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TAMI 2, 3, 5 and Urokinase Trial 1994 Thrombolysis and Angioplasty in Myocardial Infarction Phase 2, 3, 5 and the Urokinase Trial
結論 血栓溶解療法施行後における血小板減少症の発症頻度は高く,大出血や死亡に影響をおよぼす。血小板減少症は出血および死亡のリスクが増加している患者の同定に有効であることから,血栓溶解療法後は血小板数を毎日モニターすべきである。

目的 血栓溶解療法後の急性心筋梗塞(AMI)患者において,入院中の血小板減少症の発症と臨床的意義について検討。
デザイン 前向き。
セッティング 多施設。
期間 -
対象患者 1,001例(TAMI Phase 2,3,5 TrialおよびUrokinase Trial登録症例)。ベースライン時の血小板数データの不適応例を除く874例で解析。MIと推測される胸痛発現後6時間以内,心電図所見による隣接した2誘導以上でのST上昇(≧0.1mV)。
【除外基準】年齢>75歳,心電図所見による同部位でのQ波梗塞既往,最近の脳卒中・外傷・大手術施行歴,活動性の出血または出血性素因,コントロール不能な高血圧症,心肺蘇生術の延長,心原性ショック。
治療法 血栓溶解療法後の血小板減少症を,nadir血小板数<10万/μLまたはベースライン時の1/2と定義し発症率を比較検討。出血は出血指数で定量化。入院中の血小板減少症の独立した予測因子を多変量ロジスティック回帰で分析。
rt-PA単独投与,urokinase(UK)単独投与,rt-PA+UK併用投与を,以下のさまざまな用量および投与法で投与。
TAMI 5 Trial:UK 300万U単独投与群,rt-PA 100mg単独投与群,rt-PA 1mg/kg+UK 150万U併用投与群。注)詳細はTAMI 5 Trial参照。
心カテーテル法は,TAMI 2, 3およびUrokinase Trialの症例では血栓溶解療法開始後90分に施行,TAMI 5では90分後施行群と退院時施行群にランダム化。90分後のカテーテル法による閉塞例(TIMI grade 0または1)とTIMI grade 2または3で虚血が進行している症例にrescue PTCAを施行。退院時に再カテーテル法,血管造影,心室造影を実施。
全例にheparin(血栓溶解後3時間以内に静注開始。活性化部分トロンボプラスチン時間をコントロールの1.5~2.5倍に維持し,24時間以上7~10日後まで投与),経口aspirin 350mg/日,Ca拮抗薬(diltiazemまたはnifedipine)を投与。高血圧症,不整脈,治療抵抗性の虚血症状以外へのβ遮断薬投与は不許可。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
血小板減少症は143例(16.4%)で発症し,うちnadir血小板数<10万/μLは64例(7.3%)。手術を施行しなかった症例(非施行676例)では55例(8.1%)が発症し,nadir血小板数<10万/μLは24例(3.6%)であった。
血栓溶解療法による血小板減少症の発症率は,rt-PA単独群16.4%,UK単独群19.1%,併用群14.1%と投与法による差は認められなかった。TAMI 5 Trial登録症例におけるnadir血小板数到達までの時間は,血栓溶解療法開始4日後(中央値)であった(非施行群では3日後)。
血小板減少症発症例(143例)は非発症例(731例)に比し,acute駆出率(EF)が低く(中央値44% vs 52%,p≦0.0001),3枝病変患者が多く(43% vs 13%,p≦0.0001),高齢で(中央値61歳 vs 57歳,p<0.0001),男性が少なかった(70% vs 81%,p=0.006)。非施行例においても,発症例で低acute EF(41% vs 53%)および3枝病変患者(27% vs 9%)が多く認められた。また,院内死亡率も発症例で非発症例に比し有意に高く(16.1% vs 3.3%,p<0.0001),非施行例でも同様の傾向がみられた(23.6% vs 3.5%)。nadir血小板数<10万/μLの症例における院内死亡率は21.9%。さらに,発症例において,うっ血性心不全,再発性虚血,complete心ブロック,緊急バイパス術,その他のバイパス術施行率,バルーンポンプ挿入,気管内挿管施行率が有意に高く,CCU入室および入院期間も有意に長かった(いずれもp<0.0001)。
年齢,acute EF,病変血管の数,バイパス術および大動脈内バルーンカウンターパルゼーション法などの因子を考慮しても,血小板減少症の発症は出血指数と独立した相関を示し,非施行例においても同様であった(いずれもp<0.0001)。また,院内死亡率との独立した相関性が認められた(p=0.0059)。

●有害事象
ヘマトクリット値の有意な減少(p<0.0001)を含む出血の発生は,血小板減少症発症例で,非発症例に比し高率であり,非施行例においても同様であった。頭蓋内出血は,発症例で2例(1.4%),非発症例で6例(0.8%)と同等(p=0.62)。

文献: [substudy] Harrington RA, et al for the Thrombolysis and Angioplasty in Myocardial Infarction Study Group. Clinical importance of thrombocytopenia occurring in the hospital phase after administration of thrombolytic therapy for acute myocardial infarction. J Am Coll Cardiol 1994; 23: 891-8. pubmed
関連トライアル Cragg DR et al, DUCCS 1, GUSTO-I 1995, HIT-III, LATE 1995, NRMI-2, RIKS-HIA, TAMI 5 1991, TAMI 5 1991, TAMI 5 1992, TIMI 4, TIMI 5, TIMI II Pilot and Clinical Trial, TIMI II Pilot and Randomized Clinical Trial, TIMI IIIB 1995
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