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I.S.A.M. Study Intravenous Streptokinase in Acute Myocardial Infarction
結論 急性心筋梗塞(AMI)発症後早期のstreptokinase(SK)静注開始により,梗塞部位にかかわらず,梗塞サイズの拡大が有意に抑制された。一方,21日後の死亡はSK投与により減少傾向が認められたのみであった。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者への早期(発症後6時間以内)の高用量streptokinase(SK)短時間静注の有効性および忍容性を検討するとともに,発症後3時間以内の静注と比較検討。
一次エンドポイント:21日後の死亡。二次エンドポイント:出血性合併症,21日後の心臓死,非致死性心イベント,再灌流(血清酵素の時間-活性曲線),梗塞サイズ[血清クレアチンキナーゼ(CK)-MBの時間-活性曲線),駆出率(EF)。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(3ヵ国,38病院)。旧西ドイツ,スイス,カナダ。
期間 追跡期間は21日。
登録期間は1982年3月~1985年3月(カナダでは1984年3月登録開始)。
対象患者 1,741例。年齢≦75歳。AMI患者。発症後6時間以内に治療可能なCCU入院患者。典型的な症状を有し,心電図所見により四肢誘導でのST上昇(≧1mm)および胸部誘導でのST上昇(≧2mm)が認められる症例。
【除外基準】出血性素因,経口抗凝固薬の投与,過去9ヵ月以内のSK投与,弁膜症および心房細動,過去6ヵ月以内の消化性潰瘍,大腸炎,食道静脈瘤,大動脈瘤,重度の治療抵抗性高血圧症の既往(SBP≧200mmHg,DBP≧120mmHg),非開胸心マッサージによる蘇生,鎖骨下または内頸静脈の穿刺,外傷,過去10日以内の手術,脳卒中,急性頭痛または原因不明の視覚障害,永久的ペースメーカー植込み,その他の重篤な疾患。
治療法 SK投与群(859例:150万IUを1時間で静注)とプラセボ群(882例)にランダム化。
ランダム化直後にheparin 5,000IU,aspirin 500mg,methylprednisolone 250mgを静注後,60分以内に試験薬静注。その後,heparinを800~1,000IU/時で72~96時間持続静注(12時間後から,トロンビンまたは部分トロンボプラスチン時間がコントロールの2~3倍となるよう用量調整)。
phenprocoumonを初日15mg,2日目12mg,その後はquickプロトロンビン時間が20~25%を維持するよう3週間以上継続投与。
旧西ドイツおよびスイスで登録された1,573例では,最初の30時間は2時間ごと,その後の20時間は4時間ごとに血液サンプルを採取し,血清CK-MBの時間-活性曲線を作成。
924例に血管造影を実施し(大部分はMI発症から3~4週間後),心室全体および局所EFを評価。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
21日後の死亡率は,SK群6.3%(54例),プラセボ群7.1%(63例)とSK群で減少傾向が認められたが(相対リスク0.88),累積死亡率に有意差は認められなかった。発症後3時間以内に治療開始した940例(SK群477例,プラセボ群463例)の死亡率も,SK群で減少傾向が認められ[5.2%(25例)vs 6.5%(30例)],累積死亡率はSK群で20%減少したが,有意差には至らなかった。全死亡に占める心臓死の割合はSK群で低かった(49例 vs 62例)。
血清CK-MB時間-活性曲線の評価が可能な1,444例の検討では,発症からCK-MB値がピークに到達するまでの時間はSK群で有意に短縮した(13.9 vs 19.2時間,p<0.0001)。また,冠血流の維持または回復の指標として,治療開始からCK-MB値がピークに到達するまでの時間を検討したところ,SK群では74%が13時間以内に達したのに対し,プラセボ群では31%であった。CK-MB曲線下面積(梗塞サイズ)はSK群で有意に小さく(1,701 vs 1,869IU/L・時,p<0.02),これは3時間以内の治療開始例における顕著な相違によるものであった(1,633 vs 1,953IU/L・時,p<0.001)。
梗塞後3~4週間に定量的解析が可能な心室造影所見が得られた848例(SK群428例,プラセボ群420例)の検討では,左室全体のEFはSK群で有意に高かった[全例:56.8 vs 53.9%,p<0.005,3時間以内の治療開始例(SK群269例,プラセボ群242例):57.0 vs 53.6%,p<0.01]。局所EFもSK群で有意に高く[dyssynergy index(右前斜位30度):全例226 vs 265,p<0.005,3時間以内の治療開始例222 vs 267,p<0.015],前壁梗塞例[379例,dyssynergy index(右前斜位30度):279 vs 326,p<0.05],下壁梗塞例[388例,dyssynergy index(左前斜位60度):85 vs 108,p<0.05]においても同様であった。

●有害事象
治療開始から3時間以内の不整脈はSK群で有意に増加した(徐脈:16.6% vs 11.7%,p<0.005,心室異所性拍動≧10/分:30.5% vs 19.4%,p<0.001,心室couplet:15.8% vs 9.2%,p<0.001,心室salvo:11.4% vs 6.2%,p<0.001,心室頻脈≦120/分:5.4% vs 2.4%,p<0.001)。一方,3時間以降はSK群で有意に減少した(3~24時間後の心室細動:0.7% vs 1.9%,p=0.04,24時間以降の症候性徐脈性不整脈または頻脈性不整脈:2.0% vs 3.6%,p=0.04)。
出血の発生はSK群 5.9%(51例),プラセボ群1.5%(13例)と両群間に有意差が認められた(p<0.0001)。このうちSK群の4例は脳内出血であった。

文献: [main] The I.S.A.M. Study Group. A prospective trial of intravenous streptokinase in acute myocardial infarction (I.S.A.M.): Mortality, morbidity, and infarct size at 21 days. N Engl J Med 1986; 314: 1465-71. pubmed
関連トライアル Anderson JL et al 1983, Anderson JL et al 1984, GUSTO-I 1993, GUSTO-I 1993, ISIS-2, Khaja F et al, Ribeiro EE et al, Rogers WJ et al, WWICT, Zijlstra F et al
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