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TAMI 5 1991 Thrombolysis and Angioplasty in Myocardial Infarction-Phase 5
結論 血栓溶解薬の併用療法は梗塞動脈の早期開存とその維持に有効であり,かつ入院中のイベント抑制に優れることが示された。積極的カテーテル法による予後改善効果が示唆されたが,非侵襲的治療による再灌流より有効であること,また冠動脈造影が適応とされる患者の選択基準を明らかにするさらなる臨床試験の実施が必要とされる。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解薬urokinase(UK)またはt-PA単独,および併用の有効性を比較検討。さらに,血栓溶解療法無効時のrescue PTCA(積極的カテーテルと待機的カテーテル)の有効性を検討。
デザイン ランダム化,オープン,3×2 factorial,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(29病院)。アメリカ。
期間 追跡期間は3年。登録期間は1988年4月~1989年5月。
対象患者 575例。年齢≦75歳。AMI発症から6時間以内。心電図所見にて隣接した2誘導以上でのST上昇(≧0.1mV)が認められる症例。血栓溶解療法に禁忌でなく(脳卒中の既往,頭蓋内疾患,最近の外傷または手術,治療抵抗性の高血圧症,活動性の出血,または10分を超える心肺蘇生術の施行がない患者),CABG施行歴を有さず,同部位におけるQ波梗塞の既往がなく,SBP<80mmHgで昇圧薬投与を必要とする心原性ショックがない症例。
治療法 血栓溶解療法:UK投与群(190例:UK 150万Uをボーラス静注後,同量を90分で静注)とt-PA投与群[191例:t-PA 100mgを3時間で静注(60mgを1時間,うち6mgボーラス,20mg/時を2時間で静注)],UK+t-PA併用投与群[194例:UK 150万Uとt-PA 1mg/kgを1時間静注(10%をボーラス投与,最大90mg)]にランダム化。さらに,積極的カテーテル群(287例:血栓溶解療法開始後90分に冠動脈造影を実施。血栓溶解療法が無効な場合に直ちに冠動脈造影,PTCAを実施)と待機的カテーテル群(288例:5~10日後に冠動脈造影を実施)にランダム化。
全例に登録後直ちにaspirin 325mgを経口投与し,その後325mg/日継続投与。血栓溶解療法終了後,heparin 1,000U/時を48時間以上静注(活性化部分トロンボプラスチン時間をベースラインの1.5~2倍に維持するよう用量調整)。積極的カテーテル群では,血管アクセス時にheparin 5,000U,PTCA施行中はheparin 2,000~5,000U/時以上を追加投与。
多くの患者で予防的治療としてlidocaineを投与。必要に応じて硝酸薬,ACE阻害薬を投与。β遮断薬は高血圧症,不整脈,治療抵抗性の虚血症状以外での投与は実施せず。入院期間を通して,diltiazem 90~180mg/日(分3)投与。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
再閉塞率は,併用群2%,UK群7%,t-PA群11%と併用群で有意に低下し(p=0.04),虚血の再発も併用群25%,UK群35%,t-PA群31%と併用群で低かった。複合エンドポイント(死亡,脳卒中,再梗塞,再閉塞,心不全,虚血の再発)非発生率は,併用群68%とUK群55%,t-PA群60%より有意に高かった(p=0.04)。積極的カテーテル群の早期開存率は96%,退院前開存率は94%であり,待機的カテーテル群の90%より高率であった(p=0.065)。また,イベント非発生率も積極的カテーテル群で有意に高かった(67% vs 55%,p=0.004)。
多くの対象において左室駆出率(LVEF)の保存は良好であり,血栓溶解療法による差は認められなかった(p=0.98)。梗塞領域の改善においても,血栓溶解療法3群間に差はみられなかったが,積極的カテーテル群では待機的カテーテル群に比し有意に高かった(p=0.004)。

●有害事象
出血性合併症の発症率および重症度に関しては,血栓溶解療法群間で有意差は認められなかったが,頭蓋内出血はUK群,t-PA群にのみ認められた(各2%)。また,積極的カテーテル群と待機的カテーテル群における輸血は同等。

文献: [main] Califf RM, et al for the TAMI Study Group. Evaluation of combination thrombolytic therapy and timing of cardiac catheterization in acute myocardial infarction: Results of thrombolysis and angioplasty in myocardial infarction-phase 5 randomized trial. Circulation 1991; 83: 1543-56. pubmed
関連トライアル APRICOT, Barbash GI et al, GUSTO IIb 1997, GUSTO-I 1993, Mayo Coronary Care Unit and Catheterization Laboratory, NRMI-2, PACT, PAMI, Ribeiro EE et al, TAMI 1 1987, TAMI 1 1988, TAMI 2, 3, 5 and Urokinase Trial 1994, TAMI 5 1991, TAMI 5 1992, TAMI 6, TIMI 4, TIMI 5, TIMI II 1989, TIMI II 1992, TIMI II 1993, TIMI II 1995, TIMI II Pilot and Clinical Trial, TIMI IIA 1990, TIMI IIIB 1994, TIMI IIIB 1995
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