群1.3%(脳梗塞2例)であり(p=0.27),脳内出血はすべて24時間以内に発生,脳梗塞は2,17日後に発生した。
ベースライン時のaPTTはhirudin群,heparin群ともに出血性イベント発生例と非発生例で同等であったが,24時間後のhirudin群では発生例(7例)で106秒(中央値,47~132秒),非発生例(106例)では76秒(29~176秒)と差が認められた。一方,heparin群では発生例(3例)で53秒(47~64秒),非発生例(124例)で58秒(21~300秒)と同等であった。

●有害事象
脳内出血を除く重篤な出血性イベントは,hirudin群5例(3.4%:すべて胃腸管出血),heparin群3例(1.9%:尿生殖器出血,輸血を要する血腫,穿刺部位の重篤な出血各1例)であった。

文献: [main, pilot] Neuhaus K-L, et al. Safety observations from the pilot phase of the randomized r-Hirudin for Improvement of Thrombolysis (HIT-III) study: A study of the Arbeitsgemeinschaft Leitender Kardiologischer Krankenhausarzte (ALKK). Circulation 1994; 90: 1638-42. pubmed
関連トライアル ECSG 1992, GUSTO IIa, GUSTO IIb 1996, GUSTO-I 1996, HELVETICA, IMPACT-AMI, LATE 1993, MINT, OASIS Pilot Study 1997, OASIS-2, RAPID II, TAMI 2, 3, 5 and Urokinase Trial 1994, TIMI 10B, TIMI 11B, TIMI 5, TIMI 6, TIMI 7, TIMI 9A, TIMI 9B, TIMI II Pilot and Clinical Trial, TIMI II Pilot and Randomized Clinical Trial, TRIM, van den Bos AA et al
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