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SPEED(GUSTO-IV Pilot) Strategies for Patency Enhancement in the Emergency Department(Global Use of Strategies To Open occluded coronary arteries Pilot)
結論 急性心筋梗塞(AMI)患者への緊急治療として,標準用量abciximab+低用量reteplase併用投与は,標準用量reteplase単独に比較して早期の完全再灌流の達成に有効であることが示された。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,1)血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬abciximab(標準用量)+低用量reteplase併用と標準用量abciximab単独,および2)abciximab(標準用量)+低用量reteplaseへのheparin(標準用量または低用量)追加投与の有効性と安全性を比較検討。
一次エンドポイント:60~90分後の梗塞関連動脈における再灌流(TIMI grade 3)達成。
デザイン ランダム化。
セッティング 多施設(61病院)。アメリカほか。
期間 追跡期間は30日。
登録期間は,Phase A:1997年10月~1998年7月,Phase B:1998年7月~12月。
対象患者 Phase A:304例。Phase B:224例。AMI患者。59歳(中央値)。胸痛発症後12時間以内,年齢の上限がないこと以外はTIMI 14 Trialと同様。
【除外基準】房室ブロック,伝導障害による一時的なtransvenousペースメーカーの必要性,重度の洞性徐脈,過去24時間以内の圧迫不可能な血管の穿刺,過去3日以内の心カテーテル法,長時間の心肺蘇生,血管炎またはその疑い,heparin誘導性の血小板減少症の既往,他の重篤な疾患(癌または重度の肝疾患など),体重>120kg,血小板数<10万/μLなど,他はTIMI 14 Trialと同様。
治療法 Phase A:abciximab+reteplase併用投与群(241例)とabciximab単独投与群(63例)に4:1の割合でランダム化。
abciximab:ランダム化後直ちに0.25mg/kgボーラス投与後,0.125μg/kg/分で12時間静注。reteplase:abciximabボーラス投与後,5分以内に5U,7.5U,10U,5U+2.5U,5U+5U(76例)のいずれかをボーラス投与。2回目のボーラス投与は初回投与の30分後に実施。
abciximabボーラス投与の直後にheparin 60U/kgボーラス静注。血管造影時(およびインターベンション施行時)に体重補正用量をボーラス投与または持続静注(活性化凝固時間≧200秒を維持)。施術終了時に投与中止を推奨したが,継続投与する場合は活性化部分トロンボプラスチン時間が50~70秒となるよう用量調整。
Phase B:Phase Aで最も優れていることが示されたabciximab+reteplase 5U+5U併用投与群(115例)とreteplase 10U+10U単独投与群(109例)にランダム化。
abciximabボーラス直後にheparin静注[abciximab+reteplase 5U+5U群:40U/kg(最大4,000U):TIMI-14 Trialの結果を受けて60U/kgから減量,reteplase単独群:70U/kg(最大5,000U)]。
MI診断時にaspirin 150~325mg経口投与または250~500mg静注,その後80~325mg/日を30日以上継続投与。低分子量heparin,dextran,その他の血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬の併用投与は不許可。梗塞関連動脈の血管造影を再灌流療法開始から60~90分後(中央値62分後)に実施。
評価:「intention-to-treat症例」(インフォームドコンセントを拒否した2例を除くすべてのランダム化症例),「安全性評価症例」(intention-to-treat症例のうち試験薬を投与された症例),「血管造影所見評価症例」(安全性評価症例のうち,併用投与群にランダム化後15分以内に両薬剤を投与された症例)の3つのコホートで評価。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
Phase Aの血管造影所見評価症例(abciximab単独群48例,abciximab+reteplase 5U群29例,7.5U群32例,10U群39例,5U+2.5U群31例,5U+5U群60例)の検討では,TIMI grade 3達成例の割合はabciximab+reteplase 5U+5U群で最も高く,abciximab単独群で最も低かった(62% vs 27%,p=0.001)。また,単回ボーラス投与に比し,2回ボーラス投与で再灌流達成例が多かった(abciximab+reteplase 10U群 vs 5U+5U群:46 vs 62%,p=0.13)。
Phase Bの血管造影所見評価症例(reteplase単独群98例,abciximab+reteplase 5U+5U群100例)の検討では,TIMI grade 3 達成例の割合はreteplase単独群47%,abciximab+reteplase 5U+5U群54%と両群間に有意差は認められなかった(p=0.39)。また,標準用量heparin(60U/kg)追加投与(90例)と低用量heparin(40U/kg)追加投与(70例)の比較では,再灌流達成は標準用量heparin群で増加傾向がみられた(61% vs 51%,p=0.22,heparin 60U/kg追加併用群 vs reteplase単独群47%:p=0.05)。
臨床イベントの発生率は全体的に低く,全死亡率は3.8%。intention-to-treat解析症例(Phase A:abciximab単独群63例,abciximab+reteplase 5U+5U群76例,Phase B:reteplase単独群109例,abciximab+reteplase 5U+5U群115例)における30日後の死亡+再梗塞+緊急再血行再建術施行の複合(Phase A:各群9.5%,11.8%,Phase B:各群11.0%,6.1%:p=0.19),死亡または再梗塞の複合(Phase A:各群3.2%,6.6%,Phase B:各群8.3%,3.5%:p=0.13)に群間差はみられなかった。

●有害事象
安全性評価症例(Phase A:abciximab単独群61例,abciximab+reteplase 5U+5U群75例,Phase B:reteplase単独群108例,abciximab+reteplase 5U+5U群112例)の検討では,退院時または14日後の大出血の発生率は,Phase A:abciximab単独群3.3%,abciximab+reteplase 5U+5U群5.3%,Phase B:reteplase単独群3.7%,abciximab+reteplase 5U+5U群9.8%であった。reteplaseの併用による大出血の発生に増加傾向がみられたが(p=0.11),輸血(p=0.67)または軽度の出血(p=0.95)には影響をおよぼさなかった。また,標準用量heparinまたは低用量heparinを追加併用された症例間では,大出血の発生率は同等であった(6.3 vs 10.5%,p=0.30)。
血小板減少症は,Phase A:abciximab単独群1.6%,abciximab+reteplase 5U+5U群5.3%,Phase B:reteplase単独群5.6%,abciximab+reteplase 5U+5U群3.6%に発症。abciximab単独群に比し,abciximab+reteplase群で多くみられたが(p=0.12),血小板輸血は同等であった。

文献: [main] Strategies for Patency Enhancement in the Emergency Department (SPEED) Group. Trial of abciximab with and without low-dose reteplase for acute myocardial infarction. Circulation 2000; 101: 2788-94. pubmed
関連トライアル AbESTT-II, AbESTT-II wake-up stroke, CARESS-in-AMI , FINESSE, GUSTO III, IMPACT-AMI, ISAR-REACT 4, MINT, PPCIを行うSTEMI患者におけるabciximabと小分子の有用性, RAPID II, TIMI 10B, TIMI 14, TIMI 5
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