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Kallis P et al Pre-operative aspirin decreases platelet aggregation and increases post-operative blood loss--a prospective, randomised, placebo controlled, double-blind clinical trial in 100 patients with chronic stable angina
結論 CABG術前のaspirin投与は,術後の出血,出血による再手術,輸血の必要性が高まるといったリスクとの兼ね合いで決定すべきであることが示された。

目的 待機的CABG施行患者において,施行前aspirin投与のリスクを検討。
主要エンドポイント:出血量,輸血量,出血による再手術,臨床イベント。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検。
セッティング 多施設。イギリス。
期間 -
対象患者 100例。平均年齢62歳。慢性安定狭心症による待機的CABG施行予定例。
【除外基準】CABG施行歴,凝固障害,消化性潰瘍の既往,糖尿病。
治療法 aspirin 300mg/日経口投与群(50例)とプラセボ群(50例)にランダム化。
施行2週間前から施行当日まで継続投与。試験薬以外のaspirinおよび非ステロイド性抗炎症薬の投与は施行2週間前に中止。また,aspirin含有製剤の投与も中止。
心肺循環にheparin 10,000Uを使用。大動脈カニュレーション施行前にheparin 3mg/kgを投与開始し,心肺循環施行中は活性化凝固時間≧400秒を維持。止血および大動脈カニューレ抜去後は,術前の活性化凝固時間との差が20秒以内となるまでheparinおよびprotamineを1:1の割合で投与。
施行前日に血清サリチル酸(HPLC分析)およびサリチル尿酸(TLC分析)を測定し,コンプライアンスを評価。また,術前およびprotamine投与30分後に血液サンプルを採取し,血小板機能を評価。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
人口統計学的背景,心肺循環の施行時間,グラフト数,内胸動脈数は両群で同等。コンプライアンスはaspirin群で全例,プラセボ群では49例で良好であった。
aspirin群ではプラセボ群に比し,術後の総出血量が約1U増加し(1,185 vs 791mL,p=0.001),輸血も同程度に増加した[3.1 vs 2.1U,p=0.01,新鮮凍結血漿:0.4U(8例)vs 0U,p=0.01,血小板:0.5U(5例)vs 0U,p=0.05]。また,出血による再手術はaspirin群でのみ認められた(4例 vs 0例,p=0.05)。一方,両群ともに院内死亡はみられず,重度の合併症としては1例が大動脈内バルーンパンピングを要したのみで,aspirin投与による影響は認められなかった。
70例の検討では,コラーゲンに対する血小板凝集は,術前および術後のいずれもaspirin群で有意に抑制され(術前:55 vs 81%,術後:50 vs 72%,いずれもp=0.001),アラキドン酸による抑制はより大きかった(術前:4.4 vs 64%,術後:5.8 vs 35%,いずれもp=0.001)。出血時間はaspirin群で有意に延長し,両群とも術後でより長かった(術前:6.7 vs 5.5分,p=0.01,術後:9.8 vs 8.4分,p=0.03)。血小板粘着はaspirin投与による影響は認められなかった[血小板vWF(von Willebrand Factor)活性(血小板106当たり):術前(99 vs 122IU/dL,p=0.3),術後(149 vs 153 IU/dL,p=0.9)],血小板表面のGPIb発現:術前(45 vs 43U,p=0.5),術後(30 vs 32U,p=0.4)。

●有害事象
「評価項目」にあり。

文献: Kallis P, et al. Pre-operative aspirin decreases platelet aggregation and increases post-operative blood loss-a prospective, randomised, placebo controlled, double-blind clinical trial in 100 patients with chronic stable angina. Eur J Cardiothorac Surg 1994; 8: 404-9. pubmed
関連トライアル Antiplatelet Therapy after Coronary Artery Bypass Graft Surgery, Bedford RF et al, Brooks N et al, Brown BG et al, Bybee KA et al, CABADAS, Gavaghan TP et al, GESIC, Guiteras P et al, Hockings BE et al, Pfisterer M et al, Rajah SM et al 1994, RESTORE, Yli-Mäyry S et al
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