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ESSENCE 1998 Efficacy and Safety of Subcutaneous Enoxaparin in Non-Q-Wave Coronary Events
結論 急性冠症候群の治療において,enoxaparinは重要な臨床転帰の改善に有効であり,かつ医療コストは標準的治療であるUFHより抑制されることが示された。

目的 不安定冠動脈疾患[不安定狭心症または非Q波梗塞(MI)]患者において,低分子量heparin(LMWH:enoxaparin)と未分画heparin(UFH)による各治療のコストを比較検討。
デザイン コホート研究,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設。アメリカ。
期間 追跡期間は30日。
対象患者 米国でのESSENCE Trial登録症例923例(enoxaparin群464例,UFH群459例:うち,655例は請求データを入手)。年齢63歳(中央値)。男性65%。24時間以内の安静時狭心症(>10分継続)または以下のいずれかに該当する虚血性心疾患(IHD):1)隣接する2誘導以上での新たなST下降(≧0.1mV),一過性のST上昇またはT波異常,2)MI既往,3)冠動脈血行再建術の施行歴,4)侵襲的・非侵襲的検査によるIHDの診断。
【除外基準】治療または入院記録が書面で確認不可能な症例。
治療法 LMWH(enoxaparin)投与群とUFH群にランダム化。
enoxaparin群:1mg/kgを12時間ごとに皮下投与+プラセボをボーラス静注後点滴。UFH群:プラセボ皮下投与+heparin 5,000Uボーラス静注後,活性化部分トロンボプラスチン時間(55~85秒を目標)により用量調整して連続点滴。全例にaspirin 100~325mg/日経口投与。
投与期間は最小48時間~最大8日間。
全例中,請求データが入手可能な655例について多変量回帰モデルで解析し,その結果をデータがない症例に適応させた。医師の技術料はMedicare Fee Scheduleにより算出。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
米国における対象症例(923例)と他国での対象症例(2,248例)のベースライン時の患者背景を比較すると,米国のコホートにおいて,重い体重,高血圧症,糖尿病(各p<0.001),高脂血症(p=0.006)が有意に多かった。
最初の入院時における侵襲的診断および治療の施行はenoxaparin群でUFH群に比し少なく(冠動脈造影:enoxaparin群53% vs UFH群57%,p=0.33,CABG:12% vs 14%,p=0.51),特にPTCAでは有意差が認められた(15% vs 20%,p=0.04)。30日後においても,冠動脈造影:57% vs 63%(p=0.04),PTCA:18% vs 22%(p=0.08),ICU入室期間:2.4日 vs 2.8日(p=0.05)とenoxaparin群で抑制された。本コホートでの傾向は,ESSENCE Trialの全例(3,051例)においても同様であった。
米国でのenoxaparin治療コストは$155,UFHは$80。最初の入院時での平均総コストは,enoxaparin群$11,857±13,630(中央値$7,966),UFH群$12,620±11,587(中央値$8,282)とenoxaparin群で$763抑制された(p=0.18)。30日後の平均総コスト(薬剤費を含む)においても,enoxaparin群$13,185±14,151(中央値$8,797),UFH群$14,357±12,171(中央値$9,655)であり,enoxaparin群で$1,172の抑制が認められた(p=0.04)。
請求データが入手可能であった655例においても,ベースラインの入院コストはenoxaparin群$11,269,UFH群$12,425とenoxaparin群で抑制され(p=0.16),この傾向は30日後にも持続していた(p=0.03)。ESSENCE Trialでデータ解析が可能であった3,051例のコホートにおいても,ベースラインの医療コストはenoxaparin群$13,922,UFH群$14,653とenoxaparin群で抑制がみられ(p=0.09),30日後でも同様の傾向がみられた(enoxaparin群$15,272 vs UFH群15,960,p=0.10)。
ブートストラップサンプルの200例において,最初の入院コストのenoxaparin群での抑制が86%の症例で認められた(>$500抑制:63%,>$750抑制:51%,>$1,000抑制:43%)。また,30日後のコストにおいても94%でenoxaparin群での抑制がみられた(各77%,69%,58%)。

●有害事象
表記なし。

文献: [substudy] Mark DB, et al. Economic assessment of low-molecular-weight heparin (enoxaparin) versus unfractionated heparin in acute coronary syndrome patients: results from the ESSENCE randomized trial. Circulation 1998; 97: 1702-7. pubmed
関連トライアル ACS患者に対するenoxaparinとUFHの比較, ACUITY switching to bivalirudin, Cohen M et al, ERA, ESSENCE 1997, ESSENCE 2000, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, ExTRACT-TIMI 25 PCI, FRAX.I.S, FRIC, OASIS-5 and 6, PCI施行中におけるenoxaparinとUFHの比較, TIMI 11A, TIMI 11B, TRIM
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