抗血栓トライアルデータベース
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Physicians' Health Study 1997
結論 健常者のベースライン時における血漿C反応性蛋白(CRP)濃度は,心筋梗塞(MI)および脳卒中発症の予測因子になりうることが示された。さらに,aspirin投与による初発MI発症リスクの減少は,明らかにCRP値と関連しており,抗炎症薬が心血管疾患予防に有効である可能性が示された。

目的 炎症が初発の塞栓イベント発生のリスク因子となりうるか,また抗血小板薬aspirin投与はリスクを減少するかを検討。
デザイン ケースコントロール研究。
セッティング アメリカ。
期間 追跡期間は8年。
血液サンプル採取期間は1982年8月~1984年12月。
対象患者 1,086例。健常男性医師。Physicians' Health Study登録症例のうち,8年の追跡期間中に心筋梗塞(MI),脳卒中,静脈塞栓症を発症した543例と非発症の543例。
治療法 16週間のrun-in期間にベースライン時の血液サンプルを採取後,aspirin 325mg/隔日投与群とプラセボ群にランダム化。ベースライン時の血液サンプルが検討に適切で,ランダム化後にMI,脳卒中または静脈血栓症の発症が確認された症例(543例:発症群),発症しなかった症例(543例:非発症群)を比較検討。対象症例の選択は無作為に実施(年齢,喫煙習慣,ランダム化からの期間により層別化)。
炎症マーカーとして,C反応性蛋白(CRP)を指標とした。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
ベースライン時におけるCRP値(中央値)は,MIまたは脳梗塞非発症群に比し,発症群において有意に高かったが(MI:1.51 vs 1.13mg/L,p<0.001,脳卒中:1.36 vs 1.13mg/L,p=0.03,脳梗塞:1.38 vs 1.13mg/L,p=0.02),静脈血栓症では有意ではなかった(1.26 vs 1.13mg/L,p=0.34)。
ベースライン時のCRP値を4群(≦0.55mg/L,0.56~1.14mg/L,1.15~2.10mg/L,≧2.11mg/L)に分けて比較したところ,CRP四分値が最も高い群では,最も低い群に比し,MI発症リスクが3倍(相対リスク2.9,95%CI 1.8-4.6,p<0.001),脳梗塞発症率も2倍(相対リスク1.9,1.1-3.3,p=0.02)にのぼった。一方,静脈血栓症では有意な増加は認められなかった(相対リスク1.3,0.7-2.4,p=0.42)。また,追跡期間による初発MI発症リスクとCRP値の関連性を,最も高い群と最も低い群で比較したところ,6年以上もの追跡期間においてもMI発症リスクは安定していた(0~2年:相対リスク2.4,p=0.09,2~4年:2.9,p=0.03,4~6年:2.8,p=0.03,≧6年:3.2,p=0.02)。
喫煙者と非喫煙者のベースライン時におけるCRP値を比較すると,喫煙者において有意に高値を示した(2.20 vs 1.19mg/L,p<0.001)。非喫煙者におけるMI発症リスクは,CRP値が高くなるほどMI発症リスクも上昇し(CRP≧2.11群:相対リスク2.8,95%CI 1.7-4.7,p<0.001),追跡期間中維持されていた。本リスクは長期にわたり安定しており,喫煙習慣の影響を受けず,さらに脂質関連および非関連リスク因子からも独立していることが示された。
aspirin投与によるMI発症リスク減少は,CRP四分値のどの群でもaspirin群で良好であったが,CRP四分値が最も高い群で大きく(リスク減少率55.7%,p=0.02),低い群では有意差は認められなかった(13.9%,p=0.77)。

●有害事象
表記なし。

文献: [substudy] Ridker PM, et al. Inflammation, aspirin, and the risk of cardiovascular disease in apparently healthy men. N Engl J Med 1997; 336: 973-9. pubmed
関連トライアル ACTIVE A, CHARISMA, PHS, Physicians' Health Study 1991, WHS
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