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TIMI 14 Thrombolysis in Myocardial Infarction 14
結論 心筋梗塞(MI)患者へのabciximab投与は血栓溶解を促進し,1/2用量のalteplaseと併用した場合には早期のTIMI grade 3達成率を高めた。また,alteplaseとの併用による再灌流の改善は大出血のリスクを増大させず,heparinの減量により出血リスクはさらに低下する可能性が示唆された。abciximab+streptokinase(SK)群においても再灌流の改善がある程度認められたが,出血リスクが増加した。

目的 ST上昇心筋梗塞(MI)患者において,血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬abciximabと1/2用量の血栓溶解薬(t-PA:alteplase)とを併用した場合の有効性と安全性を比較検討。
一次エンドポイント:90分後の梗塞関連動脈における再灌流(TIMI grade 3)の達成。
デザイン ランダム化,オープン。
セッティング 多施設(7ヵ国,63施設)。
アメリカ,カナダ,イギリス,ベルギー,オランダ,フランス,ドイツ。
期間 試験期間は1997年3月~1998年7月。
対象患者 888例。18~75歳(中央値58歳)。男性77%。37%が前壁梗塞。30分以上持続する虚血性不快感の発現から12時間以内。隣接した2誘導以上におけるST上昇(0.1mV)。
【除外基準】左脚ブロック,心室内伝導障害,過去7日以内のMIに対する血栓溶解療法またはPCI(経皮的冠動脈インターベンション)施行歴,CABG施行歴,心原性ショック,肺浮腫,出血リスク:SBP>180mmHgまたはDBP>110mmHg,脳卒中,一過性脳虚血発作または中枢神経系障害の既往,活動性のある出血または出血性素因の既往,過去2ヵ月以内の大手術施行歴,抗凝固療法(INR>1.4)。abciximabまたはaspirinにアレルギー,過去7日以内のabciximabをはじめとするGP IIb/IIIa投与歴,ランダム化前1時間のheparin(≧6,000U)投与歴など。
治療法 dose-finding(用量設定)phaseとdose-confirmation(用量調整)phase。いずれのphaseにおいても,全例にaspirin投与(150~325mgを経口投与または250~500mgを静注)。
dose-finding phase(677例):
対照群:alteplase漸増投与群(163例):alteplase 100mg[15mgボーラス投与後,0.75mg/kg(最大50mg)を30分,その後0.50mg/kg(最大35mg)を60分で静注]。abciximab単独投与群(32例):abciximab 0.25mg/kgボーラス投与+0.125μg/kg/分を12時間静注。abciximab+低用量streptokinase(SK)投与群(143例):単独群と同用量のabciximab+SK 50万~150万U。abciximab+低用量alteplase投与群(339例):abciximab+alteplase 20~65mg。対照群は標準体重調整heparinを投与(70U/kgボーラス投与+15U/kg/時静注)し,他の3群は低用量heparin投与(60U/kgボーラス投与+7U/kg/時静注)とした。heparin静注は,活性化部分トロンボプラスチン時間を50~70秒に維持するよう用量調整。
dose-confirmation phase(211例):
対照群:用量設定phaseと同様のalteplase投与。abciximab+低用量alteplase投与群:用量設定phaseと同様のabciximab+低用量alteplase+低用量heparin(60U/kgボーラス投与+7U/kg/時静注),または超低用量heparin(30U/kgボーラス+4U/kg/時静注)。
両phaseにおいて,β遮断薬,硝酸薬,Ca拮抗薬,その他の薬剤投与に関しては担当医の裁量に任せた。発症から治療までの時間は3時間(中央値),対象の75%が5時間未満に治療開始。
追跡完了率 90分後の冠動脈造影施行率は89%(791例),60分後では45.9%(408例)。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
90分後のTIMI grade 3達成率は,対照群(n=152)57%,abciximab単独群(n=31)32%,abciximab+SK(50万~125万U)群では34~46%であった。60分後,90分後のいずれもTIMI grade 3達成率が高かったのは,alteplase投与期間の長い群,すなわちボーラス投与後30分または60分静注例であった(60分後:p=0.02,90分後:p=0.0002)。90分後の完全再灌流率が最も高かったのは,abciximab+alteplase 50mg群(15mgボーラス+35mgを60分で静注)の76%であり( vs 対照群57%,p=0.08),TIMI 2および3達成率も高かった(93% vs 78%,p=0.09)。
種々の投与方法の症例を合わせたabciximab+alteplase 50mg群の60分後のTIMI grade 3達成率は72%で,alteplase単独(対照)群43%より有意に高く(p=0.0009),90分後も同様であった(77% vs 62%,p=0.01)。

●有害事象
大出血の全発生率は7%。alteplase単独群(235例)では6%,abciximab単独群(32例)で3%,abciximab+SK群(143例)で10%,abciximab+alteplase 50mg+低用量heparin群(103例)で7%,abciximab+alteplase 50mg+超低用量heparin群(70例)では1%であった。頭蓋内出血の全発生率は1.1%と低率であった。

文献: [main] Antman EM, et al for the TIMI 14 Investigators. Abciximab facilitates the rate and extent of thrombolysis: results of the thrombolysis in myocardial infarction (TIMI) 14 trial. Circulation 1999; 99: 2720-32. pubmed
関連トライアル AbESTT, AbESTT-II wake-up stroke, ECSG 1992, ECSG-UA, EPIC 1994, EPILOG 1997, IMPACT-AMI, ISAR-REACT 4, JEPPORT, PPCIを行うSTEMI患者におけるabciximabと小分子の有用性, RAPID II, RAPPORT, SEPIA-ACS1 TIMI 42, SPEED(GUSTO-IV Pilot), TIMI 10B, TIMI 5, TIMI 9A
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