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Antiplatelet Therapy after Coronary Artery Bypass Graft Surgery
結論 CABG施行患者において,aspirin術前投与を含む抗血小板療法は,グラフト開存性の改善に有効であるが,術後の異常な出血および再手術の必要性を増加させた。本試験結果は,CABG施行時におけるaspirinの術前または術後早期投与のリスク/ベネフィットを検討する臨床試験の実施を促すものであり,個々の患者のリスク評価にあたり,本試験結果を十分考慮に入れなければならない。

目的 CABG施行患者において,施行前のaspirin投与が周術期から術後に与える影響を検討。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
セッティング 多施設(12病院)。アメリカ。
期間 - CABG施行期間は1983年6月~1986年7月。
対象患者 772例。CABG施行予定例。
【除外基準】施行前の内胸動脈グラフトのみの実施決定例,心臓外科手術の施行歴,過去1年以内の消化性潰瘍,出血性疾患の既往,抗凝固薬投与を要する血栓塞栓性疾患,手術の同時施行を要する重篤な弁膜性心疾患,試験薬または造影剤へのアレルギー,女性,試験薬またはプロスタグランジン阻害薬投与を要する慢性疾患,プロトロンビン時間の延長が認められる肝障害など。
治療法 aspirin 325mg/日投与群,aspirin 975mg/日(分3)投与群,aspirin 975mg/日+dipyridamole 225mg/日(分3)併用投与群,sulfinpyrazone 801mg/日(分3)投与群,プラセボ群にランダム化(病変を有する冠動脈の数により層別化し割付け)。
aspirin非投与群(sulfinpyrazone群,プラセボ群)では施行48時間前から投与開始。aspirin投与群(aspirin 325mg投与群,aspirin 975mg投与群,aspirin+dipyridamole群)ではaspirin 325mgを施行12時間前に投与し,施行後6時間から投与再開(経口投与が可能になるまで経鼻胃管にて投与)。投与開始の7日前に,抗血小板薬および非ステロイド性抗炎症薬の投与中止。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
aspirin投与群(471例)とaspirin非投与群(301例)で比較検討。
36時間後までの出血量は,aspirin投与群でaspirin非投与群に比し有意に増加し(1,010 vs 791mL,p=0.0001),輸血量も有意に多かった(赤血球:1,167 vs 861mL,p=0.0001,血小板:4.5 vs 2.3U,p=0.0001,寒冷沈降物:0.50 vs 0.05U,p=0.0004,新鮮凍結血漿:888 vs 651mL,p=0.0088)。手術に要した時間(241 vs 236分,p=0.251)および心肺循環の実施時間(98 vs 103分,p=0.150)は両群に差はみられなかったが,心肺循環終了から創傷の縫合までの時間はaspirin投与群で有意に長かったことから(75 vs 67分,p=0.035),aspirin術前投与により十分な止血を得るまでの時間が延長されることが示唆された。術後出血のための再手術率はaspirin投与群で有意に高かった[6.6%(31例)vs 1.7%(5例),p=0.002]。
再施行時に最も多かったのはびまん性出血で(aspirin投与群15例,非投与群2例),出血部位に関しては両群に差はみられなかった。また,院内および30日後の死亡率(2.5 vs 2.0%,p=0.619),手術に関連しない出血性合併症[4.5%(21例)vs 5.0%(15例)]およびその他の術後合併症の発症率にも差は認められなかった。

●有害事象
「評価項目」にあり。

文献: Sethi GK, et al and Participants in the Department of Veterans Affairs Cooperative Study on Antiplatelet Therapy. Implications of preoperative administration of aspirin in patients undergoing coronary artery bypass grafting. J Am Coll Cardiol 1990; 15: 15-20. pubmed
関連トライアル Agnew TM et al, Brooks N et al, Brown BG et al, Bybee KA et al, CABADAS, Chesebro JH et al 1982, Chesebro JH et al 1984, DAC, Ekeström SA et al, Gavaghan TP et al, GESIC, Guiteras P et al, Hockings BE et al, Kallis P et al, Lembo NJ et al, Limet R et al, Pantely GA et al, Pfisterer M et al, Pirk J et al 1990, Rajah SM et al 1985, Rajah SM et al 1994, RESTORE, Sharma GV et al, Thaulow E et al, VA Cooperative CABG, VA Cooperative Study 1989, Veterans Affairs Cooperative Study, Yli-Mäyry S et al
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