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PACT Plasminogen-activator Angioplasty Compatibility Trial
結論 インターベンション施行前の短時間作用・低用量の血栓溶解療法は,梗塞関連動脈の早期開存に有効であり,かつ左室機能の回復にも優れ,有害事象も引き起こさないことが示された。

目的 主要な再疎通法として血管形成術が適応と考えられる急性心筋梗塞(AMI)患者で,短時間作用・低用量血栓溶解療法が梗塞関連動脈(IRA)の早期開存率を上昇させるか,その有効性と安全性を検討。
エンドポイント:初回冠動脈造影時の開存率,PTCA成功率,合併症の発症率,左室機能(LV)。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
セッティング 多施設(4ヵ国)。アメリカ,カナダ,アルゼンチン,ドイツ。
期間 -
対象患者 606例。平均年齢rt-PA群57.6歳,プラセボ群58.4歳。胸痛が30分以上持続し,四肢の2誘導以上におけるST上昇(≧0.1mV)または隣接した2つ以上の前胸部誘導でのST上昇(≧0.2mV)が認められた症例。
【除外基準】年齢>75歳,脳血管障害または一過性脳虚血発作の既往,過去6ヵ月以内の頭部外傷歴,活動性の出血または出血性素因,最近の外傷または大手術,バイパス術施行歴,過去6ヵ月以内のPTCA施行歴,6時間を超えるAMI様症状の持続,SBP>170mmHgまたはDBP>110mmHgなど。
治療法 抗血小板薬aspirin 325mg,および抗凝固薬heparin(UFH)5,000IUを単回投与後,1,000IU/時静注後(体重>80kgの場合は1,200IU/時),血栓溶解薬rt-PA群(302例:50mgを3分間で単回静注)とプラセボ群(304例)にランダム化。その直後,冠動脈造影を施行。
初回冠動脈造影時にIRAが閉塞(TIMI grade 0または1),または開通しているものの灌流が不良な場合(TIMI grade 2)は,即時血管形成術(rt-PA群:planned rescue PTCA,プラセボ群:primary PTCA)を施行。
入院期間中はaspirin 325mg/日を継続投与,heparinは最小48時間静注(活性化部分トロンボプラスチン時間を60~85秒に維持)。
追跡完了率 プロトコールによる追跡完了率は75.2%(456例)。
【脱落理由】患者の拒否(5.9%),追跡以前のCABG施行(5.4%),医師の判断(3.1%),死亡(2.8%)など。
結果

●評価項目
初回冠動脈造影時の開存率はrt-PA群61%(TIMI grade 2:28%,grade 3:33%),プラセボ群で34%(TIMI grade 2:19%,grade 3:15%)と有意差がみられ(p<0.001),TIMI grade 3の比較においても有意であった(p<0.001)。rescueおよびprimary PTCAにより両群で同程度のTIMI grade 3に回復した[TIMI grade 0,1→3への回復:76.6%(85/111)vs 79.0%(147/186),p=0.62]。
EFは444例(rt-PA群220例,プラセボ群224例)で解析。フォローアップ時のEFは両群で同等であったが(rt-PA群58.2±13.0% vs プラセボ群58.4±12.5%,p=0.85),回復期EFはIRA開存群(初回冠動脈時TIMI grade 3),あるいは単回投与1時間以内の血管形成術群で最も高かった(各62.4%,62.5%)。しかし,血管形成術群の88%(n=187)は1時間を超えており,回復期平均EFは57.3%であった(p<0.005)。

●有害事象
大出血の発生率はrt-PA群12.9%,プラセボ群13.5%と有意差はなく(p=0.84),CABGに関連した出血を除いても同様であった(8.5% vs 8.2%,p=0.92)。また,脳卒中の発生にも群間差はみられなかった(各群ともに0.7%,p=0.99)。

文献: [main] Ross AM, et al for the PACT Investigators. A randomized trial comparing primary angioplasty with a strategy of short-acting thrombolysis and immediate planned rescue angioplasty in acute myocardial infarction: the PACT trial. J Am Coll Cardiol 1999; 34: 1954-62. pubmed
関連トライアル Barbash GI et al, Bleich SD et al, DUCCS-II, E6010 Study, ECSG-RTPA, ExTRACT-TIMI 25 PCI, García E et al, GUSTO IIb 1997, GUSTO-I 1993, HART 1990, IMPACT-AMI, MINT, NHFACT, NRMI-2, PAMI, RAPID II, Ribeiro EE et al, TAMI 5 1991, TAMI 6, TIMI 10B, TIMI 4, TIMI 5, TIMI II 1989, TIMI II 1995, TIMI IIA 1990, TIMI IIIB 1994, Zijlstra F et al
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